靴の踵を修理してみた

革靴の踵が減ってきた。踵の修理を靴屋や街の修理屋に出すと、一足当たり2500円から3000円取られる。あんなもんは知識と道具さえあれば誰でもできる。どう考えてもぼったくりだ。貧乏人としては納得できない。

そういうわけで再びShoe Gooの出番である。再びと言うのは、このブログを始めた初期の頃にShoe Gooでの踵修理を投稿したのだ。しかしその時は、写真が一つもないあまりに手抜きな記事だったので、この際再掲ネタではあるが投稿することにした。

Shoe Gooってのはこれね。

で、踵の減った革靴というのはこれ。

普通に靴屋か修理屋に出すと、彼らは減った踵から釘を抜き、踵をむしり取ってから接着剤を除去し、新しい踵を接着剤で貼り付けて釘をうち、はみ出した部分を削り、最後に補色して完成という工程を踏む。

Shoe Gooの場合は、減った部分にShoe Gooを埋める。それだけ。では始める。まず用意するのは、どこの家にもある鋏、ガムテープ、マスキングテープ、そしてアクリル板だ。いやマスキングテープとアクリル板は普通の家庭にはないかも知れないが、我が家には普通にある。クラフトマンには必要不可欠なものだからね。

まずは、踵にヤスリを当て、表面を均し、Shoe Gooを塗りたくない場所にマスキングする。

次に、アクリル板を適当な大きさに切って、踵周りにShoe Gooを埋める壁を作り、ガムテープで固定する。これで準備完了。

早速Shoe Gooで隙間を埋めていく。

コツは二つだ。一つ目は、空気が入らないようにしっかりと隙間を埋めるようにShoe Gooを押し込むこと。もう一つは、所謂充填剤の基本だが、乾燥すると固くなるものは、必ず乾燥の過程で痩せるということを見越して、少し多めに盛ることだ。

Shoe Gooを盛った後は、氷で表面を均すと滑らかに仕上がる。

後は乾燥して硬化するまで放置。いやー、簡単簡単。

もう片方も同様に作業し、順次踵のすり減った靴を修理していく。

効果時間は説明書きに書いてはあるが、あまり参考にならない。Shoe Gooを充填した箇所の厚みや気温によって乾燥時間はまちまちだ。今は夏場だが、厚みは4mmを超えているので、説明書にある時間の倍に相当する48時間は見ておく。冬場なら更にその倍は見た方がいい。Shoe Gooを使う場合のボトルネックはこの乾燥時間の長さだ。靴をあまり持っていない方には向かないかも知れない。

さて、48時間後、どうなったかアクリル板を取り外してみると・・・。

穴開いてるし・・・。

はみ出しちゃってるし・・・。

羽つき餃子みたいになっちゃってるし・・・。

うん、今回やった四足とも失敗してるね。

「くそがぁぁぁぁーっ。なんじゃこりゃぁぁっ。欠陥商品だろ、ネットで酷評してやる。」

などと騒ぐのは、知識も技術もないのを棚に上げ、てめえの無能さを製品の欠陥と言い張る低能共のすることだ。よくネットの口コミで見るレビューの大半がこれだな。

まあこれは、Shoe Gooの充填時に空気を抜ききれなかったか、内部に僅かに残った空気が硬化の過程でShoe Gooが痩せていくのと同時に膨らんだか、或いはその両方か、何れにせよ「想定の範囲内」である。別に空いた隙間にもう一度Shoe Gooを埋め込んで固めりゃいいだけの話だし。

盛って、埋めて、氷で均して、はい次っ・・・。

慌てず、騒がず、こんな調子で再調整して硬化を待つ。

 

・・・うん、今度は大丈夫そうだ。駄目なら、何度でも充填し直して乾かせばいい。こういうものは失敗からのリカバリこそがノウハウだ。たまたまうまくいった成功例からは何も学べない。

ここまで来たら、はみ出した余分なShoe Gooを削り取る。ここで「どこの家庭にもある」ベルトサンダーでバイィィーンとやればさっくり取れる。「万が一ベルトサンダーがない場合」は、別に紙やすりでもいい。

ここまでやると、大体こんな感じになる。最初の工程で隙間なくShoe Gooを埋められていたら、一発でここまで来る筈だった。

  

この通り磨り減った部分は無事(でもなかったが)に埋めることが出来たのだが、これで終わりにするというわけにはいかない。

何せ俺はセミプロだからな。というわけで、次ははみ出したShoe Gooを削る過程で傷つけてしまった革の部分の補色にかかる。

まずはマスキングし、例によってコロンブスのアドカラーを取り出し、軽く色当てしてみる。

明るすぎるので、黒を混ぜて焦げ茶にする。アドカラーは、少し水を足してやると色が混ぜやすくなる。やや明るめに調整するのがコツだ。

今度は良さそうだ。次は色の濃い靴用に更にトーンを落とす。

ついでに、荒れたコバもアドカラーで修復しておこう。

革の部分の補色が終わったら、今度はShoe Gooで埋めた踵の仕上げにかかる。

Shoe Gooで埋めた部分と元の素材との間には微細な隙間があるので、補色前にまずこれを埋める。今度はかかと部分を残してマスキングする。

アドベースを塗って、隙間を埋める。

乾燥したら、紙やすりで均す。

最後にアドカラー黒を塗って完成。

まあこれなら普通に履いている分には、他人には靴屋に修理に出したものと区別はつかないね。

因みに下のチャカブーツは、違いが分かるように(正直に言うと面倒くさくなったから)アドベースによる下地処理をせずにアドカラーだけで仕上げた。あまり変わらないかな(笑)。

さて、かかったコストだが、アクリル板は再利用できるし、アドカラーは指先程度しか使っていないので値段に換算できるほどの使用量ではない。残っているShoe Gooの量から換算するに、一足当たり概ね150円と言ったところか。四足で600円。修理屋に出せば12000円。

コスパは比ぶべくもない。

「私の物は修理するのに、自分の物はすぐ買い換えるのね・・・。」という妻の追求を躱す狙いもあったのだが、ぼーっとしている時間にチョチョイとやって、チコちゃんにも叱られることなく、ゴルフ一回分ほどの費用が浮いた。

「奥さん、自分のも修理して使ってますよぉ~。」

40分ほど歩いた後の状態がこれ。特段減った様子もなし。

合皮とパテントレザーを補修してみた

最近の合成皮革の技術は舐められない。一見しただけでは皮革なのか合成皮革なのか見分けがつかないものも少なくない。

まぁ、本皮か合皮かはどうでもいい。一昔前と違い、最近は明らかに合皮であってもそれがチープな製品とは限らない。

何が問題かというと、合皮の一部やポリエチレンにポリウレタン加工した素材或いはパテントレザー(エナメル革など)は、実は湿気に弱い。

それらの素材の物を箱に入れ、クローゼットなどにしまっとおくと、数年で劣化してしまう。例えばこれ。

見ての通り、バーニーズニューヨーク定番のスタッズミニトートバッグ。ちょっとした外出に便利なので、妻はよく気軽に持ち歩いていたのだが、このようにハンドル部分が劣化し、おそらくポリなんちゃら素材が剥離した。で・・・

「こんなになっちゃったの。」

と言われた。うん、大したものじゃないし、よくここまで使ったねということで新しいのを買ってあげることにした。

なので、駄目になった方は捨てるのかと思いきや、

「スーパーに買物に行く位ならまだ使えるから。」

と一向に捨てようとしない。

「おいこらマテ・・・」

お前がそんなの持ち歩いてたら「まあ・・・あんなになっても買ってもらえないのかしら・・・」と思われるだろうが。

忘れてた。妻は勿体ない派だった。

ということで例によってリペアを開始する。まずは軽くサンドペーパーを当て、劣化したポリなんちゃら素材の膜を剥がす。コツは下地素材を傷めないようにすることと、縫い目部分にペーパーを当てないこと。特に縫い目の糸を荒らしてしまうと、毛羽立って手触りに影響するので注意だ。

次に脱脂。何かを塗る前の基本だ。溶剤を使うとポリなんちゃら素材が溶けてベタつくとまずいので、アルコール除菌のウエットティッシュで拭く。

次に何を塗るかだが、バッグのハンドルに塗る以上、被膜の硬いものは使えない。罅が入ってしまうからだ。そこで今回はこれを使う。コロンブスのアドカラーだ。

しっかり塗り込むには指で擦り付けるのがいい。指に付いたアドカラーは石鹸で洗うと簡単に取れる。そしてすべての塗り作業に共通して言えることは、薄く塗り、何度もそれを繰り返すことで綺麗に仕上げることができる。

但し、アドカラーは性質上被膜が厚くなるので、あまり何度も塗り重ねると固くなるから要注意だ。しっかり着色できて、見かけ上問題ないという程度でやめておく

まぁ、こんな感じだ。こんなことなら買わなきゃよかったぜ゜・・・。

ついでに、この際だからとクローゼットの中に仕舞われているバッグも一通り手入れをしていたら、ColeHaan のバッグのハンドルがバーニーズのトートバッグと同様の状態になっているのを見つけた。こちらはパテントレザー(エナメル革)とヌバックの編み込みになっているバッグで、ハンドル部分がエナメル仕上げになっているものだ。

エナメル仕上げの革にはアドカラーは使えない。素材感が全く違い、艶が出ないのだ。こういう物の場合は、株式会社「染めQテクノロジー」の染めQを使う。

「染めQ」で塗った後に「染めQ保護艶出し」で仕上げると、艶が出てパテントレザーと同様の素材感になる。スプレータイプなので、着色したくない部分にはしっかりとマスキングすることと、やはり何度も薄く塗り重ねることがコツだ。

くどいので詳細は省くが、劣化したエナメル皮膜を剥がし、脱脂した上で染めQで着色し、保護艶出しスプレーを塗り重ねる。

どうだろうか。今回はハンドルの片方だけ補修してみた。一般にパテントレザーは補修ができないと言われるが、どちらが補修した方か見分けがつくだろうか。

まぁ、これでもう暫く使って貰おう。

セーターの毛玉取りと穴開き補修をやってみた

セーターに毛玉が出来ると気になるものだ。引っ張って取ると、繊維が引き出されてまたそこが毛玉になるので、以前は鋏で切り取っていたのだが、セーターの上で鋏を使うと取った毛玉がセータの上に落ちて取り難い。それを防ぐために毛玉を取る面を下にして鋏を使うと、うっかりセーターそのものを鋏で傷つけてしまうことがある。だから慎重に作業しなければならないのだが、幾つものセーターに毛玉が出来るとその作業が本当に煩わしく、面倒くせーっと思った瞬間にザックリ・・・なんてことが起きる。

数年前のことだ。そんな毛玉取りを行っていた時、妻が「テレビショッピングで良いものを見つけたわ。」と言って出してきたのがこれだった。

キリスキ。ネーミングに適当感があるが、それはまあいい。掃除機用のアダプタとして使う道具だ。吸入する空気によって内部の刃が回転し、網刃をニットに押し付けることで、網目に取り込んだ毛玉を回転刃がカットする仕組みだ。吸入する空気を調節することによって回転速度が変えられるようになっている。

一言で言うなら無段階変速機付きの回転式カッターだ。ニットの上を数回往復させるだけで簡単に毛玉が取れる。

これは素晴らしい。妻がテレビショッピングで購入したものの中では一、二を争う逸品と言える。電池も充電も不要というところも加点ポイントだ。

因みに一位は「ムッキーちゃん」だ。今ではそこらの百円ショップで買えるようになったが、最初は違った。あれによって我が家の柑橘系フルーツの皮剥きに革命が起きた。

話を戻そう。今回は我が家の序列二位のキリスキが主役なのだ。下の写真で左が使用前、右が使用後。光の加減でちょっと写真の色合いが違うが、同じセーターである。

説明書きには目盛り3~4で十分に毛玉が取れるとあり、確かにその通りだった。明らかに鋏で切るより毛玉除去の効率がいい。次々セーターの毛玉が取れていく。だが何度もやると当然ながら毛糸は痩せていくので、頻繁にやるのはおすすめできない。

また、あまり早く回転させると、その分網刃から吸い込まれる空気も強くなるので、生地を巻き込み易くなる。厚手のセーターならいいが、薄手のセーターだと巻き込まれてニットを痛めてしまうこともあるので注意が必要だ。

つい調子に乗って妻のニット類もやってあげた。だが、どういうわけか失敗は自分のものではなく人のものをやっている時に起きる。自分のものじゃないから適当にやっているということは決してないのだが、何故だろうな。メンズセーターと違って女性物は複雑な形をしていたり、飾りボタンが付いていたりと、ニットが平坦ではないため、より注意が必要だったと言い訳してみたが、コートの襟とニットワンピースの腰の部分に穴を開けてしまったという事実は隠せない。親切が仇になったとはまさにこのことだ。余計なことをしなければよかったと公開したが、後の祭りだ。

撮影時の光の当たり方がおかしいのか、上の写真の色が妙だが実際のコートの襟は全体が均一のグレーだ。ワンピースの方は上半分が黒なのだが、事故の状態は一目瞭然だ。

仕方がないので、責任をとってニットの補修にもチャレンジすることにした。まずはヘッドルーペを用意する。これがないと始まらない。今回は細かい作業となるのでレンズを二重にして倍率を上げる。

次に糸と針だ。糸は当然ながらできるだけニットの色に近いものを選ぶ。

対象がニットなので玉結びは作らず、網目に結びつける。本当は裏から作業をしたいのだが、この襟は裏返せないので、結び目は最後に鉤針でニットの裏側に押し込む。

続いて穴の空いた網目の両側を交互に糸で結び合わせていく。ニットの網目を真似て糸を通していくことがコツだ。

まあこんなものか。取り敢えず普通に来ている分には誰も気付くまい。

次はニットのワンピースだが、これは裏から作業できるのでより目立たなく修復できた。

網目が細かいものは難しいが、まあまあかな。

ついでに息子のセーターも直してあげた。こちらは俺が穴を開けてしまったものではなく、本人が着ているときにどこかに引っ掛けてしまったらしい。

アイボリーのセーターなので、修復に使用する糸を妻の使用済みパンストを解した糸にするか、近い色の糸にするか迷った。結局パンストを解すのは面倒だったため糸で修復することにした。これもよく見なければ何処に穴があったか分からなくなった。初めてにしてはまずまずの出来だろう。息子も満足してくれたようなのでよしとする。

バスルームを補修してみた

家を建ててから十数年も経つとあちらこちらに補修が必要になってくる。今回はバスルームの樹脂割れの補修をしてみたのでまとめておく。

最近の☓☓☓樹脂は丈夫である。丈夫なのだが、やはり荷重のかかる部分には経年劣化でひびや樹脂割れが起きてくる。樹脂には大別して熱可逆性樹脂と熱硬化性樹脂があり、日頃目に触れるものだけで20種類近くあって、表記がないと何の樹脂か判別できない。こういう箇所に使われるものは数種類に絞られるのだろうが、プロでもない限り見た目で判断するのは難しく、何だか分からねぇ樹脂という意味で☓☓☓樹脂と表現した。トリプルX樹脂という意味ではない。

鏡周りはこんな具合にひび割れている。

浴槽の下縁、裏に配管のあるシャンプー台、その固定用ステー周辺等も同様だ。

 

ひびならまだしもこれは完全に割れている。これを放置しておくとどうなるかは想像に難くない。鏡なんぞはかなりの重量物で、多分超強力な両面テープで接着されているに違いなく、鏡の重量に耐えられなくなるほどに周囲の樹脂が劣化した場合・・・うん、想像したくないな。浴槽もこのひびが成長したらやばい気がする。入浴中にそれが起きたら、浴室はインフェルノと化してしまうだろう。

当時住宅メーカの担当者に相談したら、既に交換部品はなくユニットバスを丸ごと交換するしかないとか抜かしやがった。

「パパは怒るよ。自分でやれば二千円もあれば補修できるものをわざわざ仕事くれてやると言っているのに、どういう理屈で百万円もかけてユニットバスごと交換するって話になるんだよ。この恩知らずがぁっ。」とこいつの首を刎ねておいた。無論俺の精神世界の中での話だ。こいつは既に三回位首を刎ねている筈なんだが、何度でも蘇って俺の前に現れる不死身の男だ。

よし、補修しよう。こういうものは思い立った時にすぐやらないと未来永劫後回しになる。二度とやる気にならない自信が俺にはある。駄目だ、今実行に移さなければインフェルノになる未来しか想像できない。

この手のものを補修する場合、素人は接着剤で何とかしようとする。しかしそれは下策だ。セミプロの俺はそんなものは使わない。使うのはこれ、プラリペアだ。

またこれか、これしか知らないんじゃないのとか言っている奴等の声が聞こえるが、まったく気にならない。え、接着剤って書いてあるだと。何かの間違いだ。印刷ミスか何かだろう。こんなものが接着剤の訳がない。接着剤というのは、物体同士をネバっとした何かとか、トロっとした何かで繋ぎ合わせるものだ。プラリペアは違う。接着する物体同士の間に敢えて欠損した空間を加工で作り出し、そこに此奴を埋めて固めるのだ。したがって、どちらかと言えばこれは充填剤の類だ。その証拠に此奴は型取りして流し込めば造形することだって出来る。

論より証拠だ。プラリペアは上記の様なひび割れ部分にセメダインの様に塗って接着するなんて真似はできない。まあ出来なくもないが、やっても強度が足りない。しっかりと接着するには下準備が必要だ。まずは彫刻刀を準備する。

年季物の彫刻刀だ。懐かしいな。昔はこれで木版画の四枚或いは五枚刷りで年賀状を作ったものだが、今はパソコンで絵を描くようになったので、彫刻刀の出番は滅多になくなった。だが、今ここに三角刀が再び役に立つ時が来た。ウェルカムバック三角刀。まず三角刀でひび割れの部分をV字に抉る。VゾーンでもVラインでもない。個人的にはVラインが好きだが、ここで必要なのはVラインではなくV字の溝だ。

この様にしてひび割れた部分にプラリペアを充填出来るだけの隙間を作り込んでいく。

抉る、抉る、兎に角抉りまくる。表からヤッたら裏からもヤリたいと思うのが心情だが、今回は外すことが出来ない箇所なので諦めよう。

こうして傷ついた部分を更に抉るには勇気がいるが、他人の傷を抉る行為と一緒で慣れれば快感だ。いい感じに割れ目ちゃんが出来たら、いよいよプラリペアの登場である。

はじめにアクリル樹脂の粉を作業用のカップに分ける。同様にメチルメチクリレートなる成分の専用リキッドもスポイトで作業用のボトルに分け、ニードルを装着する。

アクリル樹脂の粉の上に、ニードルの先から専用リキッドをポタりと垂らすと、液が粉を吸って玉を形成するので、それをニードルの先で串刺しにし、割れ目ちゃんに埋めていく。疚しい事をしているつもりは毛頭ないが、何故だか無性に本能を掻き立てられる。

この様にして次々盛り盛りにしていく。ポイントは、玉を埋める際にリキッドを程よく注入することだ。多過ぎると液垂れして流れ出し、少な過ぎると重合硬化しない。

数分で硬化する。十分に硬化したら強度的には目的とする補修が出来たことになるのだが、このままでは見栄えが悪いので塗装を行うことにする。

塗装するには、表面が平らになるように下処理をしなければならない。そこで再び彫刻刀の出番だ。今度は平刀を使用して、山盛りになった部分を粗方削り取る。

適当でいいのだが、この後サンドペーパーを当てて平滑処理をするので、削り足りないとサンドペーパーで磨く作業が大変になる。

指で触って凸凹が殆ど感じられないところまでサンドペーパーで磨くと塗装の下準備完了だ。

塗装を完璧にやるなら、この後に一旦エポキシパテを盛って、更にもう一度表面処理をする必要があるが、車等の塗装と違い浴室は普段人に見られることはない。したがって概ね傷が目立たない程度に仕上がればよいため、今回はパテ盛りを省略する。プロの仕事ならこれではお金は頂けないが、俺はセミプロだからな。女房子供を満足させられれば男手としては上出来だ。

塗装に入る前に、まずはマスキングだ。塗装は下処理とマスキングが勝負だ。マスキングテープとポリ袋を使って丁寧にマスキングしていく。

さて、いよいよ塗装だが、焦って事に及んだりしてはいけない。ここでいきなりペイントしようとする奴は、頭の足りない奴か常日頃から前戯をしない奴のどちらかだ。塗料は下塗りをしないと定着しないのだ。

まずはプライマーを塗って乾燥させる。樹脂の種類によっては塗料どころかプライマーすら乗らないものもあり、何だか分からねぇ樹脂に塗るには数種類の樹脂に対応するプライマーを選択する必要がある。これを均一に吹きかけた後に塗装スプレーで上塗りをするのだ。

今回の上塗りには、アサヒペンのラッカースプレー「アイボリー色」を使用した。吹きかけ始めは、塗料が均一に噴霧されないため、塗布面の外で吹きかけ始め、塗布面の外で吹きかけ終えることがコツだ。一度に厚塗りをせず、シューッ、シューッ、シューッと数百回に分けて薄く塗り重ねていく。

塗り終えたら完全に乾燥するのを待つ。二時間ほどで乾燥するので、マスキングを剥がす。乾燥する前にマスキングを剥がすと、マスキングテープに塗膜が一緒についてきて剥がれてしまうことがあるので注意が必要だ。乾燥後も慎重を期すため、カッター等で切れ込みを入れてから剥がすとよい。

概ね綺麗に仕上がったと思う。近くで見れば修復跡が分かるが、これなら普段は気にならないだろう。

最後に、コーキングが怪しくなっている部分もついでに補修する。シリコン系のシーリング剤が手軽で良いと思う。

隙間のある部分の両側を軽くマスキングテープで覆い、適当にコーキングする。

その後指先で均し、マスキングテープを剥がす。

こんなところで完成だ。取り敢えずこれで当面はインフェルノは回避できる筈だ。

実はこの様に一見普通に見える浴槽のカバーも・・・

裏側から見るとバリバリに割れまくった跡がある。こちらもプラリペアで三年ほど前に補修済(今回のように塗装もした)の箇所だ。これをやったときはまだプログを始めていなかったので記録がない。

こちらのカバーは端が幾つかの破片に別れ、フックも完全に折れてしまっていた。普通の接着剤だと、この様に接着面積が小さく荷重のかかる物は修復困難だが、プラリペアがあればここまで復元できる。

いかれたマウスを直してみた

妻がマウスの調子が悪いと言い始めた。暫くスルーしていたが、数日してまた「何か変なの。」と言ってきた。

彼女が使っているのは、LogitechのAnywhere MXだ。単3乾電池を二個入れるタイプで、程良い重みがあって使い易い。並行輸入品を購入したので詳しくはないが、日本市場ではLogicool製品として出ているM905t辺りが該当製品ではなかろうか。2018.12現在の最新型は多分MX Anywhere 2Sであろうと思われる。

妻はラップトップPC(所謂A4タイプのノートPC)を使っていて、普段は大抵同じ場所に置いてあるのだが、ソファの前にあるガラステーブルの上だったり、ダイニングの白いテーブルの上で使う場合もあり、そういう場所でもパッド無しで使えるAnywhereマウスを買ってあげたのだが、価格は決して安くない。壊れたからと言って使い捨てにできるような代物ではないのだ。

状況を確認してみると、確かにクリックを認識しなかったり、シングルクリックのつもりがダブルクリックになってしまう。なるほど、彼女が言う調子が悪い症状の正体は、マイクロスイッチの接触不良とチャタリングであるらしい。実のところ、自分が使っている同じLogitechのG700sというゲーミングマウスにも同様の症状が出始めている。

どちらもかれこれ5年近く使っているので、そろそろマイクロスイッチの寿命かも知れないと考え、G700sに使用されているマイクロスイッチをネットで購入した。マイクロスイッチは一個200円もしない。半田ごてさえ使えれば簡単に交換できる。

では準備に取り掛かる。まずは道具だ。今回用意したのは、精密ドライバー、半田ごて、半田吸い取り線、スクレーパー。家にあるものだけでやれそうだ。

おっと、ヘッドルーペを忘れてた。これがないとマイクロスイッチの半田付けなんて出来ない。テラサキ株式会社のメガビュープロLEDは、LEDライト付きで1.7倍、2倍、2.5倍、4倍(単眼)のレンズが付属しており、二枚重ねで組み合わせることも可能だ。レンズを跳ね上げることも出来て使い易い。こいつも道具箱から引っ張り出した。

脱線ついでに言っておくと、この手のものは日本製に限る。ドイツ製もいいが、中国製だけはあり得ない。何故ならば中国製だからだ。道具として大事なポイントは三つ。レンズに歪みや色収差がなく視界がクリアなこと、倍率が作業に丁度よい(高過ぎても低過ぎても駄目)こと。そして焦点距離が程良いことだ。倍率ばかりに目が行き易いが、焦点距離が短いと作業がし辛い。

さて、準備が整ったところで、早速マウスの分解から入る。まずは妻のマウスからだ。こういう時は、失敗も想定して人のものからやるのが常道だ。Logitechのマウスを分解するには、裏返してビスを外すのが定番である。ビスは大抵マウスソールの裏に隠されているので、最初にマウスソールを剥がす必要がある。スクレーパーでマウスソールを剥がすとビスが露出する。

このマウスの場合は、電池ボックスの裏側にもビスが隠されていた。

ビスは小さいので、精密ドライバーで外してやるとマウスのカバーと本体を分離することができる。ホイールなどには埃が入り込んでいるのでエアーかピンセットで取り除く。

さてと、マイクロスイッチは・・・。あー、んー、これはG700s用に購入した奴と違うな、駄目じゃん。もっと小せえ奴じゃん。ミスった。てっきり同じものだと思い込んでいたが、マウスのサイズが全然違うんだから、そりゃあパーツも違うよな。

さてどうするか。ここまでやっておいて作業を中断したら、パーツを入手するまでモチベーションが維持できるだろうか。いや絶対無理だ。ここでやめたら間違いなくこのマウスはゴミ箱行きになる。まずい・・・これ俺のじゃないし。

いや待てよ、妻がこのマウスをクリクリやった回数は、俺がオンゲでマウスをクリクリやってきた回数に匹敵するとでも言うのか。彼女のルーティーンは、「買い物かごに入れる(クリッ)」、「購入手続きへ(クリッ)」、「注文を確定する(クリッ)」、この三つだ。確かにこれら三つの操作に関して言えば達人の域に達していると言ってもいい。うっとりするほど優雅なマウス操作だ。俺には出来ない。

いやいやそんなことはどうでもいい。問題なのはクリクリ回数だ。どう考えてもゲーマーである俺よりマウスを酷使している筈がない。こっちは60fpsを超えるフレームレートの中で、ミリ秒を競うマウス操作をしているのだ。PCの前に座る度に、俺のライフがゴリゴリ削られていくのが分かる。生きている世界が違うと言っても過言ではない。もし仮に彼女のルーティーンが、俺と同じだけマウスを酷使しているのだとすれば、我が家はとっくに破産しているに違いない。

加えて、妻は至って大人しい性格だ。ゲーム中の俺と違って「くそがーっ」などと叫んでマウスを投げつけたりはしない。「死に晒せよやぁーっ」と声を張り上げてマウスやキーボードを連打したりもしないのだ。ひたすら静かに、慎重に品物を吟味し、「買い物かごに入れる(クリッ)」、「購入手続きへ(クリッ)」、「注文を確定する(クリッ)」を繰り返すのだ。

だとすれば、ひょっとすると・・・。

接点復活剤。これで直るかも知れない。電気系統の接点は、長く使用しているうちにカーボンや汚れが付着したり、接点部の酸化や摩耗による接触不良や、迷走電流の発生によりチャタリングに似た症状を起こすことがある。これはそうした汚れを除去して接点を復活させてくれるおクスリだ。各社から色々製品が出ているが、今回は町中のホームセンターで普通に買えるKUREのコンタクトスプレーを使う。

使い方は至って簡単であり、マイクロスイッチにプシュッとやって接点をクリクリやるだけ。駄目元で試してみることにする。

まずは、液剤が飛び散らないようにマウスをティッシュで包み、左のマイクロスイッチにプシュッ、右のマイクロスイッチにもプシュッ。

その後、左右のマイクロスイッチをそれぞれ100回ずつ楊枝の頭でクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリ・・・。

結果、直った。直っちゃった。それならと、G700sも同じ様にやってみた。

まずは分解。

そして左の敏感な突起にプシュッ。右の敏感な突起にもプシュッ。

ローション、じゃなくて接点復活剤で濡れた左の突起をクリクリクリクリ・・・。

ここかっ、ここがええのんかぁ・・・。それともこっちかっ、ここなのかっ。

右側もクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリ・・・。

あーっ。はぁはぁはぁ・・・。

直った。敏感なスイッチは完全に復活を果たした。二台のマウスは満足したように佇んでいる。これで暫くは機嫌が良い筈だ。購入したマイクロスイッチは完全に無駄になったが、まあいつか本当に壊れた時に役に立つだろう。

結論。マウスクリックが不調な時は、マイクロスイッチを交換する前に接点復活剤を試せ。

以上。

フローリングをコーティングしてみた

我が家を建築した際、入居前にフローリングのコーティングをするか住宅メーカの担当の方に聞かれたのだが、費用を聞くととてもそんな余裕はなかった。以来年に一度か二度フローリングにワックスをかけてきたのだが、これが意外に重労働だった。何せ毎回次のような工程を踏まなければならないのだ。

①フローリング上にあるテーブルやソファ等のあらゆる障害物を移動する

②既存のワックスを剥がす

③ワックスを塗る

④退けておいた障害物を元の位置に戻す

①②④が重労働なのだが、中でも特に②が大変な作業で、二階建ての我が家のワックスがけには毎度丸々2~3日かかる。

おそらく②をやらない方は多いのではないだろうか。だが汚れたワックスを剥がさずに上からワックスを塗ってしまうと、だんだんフローリングが黒ずんでいってしまう。特に我が家のような明るい色のフローリングの場合はそうだ。だから②は欠かせない工程なのだが、これが一番厄介で毎回苦労する。

それ故にワックス掛けは億劫になりがちで、やる気を出すまでに時間がかかる。だからと言って新築でもないのに数十万円もかけて業者にコーティングを頼む気にもなれない。そこで今回はワックスではなくコーティングを自前でやることにした。

用意したのは、「ビアンコートB」というものだ。DIYで施工できるコーティング剤は数種類市販されているが、施工方法を事前に調べることが出来たビアンコートBを選んだ。

では早速取り掛かることにする。まずは施工の邪魔になる障害物の除去からだ。

1 家具類の移動

ざっと見て、ソファ、センターテーブル、ストレスレスチェア、ダイニングテーブル、ダイニングチェア、電話代兼本棚、エレクトーン、テレビ、ステレオなどなど色々と邪魔だ。

しかも、どれも重量物ときてる。一人で何とかなるのはストレスレスチェアのみ。その他のものは基本二人がかりでなければ動かせない。エレクトーンとテレビ、ステレオ周りに至っては大の男が二人がかりでも厳しい。こいつらを別の部屋に移動しなければならない。そこで登場するのがこれだ。

「PICUS らくらくヘルパー360°ZP-360」。重量級の家具を移動する道具は色々市販されているが、全方向に移動できるものは少ないので、これは重宝している。まあ、移動シーンを解説してもしようがないので、此奴を使って邪魔物を隣部屋に押し込んだ。

2 ワックス剥がし

何度も言うが本題の工程の内、一番大変な作業がこれだ。塗ってから半年、一年と使い込んだワックスは、そう易々とは除去できない。例年はリンナイ等から販売されているワックス剥離剤を使うのだが、今回はしっかりと除去するためにより強力なものを選んだ。

花王のプロワン。5倍に薄めて使用する。この作業を行う際に絶対に必要なものは、100円ショップで買える風呂場用ブーツだ。これがないと、剥離剤を塗ってヌルヌルになったエリアから非作業領域に出るときに困る。こいつを履いて、剥離剤の希釈液をドボドボとフローリングに撒き、モップ等で塗り拡げていく。

ワックスと剥離剤が十分に反応するまで10分から15分かかるので、気温にもよるが折角塗った剥離剤が乾いてしまわないように、時々追加で希釈液を撒きながらモップで塗り拡げ続ける。十分に反応すると、ワックスがデロデロに浮いてくるので、これをそぎ取っていく。この作業には、ランダムアクションサンダーとカーボン製のスクレーパーを使用する。スクレーパーだけでは、しつこいワックスを完全に除去するのは難しい。

まず、ランダムアクションサンダーにワックス剥がし用のパーツ(別製品の物)を取り付け、剥離剤で反応したワックスに振動を与えてそぎ取り易くする。その上でジワジワになったワックスをスクレーパーでそぎ取っていく。スクレーパーは柔らか過ぎるとそぎ取り難く、硬過ぎるとフローリングを傷つけるので、この様なカーボン製の物が適している。

フローリングの隙間に入り込んだ古いワックスも、ヘラで掻き出す。これをやらないとフローリングの板の間が黒い筋となって目立ってしまうからだ。元々塗った時のワックスは乳白色だが、半年から一年経過するだけでこのような灰色になっている。一応言っておくが、断じて拭き掃除を怠っていたからではない。

このようにしてワックスを剥がすと、床面の見た目でも剥がした部分と古いワックスが残っている部分の違いは歴然だ。

経年劣化したワックスは、上図の様に拭き掃除では取れない汚れで黒ずんでいるので、毎回黒ずんだワックスの上からワックスを重ね塗りしてしまうと、フローリングはその度にどんどん黒ずんでいってしまう。

剥離作業を終えたら、次は残留剥離剤を除去する。この作業にはスチーム洗浄機を使用する。

我が家ではケルヒャーのスチーム洗浄機を使用しているが、特にこれでなくてはいけないということはない。ただスチーム洗浄機はある程度容量があるものがいい。容量が小さいとすぐにスチームが切れて水を補充しなければならない。しかし、一旦熱くなった本体は冷えるまでバルブが開けられないので、水を補充できるようになるまで時間がかかる。また、水を補充してから再びスチームが出るまで加熱にも時間がかかるため、容量の小さいスチーム洗浄機は作業性という点で使い物にならない。

スチームをかけては水拭きし、またスチームをかけては水拭きという作業を、フローリングの表面がヌルヌルしなくなるまで繰り返す。大体2~3度行えば綺麗に除去できる。その後は乾燥だ。フローリングが濡れたままではコーティングが出来ない。

十分にフローリングが乾燥したら、コーティング剤を塗る前にブタノールで脱脂する。無水アルコールなどでも構わないが、今回はビアンコートBに付属していたブタノールを化粧用のパフに染み込ませ、フローリング面を一通り拭いた。フローリングの上を裸足で歩いたり、コーティングする際にフローリングに素手で触れたりすると、皮脂が付着してコーティング剤がうまく乗らないので、ブーツを履いてゴム手袋をする。

3 コーティング剤塗布

コーティング剤の性質上、やり直しはきかない。塗りムラ、塗り残し、液垂れなどの失敗は許されないため、慎重且つ大胆に進めていく必要がある。塗り方の手順と塗り進める方向と順番を予めシミュレーションしてから一気に塗り進めなければならない。

広範囲を塗るため、ワックス用のモップを使用するが、新しいモップは糸くずが出るので掃除機で吸っておく。しかし、モップでは角の細かい部分に届かないため、最初に角をメラミンスポンジで極める。次にコーティング剤をモップにつけ、液垂れしないように扱いてから、一回で塗布する範囲を左右に動かして薄く均等に塗り拡げ、最後にモップの片側を上げて均す。イメージできたら一気にいく。

とは言え、本丸のリビングを初めにやるのは勇気がいるので、最初は廊下部分を施工した(上左図)。施工した部分と施工前の部分(右下)の差が明らかに分かる。両方施工を終えると、均等にフローリングの艶が蘇る(上右図)。

仕上がりに機嫌を良くして一気にリビングとキッチンも仕上げた。照明の違いで色合いが少し異なるイメージに見えるが、ほぼ均等に施工出来ている。後は乾燥させるだけだ。気温25℃だと三時間半ほどで乾燥するとのことだが、三時間半では歩いて問題ない程度にはなっだが、硬度はそれほどない感じがした。完全に硬化するまではもっと時間がかかるのだろう。

注意すべき点として、コーティング剤塗布中はエアコンを止めておくこと。エアコンを稼働させた状態で塗り進めると、乾燥が均一にならずところどころ下図のような硬化不良が発生する。もしかしたら、多少水分が残っていた影響もあるかも知れない。

こうなってしまったものは仕方がない。剥離は出来ないのでやり直しはきかない。慌てずスクレーパーでサクサクと削れるだけ削り、軽くサンドペーパーで均してからマスキングし、部分的に重ね塗りすれば問題ない。フローリングの継ぎ目で塗り直せば目立たない。

ちゃんとマスキングした方がよいが、メラミンスポンジで塗れば継ぎ目を外さずに正確な施工ができるので、塗ったところと塗ってないところが分からずに踏んでしまわないように目印を付ける程度で十分だ。

乾燥してコーティング剤が硬化したら、家具を戻して完成だ。

見た目はワックスを塗った後と大差ないが、明らかな違いは全く滑らないことだ。ワックスを塗った後に靴下などを履いて歩くと滑るので注意が必要だが、ビアンコートBの塗膜は全くそういうことがない。

そして何より良いのが被膜が硬いという点だ。ワックスだと頻繁に動かすダイニングテーブルの椅子の脚部周辺には、やはり細かい擦り傷がついていく。ワックス被膜は柔らかいので多少は自然修復されるが、やはり時が経つに連れて傷は増え、そこに汚れが付着し、艶が失われる。しかし、コーティング剤の被膜は硬いので、今の処新たに出来た擦り傷は認められない。

果たして、これで今後10年~20年塗膜が維持されるか否かは不明だが、今後の経過を観ていきたい。なかなか良い感じに仕上がったとは思う。

ダイニングテーブルを塗り直してみた

妻が五千円ほどのテーブルクロスをネットで買っていた。我が家ではテーブルにクロスはかけていない。暫くするとまた妻がテーブルクロスをネットで買っていた。妻がネットショッピングをすると私にメールが来るので分かるのだ。テーブルクロスも安いものではない。何があったのかと聞いてみると、妻の母親の家のダイニングテーブルの塗装が剥げたらしい。実際には剥げたのではなく、傷ついたダイニングテーブルをヘルパーさんが何とかしてくれようとした結果のようだ。それならと、塗り直してあげることにした。

見せてもらったところ、なるほどこれは酷い。どうやら紙やすりで削り、水性ニスを塗ったとのこと。原理的には間違っていないが、知識と技術と道具が足りない三重苦とも言える。このテーブルはウレタン塗装されているので、紙やすりで擦って部分塗装したのでは、むらなく修復することは困難だ。よって、ちゃんとやるには次のプロセスが必要になる。

工程1 ウレタン塗装を剥がす

工程2 木目を出す(これはオプション)

工程3 水性ウレタンニスを塗る(塗る度に表面を削り5~6度塗り重ねる)

工程4 磨く(水性ウレタンニスの完全硬化後)

では始めよう。

1 ウレタン塗装剥がし

紙やすりでやってもできないことはないが、延々と時間がかかる。紙やすりもどれだけの枚数が必要になるか分からない。ここはベルトサンダーが必需品だ。私は数千円で手に入る高儀 EARTH MAN ベルトサンダー BSD-110を用意した。

まずこやつに#60のヤスリベルトを付けて荒削りする。次に#120のものに替えて更に削る。側で見ている義母と妻がビビっているが、こういうものはある程度思い切りというものが必要だ。

一通り天板を削り終えたが、ここからが厄介だ。ベルトサンダーはカンナのように平面を削るための工具だ。テーブルの端の曲面を削るのには向いていない。多分オービタルサンダーを使った方がよいのだろうが、何しろ時間がない。再塗装まで含めて一日で済ませたい。そこで少々技を使い、ここでも研磨力の強いベルトサンダーを使用する。ベルトサンダーの底部で削ると曲面が平らになってしまうので、ヤスリベルトを少しずらしてベルトサンダー本体からはみ出させ、ベルトのテンションをうまく利用して曲面に押し当てていく。

多少技術は必要だが、この様にするとベルトサンダーでも曲面を綺麗に削ることが可能だ。最後にBOSCH(ボッシュ) 吸じんランダムアクションサンダーGEX125-1AEを使って、#180、#240、#400で表面をならして削り工程は終了だ。

2 木目出し

元の塗装は、あまり木目を見せない塗装だった。それを削り取ったところで、義母が「木目が綺麗に見えるわね。この白木の状態で使えないかしら。」と言い出した。使えないことはないのだが、白木の状態で使ったら、何かこぼしたりするとすぐ滲みになってしまう。オイル塗装してもよいが、その場合メンテナンスフリーという訳にはいかない。透明ニスでもよいかも知れないが、今回テーブルの足は塗装する予定にしていないので、色違いになって不自然なので勘弁してもらうことにした。その代りとして、ニスの塗り重ね回数を減らすために、ニス塗りの前にステインを塗る予定にしていたので、ステインを塗ってから一度削り、木目だけを残した状態にしてからニスを塗る工程に変更した。まずはステインを塗る。

ステインを塗ると木目に色が染み込むので、ランダムアクションサンダーで表面を削ってやると、木目に染み込んだ色だけが残り、後でニスを塗った時に木目が強調される。

まあこんな具合だ。上図ではランダムアクションサンダーに曲面用アダプタをつけて削っているが、先程の曲面塗装剥がしはこれでも出来る。ただ、ランダムアクションサンダー用の紙やすりは、#180から上しか用意していなかったため、時間短縮のためベルトサンダー#120でやっつけた次第である。

3 ニス塗り

さて、いよいよニス塗りをするわけだが、ダイニングテーブルは実用品だ。毎日過酷な使われ方をする。よって普通の水性ニスでは塗膜が弱い。そこで水性ウレタンニスを使用し、硬い塗膜を作る必要がある。

まずは一度ざっくり塗る。何度も塗り重ねては削るので、多少ムラになっても気にせず、なるべく薄く均等に塗り、乾燥させる。この時の気温は29℃。暑いのでエアコンを27℃設定で入れていた。塗料には普通インターバルタイムが仕様に示されており、この水性ウレタンニスの場合は25℃で90分と書かれている。塗り重ねるまでに必要な乾燥時間が、気温25℃では90分必要ということだ。このインターバル時間を守らないと、まともな塗膜が形成されない。しかし5~6回は塗り重ねたいので、90分は待てない。気温は指定時間より2℃高いとは言え、自然乾燥では30分の短縮は無理だろう。そこでドライヤーを併用することにした。そして一時間後、ランダムアクションサンダーの#400で削り、再びニスを塗る。

塗っては乾燥させ、削ってはまたニスを塗る。三度目の塗装からは刷毛ではなくコテパケを使って塗りムラをなくすように塗り重ねていく。

徐々に塗膜が深みを増し、艶も出てくる。

 

いい感じになったら、#1200の耐水ペーパーで軽く水研ぎをする。

ここまでで作業は終了し、義母に一晩経ったら使ってもよいと伝え、一旦引き上げた。

4 磨き

最後に#3000以上の磨き粉でバフをかけるのだが、ニスを塗り重ねた当日は塗膜が完全硬化しておらず、バフがけの熱で塗膜が痛む可能性があるため、後日再度訪問して最終仕上げを行った。

これにて完成。一枚板ではないが無垢材ならではの木目の綺麗なダイニングテーブルが再現された。

非常に喜んで頂けたようなので、一件落着。家にある道具(ランダムアクションサンダー、研磨剤)の他、追加購入した道具(ベルトサンダー)と材料費(ステイン、水性ウレタンニス、100均の刷毛等)合わせて一万円以内で完成した。

革靴を伸ばしてみた

当たって痛い革靴を伸ばす

妻がワンサイズ小さい靴を買った。彼女の靴のサイズは基本的に23cmなのだが、何を思ったか22.5cmのパンブスを買ったのだ。爪先と踵にしか足を覆う部分がなく、比較的柔らかい革を使用している靴だったので、履きなれてくると伸びてカパカパになるのを心配してのことだったのだが、案の定少し当たって痛いらしい。

仕方がないので、少し伸ばしてやることにした。靴を伸ばす際は、ストレッチ調整機能付きのシューキーパーか、専用のシューストレッチャーを使うのだが、今回はシューストレッチャーを使う。

このように形としてはシューキーパーと同様のものだが、伸ばすために先端部を広げられるようになっている。シューキーパーにもこれが出来るものもあるのだが、専用具には見ての通り数箇所穴が空いている。

何のための穴かと言うと、上の写真のように特に当たって痛い部分をピンポイントで伸ばすパーツを差し込む穴だ。元々空いている穴は位置が合わないので、適当な位置に自分で穴を開けて使う。

さて、早速伸ばしにかかるわけだが、こういう作業にもコツというものがある。革靴は、乾燥した状態で伸ばそうとしてもなかなか伸びるものではない。そんな簡単に伸びてしまったら履いたそばから伸びてしまいぶかぶかになってしまう。

履き込んだ靴が、足の形に伸びていくのは、履いている間に足が発汗し、湿った革靴が足の体温で温められ、浮腫んで膨張した足によって徐々に伸びていくのだ。よってこの状態を作り出さなければならない。革は、濡れた状態から乾燥する際に、濡れたときの形状を維持しようとする性質があるのでそれを上手に利用するのだ。したがって、革靴を伸ばすには次のようにする。

◆革を湿らせる(濡れると革は伸び易い)

◆ストレッチャーで広げる(拡げ過ぎに注意)

◆温める(温めると革は伸び易い)

◆放置する

注意すべきポイントは二つ。一つ目はストレッチを一度にかけ過ぎないこと。過度なストレッチをかけると革が破れたり、靴底との接着が剥がれたりする原因になるので、ストレッチは数回に分けて徐々に行うとよい。

二つ目は今回伸ばしたのはエナメルの靴に対する注意。言うまでもなくエナメルの靴は熱に弱い。絶対にドライヤーを当てるな等と書いているサイトもあるくらいだ。しかし、世の中に絶対などない。今回は温めることで革を柔らかくすることが目的なので適度にやれば問題ない。

いい感じに拡がった。妻も喜んでいる。彼女は右足の方が少し大きいらしく、もう一足痛いのがあるというのでついでに伸ばした。

革のグローブを洗ってみた

皮革製品は洗える

革製品というのは水でジャバジャバ洗える。洗えるのだが、勇気がいる。特に値段の高いものを洗うには相当の勇気がいる。だが洗わないとまずいものも中にはある。それがグローブだ。

防寒用のグローブは一度買うと長年使う。長年使うとそれなりに表面も汚れがつくし、内張りだって汚れている筈だ。ゴルフのグローブなんて一度ラウンドすれば相当汗に塗れる。それらを放っておくとどうなるか。当然雑菌が繁殖し、不潔になり、場合によってはカビも生える。ゴルフのグローブの場合はそうなる前に大抵破れてしまうが、やはり不潔だ。

だから洗う。革が洗えなかったら、人間は風呂になど入れるはずがないし、動物だって水浴びするんだから、革は洗える。しかし、生きている動物の皮と違って、加工品である革は水分も油分も補給されないので、そこだけはしっかりやらないと、当然ごわごわになってしまう。逆にそれさえしっかりやれば革を洗うのに何の問題もない。

さて洗おう。今回洗うのは、もうかれこれ十年以上使っているMEROLAのグローブと、数百円で買えるゴルフグローブだ。洗うのに必要なのは、これだ。

モゥブレイのレザーソープ。他にも色々あるのだろうが、私はいつもこれを使う。基本的には馬の鞍即ちサドルなどのなめし革を洗う時に使う専用の石鹸だ。これを濡らしたスポンジなどに取って泡立ててから、水に浸してたっぷり水分を含んだ革を洗う。最初は勇気がいるが、一度やってしまえばどうと言うことはない。

ここでコツというほどのものではないのだが、このソープの説明書にもある通り、洗った後はさっと水をかける程度で拭き取るのだ。普通の洗濯では石鹸成分が残らないようにしっかり濯ぐのだが、革をこのレザーソープで洗う際は成分が革に残る程度でよい。

次に、水分をしっかり取ってから乾燥させる。革靴を洗う場合はシューキーパーがあるので型崩れを防ぐことが出来るのだが、革のグローブでは流石にそんなものはない。ではどうするかだが、こうするのだ。

ヘアドライヤーで熱風を送り、グローブ内を空気で膨らませることで形を整える。皺が寄ったままで乾燥させると革に皺が定着してしまうからだ。この際に送風ではなく熱風を使うのは、送風じゃ乾かないから(笑)。

馬鹿言ってんじゃないよ、とプロには言われそうだが、これでいいの。確かに、陰干しでやるのが良いに決まっているのだが、プロと違ってそんなことをしている暇など一般人にはない。

何故かと言うと、完全に乾燥させてしまっては駄目なのだ。半乾き、生乾きの状態で次のケアに移る必要がある。陰干しで放って置くとうっかり忘れて乾き過ぎてしまう場合があるので、このようにして一気に生乾きの状態まで持っていくのだ。

生乾きの状態になったら、次はモゥブレイのデリケートクリーム。

繰り返しになるが、ポイントは完全に乾燥する前の生乾き状態で塗り込むこと。乾燥してゴワゴワにしてしまってからでは元の質感を取り戻せない。十分に塗り込んだ後、デリケートクリームが浸透するのを待ってから、最後にこれだ。

Collonil の Supreme Delux Cream

これをしっかりと塗り込んで、あとは自然乾燥させて完成だ。ほぼ完全に元の質感のまま綺麗になった。

同様の手順でゴルフグローブも洗濯した。ゴルフグローブの場合は艶出しなど不要なので、Supreme Delux Cream は使用しない。逆に使用するとグリップが滑りやすくなってしまうのでNGだ。夏場、汗でぐちゃぐちゃになった革のグローブを、次のラウンドでも使うなんてあり得ない。

皮革のひび割れを修復してみた

皮革製品は、長く使っていると徐々に傷んでひび割れてくる。そうならないように手入れを怠らないようにしたいものだが、財布や小物類ならともかく、ソファーやダイニングの椅子、車などのレザーシートやバッグ類となるとなかなかそうもいかず、段々とダメージが蓄積していく。革のバッグ類などもそうだ。どうしても色が退行したり、擦れて傷んでくる。痛み具合が酷くなると用廃となり、新しいものを買うことになるわけだが、それがちょっと値の張るものともなると、余程のお金持ちでもない限り、おいそれと買い換えるわけにもいかない。

そこで修復作業となるのだが、そういうものを生業としている業者は存在する。頼めば綺麗に直るらしい。しかし、問題はその費用だ。その技術が優れていればそれなりに費用もかかるのが道理だ。リペアの費用で新品が買えてしまうようなことはないが、「そんなにかかるならいっそ・・・」と考えてしまいたくなるほどにはかかるものだ。

今回は、そんな皮革修理に挑戦してみたので記録として残しておく。対象はダイニングの椅子だ。

一見綺麗に見えるものの、長年使い込んだ椅子は、よく見ると下の写真のように傷んでひび割れてしまっている。これを修復しようというわけだ。

最初にアセトンを脱脂綿に含ませ、革の表面の油脂分をさっと拭き取る。これにより革に与えるダメージは大きいので、本当はあまりやらない方がよいと思う。革へのダメージを考えると専用の革クリーナーでもよい。今回は数日前に革の手入れをしたばかりだったので、敢えて拭き取ることにした。

修復にはフランスのAVEL社が出しているSAPHIR Creme Renovatriceを使う。日本語でググるなら「サフィール カラー補色クリーム」とかで検索できると思う。

もしかしたら、この記事を読んだ人の中には「こいつ馬鹿じゃね・・・」と思う人もいるのではないか。そう、SAPHIR(サフィール)って一般的には靴クリームなどでよく見かけるからだ。そして靴クリームは色落ちや色移りする代表的なものだ。そんなもので革の椅子やバッグに補色したらどうなるか。そう思われても不思議ではない。

しかし、此奴は靴クリームではないし、色移りもしないのだ。そして、色の種類も多い。ここでわざわざ紹介しないでも、誰でもググればすぐ分かることなので敢えて写真は載せないが、非常に様々な色のバリエーションを持っている。何より、合う色がなければ混ぜ合わせて作ることが容易なのだ。

実は革小物のちょっとした傷や、面積の小さい修理にはアドカラーというものの方が手軽に出来るし、私もよく使う。

これなのだが、指に直接つけて修理したい箇所に塗りつけるだけで、実に簡単に修復出来てしまう。これも便利品だ。傷の深いものには、まずキズ消し(上の写真の台紙が青いもの)で溝を埋めてから着色すればいい。色がズバリ合っていて、ちょっとした修理の時は便利だ。

しかし、これの欠点は色のバリエーションがSAPHIRほど多くないという点と、ラインナップにない色を自分で作成することが困難という点だ。より正確に言うと、混ぜれば色は作れるのだが、乾燥するのが速いため、混ぜているうちに乾燥が始まってしまい、塗れる量が減ってしまう。無水アルコールを使えばある程度は薄めて使うことは出来るが、広範囲の皮革を補色するにはアドカラーよりSAPHIRの方が使い勝手が良い。

何故なら、SAPHIRにはこういうものがある。

ググる場合は、「SAPHIR 汚れ落とし ユニバーサルレザーローション」だ(笑)。これは汚れ落としなのだが、補色クリームのシンナーとしても使える。いや、使う必要がある。補色クリームをこれで薄くのばして、何度も均一に塗り重ねるようにしないと綺麗に仕上がらない。必需品なのだ。つまり、購入する時は

こうでなければならない。そして、使う時は

こうだ。このように5倍から10倍にのばし、ウエスなどで全体に薄く塗り重ねていく。注意点としては、「気になるところを集中的にやってはいけない」ということだ。気になっても我慢して根気よく、と言っても数回濡ればその効果はすぐに目視できるほどに現れるので、それほどイライラすることはない。塗り重ねる際は完全に乾くまで待つ必要はなく、ある程度面積のあるものなら、全体を塗り終えた頃に塗り始めの箇所に戻って塗り重ねていく位で問題ない。それ以外にこれといったコツやノウハウはなく、仕上がりは下の写真のようになる。大事なことはこういうものがあるということを知っておくことだろう。

冒頭で示した修復前の状態と比べればその差は一目瞭然だ。あんな状態でも、この程度までは修復できる。

同様にちょっとお高いイタリア製のソファーも修復してみた。

こんなになってしまったクロコダイルのベルトも

この通りだ。因みに革の表面が荒れて剥がれてきてしまっていた部分は、下記(Scotch 皮革用強力接着剤)を使って接着した後に、SAPHIRで補色した。

仕上げには、何れもCollonil 1909 シュプリームクリームデラックスを使用した。これも実に素晴らしいのでおすすめだ。こういうものを塗る時はウエス等につけて塗り込むのではなく、手につけて直接塗るべきだ。だって手だって動物の皮だ。これつけると手の状態もよくなるに決っている。決してウエスに残ってしまう分が勿体無いから・・・ではないのだよワトソン君。