カーバッテリーの補充電

かれこれ30年前になるだろうか。初めて新車を購入した際、嬉しくて車にあれこれ取り付けた。まあ兎に角色々だ。面白そうと思ったものを片っ端からつけた覚えがある。

それから何世代か経て今の車があるわけだが、購入してからバッテリー上がりが一度あり、バッテリーを交換した。

その前の車は二度バッテリーを交換した。内一度はオルタネータが故障して発電できなかったせいなので仕方がないが、それでも一度は確実にバッテリーの寿命と見られる。

車用のバッテリーは大抵寿命3~4年とされている。だが、初めて購入した車のバッテリーは7年半一度も上がることなく交換もしなくて済んだ。

何が違うのか。思えば最初の車にはソーラーチャージャーをつけていた。太陽電池セルをバッテリーに直結していたのだ。しかし、30年前と言えばそんな製品が初めて出始めた頃だ。太陽電池の発電効率もかなり低かった筈で、当時はオモチャみたいなものだと思っていた。しかし、違いとして考えられるのはそれくらいだ。車を運転する頻度にそれほど差はない。

そして、今の車は2年前にバッテリー交換したにも関わらず、もう怪しい気がする。何となくアイドリングが頼りない時があるのだ。

そこで、またいけない虫が騒ぎ出した。そして購入してしまった。だって今は太陽電池の発電効率は大幅に改善された筈だよ。そうでしょ。そうだよね。そうに違いないってば。

ポチッとやった。届いた。パッケージを開けた。最近はこのプロセスが物凄く短くなった。時間効率にしたら、おそらく太陽電池の発電効率の向上を遥かに上回っている。

そういうことを考え始めるとなんか負けた気になるので、考えるのをやめる。いいんだ、これでいい。

購入サイトにはカナダ製とあるが、勿論Made in Chinaだ。一応日本語取説も付属しているが、情報量はパッケージに書かれている域を超えないので、役立たずと言っていい。購入サイトに「取扱説明書(日本語)」とわざわざ書いてある時点でこれは想定の範囲内だから構わない。

パッケージに含まれているのは、太陽電池セル本体と接続コードが3種類。

まあ、見りゃ分かるよ。シガーソケットアダプタ、バッテリー直結用の鰐口クリップ、ヒューズ接続用コード(大小のヒューズを交換可能)の3種類だね。それに補充電に使うものなんだから、取説なんてなくてもバッテリーに並列接続するものだということくらい猿でも分かる。いや猿じゃ分からんか。小4をクリアできた人なら誰でも分かる。

まず最初に分かることはシガーソケットアダプタなんていらない。だってこれはエンジンかかってない時にバッテリーを補充電するものなわけだ。シガーソケットはエンジンがかかってないと通電されない。つまり意味がない。何故こんなものつけてるのか。

二番目に分かることは、バッテリー直結用の鰐口クリップなんていらない。ジャンパーコードじゃあるまいし、こんなもの使えるかよ。走ってる内に外れちゃうに決まってる。何故こんなものつけてるのか。

三番目に分かることは消去法でヒューズ接続コードしか使えないということだ。そしてここから先は少し想像力が必要らしい。ヒューズのアンペア数がパッケージにも取説にも書いてない。

上の写真を見れば分かる通り、接続コードの途中には別途ヒューズが付いている。したがって、この製品そのものがラリった時にはそのヒューズがまず切れるから問題ない。

しかし、この製品自体は車両側の常時電源が供給される場所のヒューズを抜き、ブリッジ接続コード付きのヒューズと交換するものだ。常時電源が供給されるどの容量のヒューズと交換すべきか、その情報がないわけだ。

そこでケーブルをじっと見る。うちの車は小さいタイプのヒューズを使用してるから付属コードも小さいヒューズのものに差し替えるとして、重要なのは色だ。

うん、青いね。青だから、まあ普通は車両側の15Aヒューズと交換すればいいのかなと想像した。合ってるかどうか分からないが、それしか判断材料がないからね。

そこで常時電源が供給されている電装品のヒューズで、容量が15Aのもので、且つ室内のヒューズボックスであることを条件に選定した。

調べたところ、それは運転席側ヒューズボックスなら「ドアロック開閉」、助手席側ヒューズボックスなら「ドアミラーヒーター」の何れかしかないことが判明した。何故にドアミラーヒーターが常時電源なのかは解せないが、そうなっているのだから受け入れよう。余計なことで悩むとメンタルケアが必要になってしまう。例え納得できなくても受け入れるしかないことは世の中には沢山あるんだ。ドアミラーヒーターが常時電源になっている理由なんて考えなくていい。

それを受け入れた上でどちらのヒューズを選ぶか。熟慮すべきはこっちなんだ。ドアミラーヒーターが常時電源である必然性で悩むべきじゃない。

そしてこれは、太陽電池セルの置き場所を運転席側にするか助手席側にするかということで決めていい問題でもない。この製品のせいでヒューズが吹っ飛んだ場合、どちらが致命的かで判断すべきだ。

「ドアロック開閉」のヒューズが逝ってしまうのはどう考えてもまずい。しかし、「ドアミラーヒーター」のヒューズなら致命傷にはなり得ない。

ということで迷わず助手席側のヒューズボックスに接続することとした。置き場所も自ずと助手席側になる。
助手席側ヒューズは発煙筒の隣りにあった。該当ヒューズを抜いて本品付属のコードと差し替える。

マイナス側はボディアースに接続する。ヒューズボックスを止めているビスがボディアースになってるかどうか分からないし、アースが浮いてる可能性があるので、確実にボディアースになっているところを探して接続した。うちの車(DBA-GSE20)の場合はグロープボックス横のプレートを外すと現れる隙間の奥にアースポイントがあった。

ここまでできれば本体と接続するだけである。

まず本体を設置する。

Aピラーを外してケーブルを通す。ケーブルがSRSエアバッグに被ってしまわないように注意する。

ケーブルが見えないようにグローブボックスの脇に落とす。

ヒューズ側配線と繋ぐ。

接続完了。本体を吸盤でフロントガラスに貼り付けて完成。

運転席側からの視界。目障り(笑)。

若干目障りだが、ダッシュボードが日照で傷まないようにアルミシートの日除けを置くことを考えると、ダッシュボードに置いたのではシートが被ってしまって発電できない。

そのうち慣れるだろう。

参考(ラチェット式メガネレンチ)

今回アースポイントのボルトを緩めるのに使ったラチェット式メガネレンチである。スパナではまったく緩めることができなかった。裏表で8mm、10mm、12mm、13mmの本締めに対応できる。これ一本あると非常に便利だ。

iPhoneは太陽電池で充電できるか(Anker Power Port Solar編)

結婚して初めて買った車に太陽電池の充電器を繋ぎ、ダッシュボードに置いたのが今から27年ほど前のことだ。当時の車用バッテリーは密閉型ではなく、時々バッテリー液の補充が必要で、製品寿命も長くはなかった。同時期の太陽電池パネルは発電効率も悪く、市販品のそれは精々10%前後ではなかったかと思うが、縦10cm、横20cm程の太陽電池パネルに接続された当時の愛車ギャランMX-4のバッテリーは、新車時から7年経っても白い粉を吹くこともないまま、ヘタりもせず、したがって交換の必要もなかった。

多分だが、あの当時の太陽電池式充電器には、充電効果なんてものは殆ど期待できなかった筈だ。それに加えて車の利用は平日に妻が買い物にちょい乗りする以外は殆ど休日に限られ、毎日エンジンをかけることはなかったので、バッテリーには決して条件が良いとは言えなかった筈だ。それでも保ったのは、自然放電分がは補えていたことと、常に電極に電流が流れていたことが電極の劣化を防ぎ、バッテリーの寿命を伸ばしたのではないかと推察される。

その後乗り換えた初代アリストのバッテリーは、以前のギャランのものより容量が大きく、太陽電池パネルなど必要ないだろうと思ってノーケアだったのだが、ギャランと同じ様な使用頻度だったのに四年ほどでバッテリー上がりを起こしてしまった。当初懐疑的だった太陽電池式充電器には、それなりの効果があったようなのだ。

と、ここまでの展開はカーライフ的なのだが、今回の話題はカーライフの話ではない。わざわざ前振りしたのは、太陽電池の実用性を語るためだった。ご存知の通り、太陽電池とは「電池」という名前ではあるが「蓄電」能力はなく、所謂「発電機」である。昨今は太陽電池の発電効率も上昇し、20%を超える位にはなってきている。時計やスマートウォッチ程度の消費電力であれば、直径4cm強の円形に配置された太陽電池パネルで賄える様になって久しい。

しかし、スマホやモバイルPCの消費電力分を賄うとなると、ある程度大型の太陽電池パネルがないと現在でも厳しい。東日本大震災の際、我が家のある地域では再三に亘り計画停電にされた。しかし、今どき何らかの情報機器が使えないと大規模災害時などに情報収集や連絡もままならない。数日分の水や食料の備蓄があってもスマホ程度は使えないと家族との連絡も取れず困るのだ。

そもそもそういう事態では、局側の輻輳制御がかかってスマホなんて繋がらないだろうという冷静な話はここでは置いておく。それを言ったら、普段使うことなどほぼない無駄な出費をすることに関してハードルが更に上がってしまう。無視だ、無視。

そこで、USB 機器に充電できる太陽電池式の充電器を探してみたところ、これが実に色々ある。ネットで「太陽電池 スマホ 充電」などのワードで探せば、安価なものでは二千円程から、上は四万円を超えるようなものまで沢山ヒットする。

非常用なのでそんなに高価なものは必要ないが、かと言って実用上役に立たないものはいらない。やはり五~六千円でそこそこ使えて、持ち運びも苦にならないものが欲しい。

という条件で選ぶと、下記の二択となった。

Anker: Power Port Solar(出力21Wを謳っている理由は謎)

最大出力 5V/3A、2ポート、太陽電池パネル三枚

RAVPower: RP-PC005

最大出力 5V/4.8A 3ボート、太陽電池パネル四枚

大は小を兼ねるとは言うものの、平時は必要ないものなので、この記事を書いている時点でより安価なAnker製品をチョイスした。

最大出力が5V/3Aとなっているのに21Wというのは解せない。

USB ポートは仕様通り二つ備えている。

試しに妻のiPhoneをリビングの室内でつないでみた。何故自分のではなく妻ので試したのかと言うと、決して「壊れるのが怖かった」からではない。自分のを繋ぐとこのブログ用の写真を撮れないからだ。結果はというと、この状態では充電は始まらない。光が弱過ぎるのだろう。

持ち上げて、外に出してみたところ、充電が始まる前に例のやつが出た。所謂Apple純正品じゃないパーツや認証を受けていないパーツを繋いだときに出るメッセージだ。どうでもいいのですぐさま「了解」をプッシュ。

 

そうすると充電状態に移行した。上右図のように日当たりが悪くなると、上記のメッセージが再び出て、「了解」するまで充電状態に移行しないので、下図のように日陰にならない南側で太陽に向けておく注意が必要なようだ。

また、当然だが太陽光の入射角が90°になるようにすると効率が良いようである。撮影時のコンディションでは充電57%から65%になるまで10分強といったところであった。

多少時間はかかるようだが、非常時やアウトドアで活動する際にはあると便利かも知れない。よく晴れていれば十分に実用の範囲内と思われる。

注意すべき点としては、充電器同様iPhoneは熱くなるので、日当たりの下に晒して充電しない方がよいだろう。

これは非常時のツールなので、空っぽの状態からフル充電のテストは今のところやるつもりはないが、本当にやらなければならなくなったら、iPhoneは太陽電池発電器の裏側に置いて日陰にするなど、冷却対策は必要かも知れない。