フィギュア三女はポリマークレイ(前編)

最初にフィギュアに挑戦してから、もう3年近くなる。処女作である長女はエポパテ(エポレジンプロ)、第二作の次女は長女の髪を造形して余った石粉粘土(ダイソー)でそれぞれ造形した。第三作目となる三女は、ポリマークレイに挑戦しようと思って材料も調達済だった。ポリマークレイとは所謂熱硬化型の樹脂粘土である。

しかし、気の多い私は他に色々と手を出してしまい、そのまま放置していたというわけだが、今年に入ってからのコロナ禍により、自宅から出難い状況が長く続き、再び創作意欲が湧いてきたのでこの機に取り組んでみた次第である。

ポリマークレイにも色々あるが、今回使うのはこれ。Super Sculpey(スーパースカルピー)のベージュである。

此奴の特徴は、エポパテや石粉粘土のように、硬化時間を気にしながら素早く造形する必要がないということだろう。加熱するまで硬化することがなく、納得いくまで造形を追求することができるという代物だ。

そういう性質のものであるので、購入してから3年近く経過していても全く問題はない。

 

1 構想
まず最初に造形の構想であるが、大体は頭の中でイメージできているので、ボディモデルを使ってイメージを具体化する。
ゴルフ女子にチャレンジしてみたい。

 

2 スケルトンの作成
イメージアップができたら、全体のサイズ感と骨格のバランスを考慮して、アルミニウムの針金で骨組みを作成する。
骨組みができたら、針金にアルミ箔を貼り付け易いように両面テープを巻く。
両面テープを巻きつけたら、肉付けし易いようにアルミ箔を巻き付けていく。
これでスケルトンの完成。

 

3 肉付け
次は、アルミ箔を巻いたスケルトンに、スーパースカルピーを盛っていくわけだが、まずはスーパースカルピーを十分に練る必要がある。
しかし、このスーパースカルピーは、エポパテや石粉粘土と違ってあまり粘性がなく、且つ結講固いので、一度に大量に練るのは厳しく、小分けにして少しずつ練らなければならない。練っては盛り、練っては盛りの繰り返しだ。ひたすら練る。これが大変な作業である。
練る。練る。練る。
練る。練る。練る。
脚から腰へ盛る。盛る。盛る。
腰から胴体へ盛る。盛る。盛る。
モルっ。モルルっ。モルルルーっ。
あまり盛り続けると、部屋の隅でモルモル鳴きながら蠢く謎の生物に変身してしまうので、おかしくなる前に休憩を入れなければならない。

 

4 身体部位の大きさのバランスを取る
胴体と脚にスーパースカルピーを盛った辺りから造形が本格化してくる。
デフォルメするならどうでもよいが、リアルなフィギュアを作る場合は、身体の大きなパーツで大雑把にバランスを取ってから、首(太さと長さ)や頭(大きさ)、腕(太さと長さ)を決めて造形していくとよい。
熱を加えるまで硬化しないので、頭を付ける際には吊り下げ用のフックを付ける。
ヘラを使って整形しながらボディラインを作り上げていく。
練るのは大変だが、実に使い易いし、質感も素晴らしい。
足を造形する。
手を造形する。大体のフォルムを作ってからニッパーで指を切り離すように造形していく。
全体のフォルムが概ね出来上がったところで、ディテールの仕上げに入る。
モールディング用のヘラを使って余計な部分を削り取る。

人間も、太ったらこんな風に脂肪を削り取れたらいいのに・・・。
柔らかなラインが必要な部分は、弾力のあるヘラで丁寧に仕上げる。
首筋から肩に流れるラインと、デコルテは特に繊細な曲面が要求される。
髪は女の命、人形は顔が命とか、昔何処か(久月だったか)のコマーシャルで言っていた気がするが、断言しよう、フィギュアの命はお股だ。

 

そうだ、お股と言えば甥のK太郎がいたな。奴が3歳の頃だったか。
私「K太郎は何が好きなんだ。」
甥「オマタ。」
私「・・・えっ。」
甥「オマタ」
私「・・・お股って、あのお股か。」
甥「うん、オマタ。」
妻「(くすくす)Kちゃんお股好きなのねー。どうしてお股が好きなの。」
甥「だってオマタ、カワイイんだもん。」
私「そ、そうか、K太郎、これからはお前のことを同志K太郎と呼んでやろう。それでK太郎の好きなお股ってのは、どんなお股なんだ。」
そこでK太郎は母である義妹のスカートに手を伸ばし・・・
義妹「っ、K太郎っ。」
私「よし、K太郎、お前はいい奴だ。」
義妹「ちょっとお義兄さんっ、そういうことはお姉さんにやってください。」
私「えっ、犯人はこいつじゃん、俺何もしてないじゃん。」

そんなK太郎も今や高校生だ。衝撃的なエピソードだったのだが、覚えちゃいないんだろうな。今言ったらきっと怒るだろうから言わないが、私はちゃんと覚えてるぞ、同志K太郎。

でもな、同志K太郎よ。お股は確かに可愛い。男が女のお股を可愛いと思わなくなったら人類は滅びるからな。お前は正しい。だがお前はまだ若い。若いというより青い。お前の好きなお股はここだよな。

いや、そこもいいよ。確かにいいんだが、私のようなセミプロ、いやここは敢えて通と言おう。通はそこじゃないんだ。通はな・・・

ここだ。ダイレクトお股に勝るとも劣らない女性のセクシーポイントがここなんだ。腰骨まで入る深いスリットのドレスから見え隠れするココが絶品なのだよ。同志K太郎、お前にも分かる時が来るといいな。

多少脱線したが、こうして女性のフィギュアを作るとつくづく思うことがあるる。女性というのは身体のすべてのラインが見事に曲線で出来ている。曲線美とはまさによく言ったものだと思う。故に私が考えるフィギュアを女性らしく作るためのコツは二つだ。
1 ボディラインが連続的な曲線であること
2 そこはかとなく「ふっくら」させること

 

というわけで、抗えない欲望を潔く追求し、三作目のシェイピングモデルが出来上がった。自分で言うのもなんだが、長女、次女より三女の出来がいいと思う。

この後、ポージングしてゴルフウェアを着せてから焼成するか、ポージングだけして焼成してからゴルフウェアを着せるかちょっと迷っているので、ここで一旦製作を止め、ポージング以降については後半で投稿することとしたい。

硬化していないので、寝かしておくことが出来ないため吊り下げて保留。逆にこういうことが出来るのも樹脂粘土の利点かな。

石粉粘土でフィギュアを製作したら超簡単だった

さて、今回はフィギュア作成プロジェクトの第二弾。石粉粘土版のプロトタイプ作成に挑戦してみようと思う。

創るのは勿論女性の裸体フィギュアだ。今回もまだプロトタイプな理由は、初挑戦のエポパテ編で述べた通り、パテ(エポキシ、ポリ)、石粉粘土、ポリマークレイなどの素材を順番に試している段階で、気持ちの中でまだ最終的な仕上げのディテールに拘る気がないから。素材の特徴やら制作法によってどんな違いがあるのかはやってみないと分からないので、作り方なども変えて挑戦していこうと思っている。

これは大いなる実験的アートプロジェクトなのだ。アートなのに何故フィギュアか、そしてフィギュアも毎回どうして裸婦なのか。それはモチベーションが持続できるテーマが女体だからに決まっている。男なら女体に飽きるなどということは絶対にない。いや、あってはならない。そんなことがあったら人類は滅亡してしまう。男なら人類存続のために日々戦わなければならない。

能書きが長くなってしまったのでそろそろ本題に移りたい。

1 イメージングと制作法

こういうものを作る際、多くの人はスケッチを描くらしい。そのスケッチを元にサイジングをし、バランス調整などを行うのだそうだ。所謂図面だが、私はそんなもの描かない。何故なら私には妻がいる。いや、妻をモデルにしているからなんてことはない。あり得ない。絶対にない。では何故か。絵の方がイメージを具現化し易いので、そういうスケッチをすると大抵妄想が暴走する。それによって何が起きるかは明らかだ。

絵を描こうとする⇒妄想が暴走する⇒変な絵を描いてしまう(に違いない)⇒分岐発生

分岐1: 絵を描くことで満足してしまう⇒絵に描いたほどのものが作れないというマイナス思考に陥る⇒制作意欲が減退する⇒orz

分岐2: 描いた絵が妻の目に触れる⇒変態扱いされる⇒冷たくされる⇒orz

どちらもハッピーなことにならない。

そこで独自に制作法を編み出した。名付けて「Multi-level Free Imaging Method」。略してMULFIM法。素晴らしいネーミングだと思う。

英語の分からない人のために日本語で言い直そう。「段階的自由発想法」。略して段自法。

日本語って、こういう名称をつけるには実に不向きな言語だと思う。駄目じゃん。格好良くないもん。それに意図が分かりやす過ぎじゃん。

要するに何も考えないで取り敢えず始めて、作りながら考えるんだろ、とか言われたらがっかりじゃん。

2 Multi-level Free Imaging Method

気を取り直して記録作業に移る。

まずはMULFIM法の真髄であるパーツの製作から入る。今回はアルミニウムの針金によるボディフレームは作らない。ボディを胸部、腹部、腰部、脚部に分けてパーツで製作し、可動部を蛇腹付きのストローで連接した。ここがMULFIM法のポイントだ。

我ながらよく思いついたものだと感心する。実際にストローの蛇腹を使おうと思いついたのは、今回作成するフィギュアの中身を空洞にして作ろうと思ったのが発想の発端だ。理由は、プロトタイプ1号の髪を造るのに使った残りのダイソー石粉粘土(200g入り)の残りでは、空洞化しないと足りないからだ。100円なんだからもう一個買えばいいじゃないかと言われそうだが、空洞化すれば作れるんだから買い足す必要などない。

内部に空間があるということと、ボディを連接して可動部を作っておきたいということから、ストローの蛇腹という着想に至った。こうすることで可動部をうまく関節化することができた。

この点さえクリアできれば、最初からスケッチをしてポージングを決めておく必要などないのだ。

そして何と言っても今回の彼女は空洞だ。最薄部はなんと2mmもない。軽い女なのだ。いいね!!

しかし、さすがにこれだと後々加工の最中に割れてしまいそうなので、中にはティッシュを詰めて、石粉粘土で蓋をした。他のボディパーツも同様だ。

大体良いバランスに出来上がった。

これは別に木馬責めをしているわけでは決してない。まだ自立できないからこうやって保管しているだけだ。

続いて最終的なポージングに入る。

Multi-level Free Imaging >>>

決まった。

あれ・・・

どうしてこうなった。

3 ポーズの解説

跪いた女性の憂いのあるセクシー感を出したくて、顔の俯き加減と上体の角度に拘り、完璧な角度に決めて乾燥を待った。

その結果、重さのバランスで前につんのめってしまった。自立させるために仕方なくを後ろに回してバランスを取った結果こうなった。

これがMULFIM法だ。辻褄合わせもできる。世の中計画通りにイクことなんて滅多にない。そういう場合辻褄合わせが巧くできるかどうかが仕事の成否を分ける。頭も躰も空っぽだったから良かったものの、これ中身が詰まってたら腕だけでバランスを取ることはできなかった。運にも助けられた。運も実力の内というやつだ。

しかし、このおかしなポーズを正当化するためには何か必要だ。熟慮せねば辻褄合わせが完了しない。

しかしまずは、一つの山場は乗り切った。当然この子の頭も空っぽだ。実にいい子ができた。何せ前回の子は重かった。

なんと180gだ。ちょっと重過ぎじゃないですかお嬢さん。iPhone6s plusとほぼ同じ体重ですよ。

では頭の空っぽな軽い彼女はどうかというと、

おお、84g。見事な軽量化に成功した。フィーチャーフォン並の体重だ。着色して髪をつけたらiPhone5s程になるだろう。

しかし、この素材は率直に言ってMULFIM法には向いていない。石粉粘土は湿度が高いと脆くなるため、この肉厚では非常に脆い。

ちょっと力を入れると折れてしまうのだ。この状態ではとても水性のアクリル絵の具は使えない。絶対に着色中にどこかしら折れる。

それと、製作過程の硬化中に荷重に耐えられなかった数か所(主に関節)に裂け目が入り、エポパテで補修したため、ボディの所々に違う素材が混在している。違う素材に絵の具を当てると吸収の違いにより均一な色にならないと想定し、取り敢えずプライマーを吹いた。車の塗装を修理する時に使ったものだが、こいつで表面をコーティングしておけば、水性絵の具を使っても石粉粘土に水分が移ることはなく、表面が同一素材で統一できる。

4 着色と髪型

着色は今回もダイソーのアクリル絵の具だ。何故エアブラシを使わないのかと言えば、あれは準備と後片付けが面倒だからだ。ちゃんと準備しないとそこら中に絵の具を噴霧してしまう。手入れもちゃんとしないとノズルが詰まって使い物にならなくなる。ミニ四駆ブームの時に、息子に作ってやったオリジナルミニ四駆の塗装用に購入したものがあるにはあるが、プロトタイプ段階で使用する気にはなれない。

前回の教訓を活かし、適度な薄め方で重ね塗りすれば筆塗りでもそれなりに綺麗に仕上がるので、まずはボディを着色。続いて頭にラップを被せ(言っておくがこれは決して危ないプレイなどではない)、石粉粘土でアップの髪型を乗せてみた。今回もヅラ方式でいくので左右に割る切れ込みを入れておく。まあまあの出来かな。

次に顔を描いていく。このプロセスが毎回ストレスが溜まる。ここで失敗したらすべてがおじゃんだからだ。自ずと力が入る。

気を遣ったのはプロトタイプ1号と同じ顔になってしまわないようにすることだ。なんとかうまく描けたと思う。

しかしここで問題が発生した。

細かい作業で手元が震えないようにするため、彼女を握った左手に思わず力が入ってしまった。これを恐れて気をつけていたのだがやはり事故は起こった。まぁ、こういうこともある。着色しーてからの骨折は修復に手間がかかるが仕方ない。「ああっ、もう、畜生。」と叫んだが、ここで癇癪を起こすと事故が大きくなる。一旦落ち着こう。それから修復だ。

5 熟慮の結果

無事修復を終えたところで、こうなってしまった落とし前をどうつけるかだ。

まず考えたのがこれだ。しかしこれでいいのかという疑問が拭いきれない。そもそも彼女の両腕が荷重に耐えきれないだろう。

次がこれだ。「子泣きじじいに取り憑かれた女」。テーマとしては落ち着く。絵としてどうか。スターウォーズでスカイウォーカーがヨーダを背負う場面を思い浮かべてみる。これがありなら十分にありだ。いっそのことヨーダを作って背負わせるか。だがしかし、これも何かが違う気がする。

結局これに行き着いた。男なら潔さも必要だ。大人には分かるだろうが、青少年のためにこれの理由を解説しておく。この子は両腕の曲げ荷重に弱いのだ。設計上の安全係数は2.0以上にするべきところだが、おそらくこの子は1.0を下回っている。そのような場合、弱い者同士を連接して曲げ荷重が一本の腕にかからないようにすることで、ある程度の強度が確保できるのだ。これは彼女の腕の強度が増すための措置だ。覚えておいて欲しい。他に理由はない。

酒屋でこういうのを見たことがあると思う。これと同じだと思って欲しい。

6 悪魔の囁き

「お兄さん、お兄さん、いいの作ってますね。そんなお兄さんに丁度いいものがありますよ。」

「誰だお前、どこから現れたんだ。」

「そんなことはいいですから、おすすめの品があるんです。まずは物を見てくださいよ。ほら。」

「こ、これは・・・」

「いいでしょ、これ。今なら魂と引き換えに差し上げますよ。」

「うむ、貰おう。」

7 オプション装着

いいものを手に入れた。悪魔が譲ってくれたのだ。だってこれ、男のロマンでしょ。裸エプロン。欲しいでしょ。やってみたいでしょ。魂と引き換えでも仕方ない。

仕方ないよね。と、そこへ妻が・・・

「何それ。」

「いや、バランスがさ、立たせるためにはどうしようもなくてこんな格好になっちゃったんだよ。」

「あなた最初からそのつもりだったでしょ。」

いや、最初からじゃないよ。そりゃ、ポーズをこうせざるを得なくなった時点で構想には入っていたが、最初からではないんだ。

「それに何なのよ、そのエプロンは。段々変なオヤジになっていくわね。」

ふん、男のロマンを解さぬ女だ。みんな口には出さないがやってみたいんだよ。そもそもエロくない男なんてこの世にはいない。妻よ、お前こそインリン・オブ・ジョイトイを見習え。

というわけでプロトタイプ2号の完成だ。目指したのはイヤラシクないエロチシズム。いい線いったと思う。

【今回の教訓&勘所】

一、フィギュアをお手軽に作るなら、石粉粘土を使えば超簡単で道具いらず

一、石粉粘土は素材の性質上、薄い空洞構造にするには適さない⇒薄紙かグラスファイバー等で裏張りしないと折れ易い

一、MULFIM法は万能ではない、重量バランスには注意すべし

一、塗装時に問題となる素材の違いと、湿気に弱い石粉粘土の着色時にはプライマーが効果的