窓シャッターのガチャガチャ音をやっつけろ

何の音だ・・・

雨の日は外が静かで嫌いじゃない。俺はロマンチストだからな。

風が強い日だってそう悪くはない。

マイホームを建てた頃はそんなことも思っていた。

だが・・・。

ガチャガチャガチャ・・・。ガタンガタガタ・・・。ガチャピシガチャピシ・・・。

うるせぇぇぇぇっ。一体何の音だよこれは。

一階、二階の窓に取り付けたシャッターが、段々と風でガタつくようになった。

最初はシャッターのつなぎ目などにガタが来ているのかと思ったのだが、よく観察してみると、どうもそうじゃない。

音の発生源はガイドレールだった

シャッターとガイドレールが干渉して音を立てていた。

何故だ・・・。最初は音なんて鳴らなかったのに。

更によく見てみると、ガイドレールの溝には両側にケバケバがある。どうやらこれがクッションの役割を果たしているらしいのだが、それが摩耗しているせいでクッションの機能を果たせていないらしい。

こんな風に擦り減ってしまっていると、シャッターを閉めた時にガイドレールに干渉してしまうのだ。これではガタガタ鳴るのも通りだ。

調べてみるとこのケバケバの品名はモヘヤと呼ぶらしい。

モヘヤってのはアンゴラ山羊の毛のことなので、断じてこれはモヘヤなどではないのだが、何故かこのブツを称してモヘヤというらしい。

まあいいか。ケバケバの呼び方なんぞ俺には関係ない。問題はこのケバケバが薄毛に悩まされているということだ。

仕方ない。張り替えるか。

モヘヤを調達

やるとなったら、なにはともあれモヘヤを調達しなければならない。

当然種類やサイズってものがあるだろう。

磨り減ってしまっているので、計測した上で元の毛足の長さを推察しながら適合サイズを探す。当たりをつけたらシャッターに使われているものかどうかをググる。こういうものは大抵規格品だから、どのメーカも同じようなものを使っている筈だ。

結論として、幅6mm、毛足の長さ6mmのものが適合品と分かった。

問題はどれだけの量を買うかだが、ネット上には数メートルに小分けしたものと業務用のリール品が出回っている。

我が家にはシャッターが大小合わせて8基ある。ガイドレールはシャッター1基につき2本。ガイドレールの両側にモヘヤがあるので、少なくとも50m以上は必要になる。

これを小分けした品物は、元から割高な上に長さが中途半端なために無駄になる長さが多く、リール品を買うより大幅に高くつく。

よし、業務用のリール品で100m買おう。

しかし、大体こういう時に限ってどういうわけか抵抗勢力=妻が現れる。

「大丈夫なの。そんなの買っちゃって。結局できなくて無駄になったりしないの。」

「(ギクっ・・・)おいおい、待てよ。俺がいつ出来なくて無駄にしたことなんてあったよ(まったくないとは言えないけどさ)。」

「それは・・・ないけど(あったよね)・・・試しにちょっと買って試してみてからにしたらどう。」

「いいんだよ。試し分も込みで100mなんだから。こういうのは素人用に小分けにしてあるものより、プロ用の方が安いし作業性もいいんだ(多分な・・・)。」

「でもあなたはプロじゃないでしょ。」

「俺はセミプロなんだよ(プロって言ったって、そこらのにーちゃんかオッサンだろ、伝統芸能じゃあるまいし、やり方さえ分かれば出来ないことなんてない)。」

「何言ってるのか分からないけど、無駄にしないでよ。」

「あー、分かった分かった(ったく、うるせーな)。」

此奴は一体どうしていつも俺が危ない橋を渡ろうとしているのが分かるのか。実に不思議だ。ドキドキしながら「ポチッ」としようとしている時に限って必ずと言ってよいほど現れやがる。どうやって嗅ぎつけているのだ。

何らかの感知スキルなのか。だとすれば何を感知しているのだろう。まさか俺が何かの汁(いやオーラか)でも垂れ流しているのだろうか。くそっ、まずいな。何だ。俺は一体何を垂れ流してるんだ。さっぱり分からんぞ。

分からんものはしようがないので、とりあえず先に進もう。

モヘヤを交換する

ネットで注文して届いたのがコレ。モヘヤ100m。Made in Vietnam.

まずはガイドレールの取り外しから。と言っても、ガイドレールはビス止めされているだけなので、さっさと外して劣化したモヘヤを取り除く。

既に劣化が進んでいるので簡単に引き抜くことが出来た。

新品と比べると、摩耗しているのが分かる。これでは確かにクッションにならないな。

次は取り外したモヘヤをガイドレールに取り付ける。

モヘヤの取り付けレールが捩じ曲がってしまっているので、ペンチやマイナスドライバーで直した方がよいのだが、形状から見て板金加工されたものではなく鋳物のようなので、下手に力を加えると折れる。よって、とりあえずこのまま作業を続ける。

モヘヤには両面テープ加工が施されている。

つまり、劣化したモヘヤは接着剤も劣化していたから引き抜けたが、逆に新品のモヘヤを差し込むことは困難だ。

ではどうするか。ベースの部分は柔らかいので、片側を斜めに差し込み、ヘラのようなもので反対側を押し込んでやればうまくレール内に入り込んでくれるのではないか。

早速やってみる。モヘヤを斜めにレールに差し込み、マイナスドライバーで押し込む。

うん、まあ確かにこれで入ることは入る。Yes, but・・・

これでは作業性が悪い。1cm進むのに数秒かかる。仮に5秒/cmとしたら、500秒/m。50m以上やるとすると25,000秒。約7時間もこれだけでかかる計算になる。その他の作業も入れると・・・無理ゲーと言わざるを得ない。

おかしい・・・こんなはずじゃなかった。妻の顔が浮かぶ。まずい、まずい、まずい・・・。

プロはどうやってるんだ・・・おそらく何らかの治具を使って効率化しているに違いない。プロがこんなチマチマした作業をやるわけがない。

しかし、原理的には間違っていないはずだ。片側を入れてから押し込むという方法に間違いはない。だとすれば・・・。

車用の「内装剥がし」を使ったらどうか。

最初だけマイナスドライバーで押し込んだら、そこからさきは内装剥がしでぐいーっと引き込んでやると見事に作業性が向上した。

おーっ、これならイケる。

この要領でガンガン作業を進め、一本出来上がった。

左側が交換後。右側が交換前。隙間の幅が全然違う。

慣れてくると更に作業速度が上がり、8基のシャッターのモヘヤ交換が半日で張替え完了した。

効果は一目瞭然だ。

手で押してシャッターを揺らしても、もうガチャガチャ言わない。

スプリングに注油する

ついでなので、シャッターの上げ下ろしに寄与するスプリングに注油しておく。

まずは点検口を開ける。これもボルトオンなので簡単だ。点検口の蓋を外してスプリングを使ったら剥き出しにする。

続いて可動部の軸に注油する。

以上で完成だ。

モヘヤが密着することで振動による干渉音を防げるようになったが、モヘヤの摩擦抵抗が増えた分シャッターの上げ下ろしが若干重くなったが致し方ない。

シャッターの上げ下ろしを軽くするのは、それぞれスプリングの調整をすることで可能である。構造的には

構造的には、スプリングを締めたり緩めたりするだけのように見受けられる。その強さは、バネを留めるボルトの位置を変えるだけで調整される。しかしながら、これはどう考えても専用治具でバネを留めてからボルト位置を調整する必要がありそうだ。それなくして下手にボルトを緩めたりすると、バネが弾けて危険と思われる。

というわけで今回はここまでにしたい。