RYZEN7で爆速PCを組む(後編)

漸くパーツが揃った。まさかコロナウィルスの影響ではないだろうが、前編でパーツを選定、発注をしてからすべてのパーツが手元に揃うまでに、なんと一ヶ月近くかかった。それほどマイナーなパーツは選んでないと思うのだが、今回は特にメモリとマザーボードの調達にやたらと時間を要した。

早速組み上げていく。まずはPCケースを展開。CM694は、上面とマザーボードの裏側がデュアルチャンバーになっている大型ケースなので、配線は綺麗に隠せそうだ。それに重量級のグラボを支える補助ステーも付いてる親切設計(特に珍しくもないけど)だ。

次にマザーボードを取り出す。普通はこの順番だと思うが、マザーボードを組み付けてからでは、CPUクーラーのラジエータやFANのボルトが留められない場合があるので、仮留めなどして確認した方がよい。MSI MEG X570 UNIFYも例外ではなかった。

さて、本ブログに何度も登場しているTERASAKIのメガビュープロ。細かい作業にはこれがあると便利。というかないとできない。PCケースの中は意外と光が当たらなくて暗いのだ。

マザーボードを組み付けたらCPUだ。今回はRYZEN7 3700X。

ピン位置を合わせて取り付ける。

CPUの次はCPUクーラーだ。サクサクいこう。

Corsair H100i Pro RGBには、最初からクーラー部分に標準グリースが塗布されているので、まずそれをアルコールティッシュで綺麗に拭き取る。

次にPCケースの天板を外して、ラジエータを載せる。

裏側から冷却ファンをビス留め。

高性能グリースをCPUとクーラーにそれぞれ薄く塗布。今回は、Thermal grizzlyのKryonautを使った。

グリグリっと馴染ませて固定し、諸々の配線を繋ぐ。

今回はSSDをM.2-2280サイズのNVMeタイプにしたので、この段階で取り付ける。システム用の500GBとゲームドライブ用の1TBの2基だ。

CFDのCSSD-M2B5GPG3VNFとCSSD-M2B1TPG3VNFは、PCIe4.0対応なのでスペック上はかなり速い。心配なのは安定性だ。

こやつらは高速な分発熱も馬鹿にならないらしいので、マザーボード付属の放熱板を取り付ける。

次は電源。Super Flower LEADEX Ⅲ Gold 850W。

電源コネクタはマザーボードの端にあるので、グラボとかの大物を取り付ける前に信号ケーブル類の配線も含めてこの段階でやっておくのが望ましい。

デュアルチャンバーを活かして裏側から上手く配線を回し、綺麗に接続する。

そしていよいよグラボだ。今回はZotac RTX2070 Super AMP Extream。ミドルレンジ最大級のモンスターカードだから、PCケースも慎重に選んだのだが、でけーよっ。入らねーよ。

まさかのPCケース買い直しか、と一瞬血の気が引いたが、さすがはクーラーマスター。ストレージ棚もモジュール構造になっていて、棚を二つ外すことで無事装着できた。

だがしかし、重量級のビッグなカードを支えるための補助ステーも外さなければグラボを取り付けることができず、期待していた親切設計は見事に余計なお世話と成り果てた・・・かに見えたが、ケース背面の穴を利用して何とか補助ステーを固定し、何とかマザーボードへの負担を軽減することができた。

恐るべしモンスターカード。でもさ、欲しいのはビッグなサイズ、じゃなくてビッグな性能なのだよ。分かっているのかねキミは・・・。まあいい、性能は後で問い詰めることにして先に進もう。

最後はメモリーと、ストレージ関係。

メモリーは、G.SKILL TRIDENT Z Neo シリーズからF4-3600C16D-32GTGZを調達。AMD RYZENに最適化したDDR4-3600 CL16-16-16-36 タイプで、32GBを盛った。

大容量ストレージにはWestern Digital BlackシリーズからWD4005FZBXを新規調達し、現行機からWD Caviar Black 1TBを1基移植した。だってデータ移行が面倒臭かったから・・・。

というわけで完成。無事に起動し、UEFI-BIOSが起動した・・・が、何事もなくとはいかなかった。

1TB SSDのCSSD-M2B1TPG3VNFが認識されず、不良品として交換した。部品が揃うのに日数がかかり、Amazonの返品期限30日を超過してしまっていたが、初期不良なので、その旨電話連絡したところ交換に応じてくれた。

DVDドライブなんて使わないので買ってないし、そこらに転がっているのを繋いでもよいのだが、USBメモリでインストールメディアを作成した方が速い。早速デスクの上にゴロゴロしているのを拾ってWindows10 Proをインストールした。いよいよReady。

取り敢えず、細かい詰めは後でやることにして、試しにGame Boostオンで4.2GHzに簡単OCし、更にA-XMPをオンにしてDDR4 3600MHz 16-16-16-36を選択。

まずは定番のCINEBENCHとCrystalDiskMarkを実行。

このグラフのハイエンドであるXEONプロセッサの半分とは言え5000超と、甘々の詰めでもいきなりRyzen Threadripperの直下にランクイン。Ryzen 9 3950Xを使ったハイエンド構成なら、多分XEON同様この倍位はいくと思われるが、これならミドルレンジ最速領域と言ってもいいだろう。というか今回の構成を考えると、この差は完全にCPUの能力差と考えられるので、まずまずの成果だ。

PCIe4.0 接続のNVMe  SSDも速い。ほぼカタログスペック通りの数値が出ている。

ついでに3DMarkもいっとくか・・・。

Time Spyで10300超とRTX2080に迫る勢い。デカイだけの木偶の坊じゃなくて安心した。

さて、整理すると現行機はCore i5-2500K 4.75GHz常用、メモリ16GB(超適当なXMP設定)、Radeon HD6850 2枚のクロスファイアにSATA SSD 1基 & HDD 2基 の構成でやや煩かった。

今回は、Ryzen 7 3700X 4.2GHz仮設定、メモリ32GB(A-XMP 3600MHz/CL16)、Zotac RTX2070 Super AMP Extream 1枚にNVMe SSD 2基 & SATA HDD 4基 の構成でもかなり静か。PCの騒音の最たるものは大概グラボのファンだ。Zotac RTX2070 Super AMP Extreamはデカくて三連ファンなので、通常運転では回転数が低いからだろう。今の処ケースFanは標準の3基だけで、追加ファンは必要なさそうだ。

ではここで、リファレンスとして最新BTOパソコンと比べてみたい。20/5/20にTsukumoから発表されたばかりのゲーミングPCであるG-GEAR GA9J-J201/ZTと、今回組んだPCのスペックを比較してみた。普通は同一スペックで比較すべきだが、そんなものは世の中に存在しないので、敢えてハイエンドっぽいヤツと比べてみた。
Tsukumo BTO G-GEAR GA9J-J201/ZT 自作PC
OS Windows 10 Home (64ビット版) Windows 10 Pro(64ビット版)
CPU インテル® Core™ i9-10900K AMD Ryzen7 3700X
10コア/20スレッド/3.7GHz、最大5.3GHz/20MB キャッシュ) 8コア/16スレッド/3.6GHz、最大4.4GHz/36.5MBキャッシュ
グラフィック機能 NVIDIA® GeForce RTX™ 2080 SUPER NVIDIA® GeForce RTX™ 2070 SUPER
ビデオメモリ 8GB (GDDR6) 同左
マザーボード ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) (ATX) MSI MEG X570 Unify
チップセット インテル® Z490 Express AMD X570
メインメモリ 16GB DDR4 (PC4-21300、8GBx2) 32GB DDR4  (PC4-28800 16GBx2)  CL16-16-16-36
最大 64GB? メモリスロットx4(空き2)288-pin 最大128GB メモリスロットx4(空き2)288-pin
サウンド インテル® ハイ・デフィニション・オーディオ 同左
ディスクドライブ
システム用 500GB SSD (NVMe接続) 500GB SSD (PCI-E Gen4 M.2 NVMe)
データ用 2TB HDD (SATAIII接続 / 6Gbps) 1TB SSD(PCI-E Gen4 M.2 NVMe)
4TB  HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm
1TB  HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm x2
バックアップ用 500GB HDD(SATAIII接続 / 6Gbps)  5400rpm
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込み対応) なし
ネットワーク Ethernet 10/100/1000 LAN Ethernet 10/100/1000/2500 LAN
無線LAN Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax 同左
Bluetooth Bluetooth v5.1 同左
インターフェース
前面 USB3.0 x2 オーディオ入出力(マイク入力x1、ヘッドフォン出力x1) USB3.0 x2, USB3.1 TypeC x1, 3.5mmヘッドセット(Audio+Mic)
グラフィック ディスプレイ出力(DisplayPort) x3 ディスプレイ出力(HDMI) x1 同左
バックパネル PS/2(マウス/キーボード)ポート ×1 Clear CMOS Button
USB 3.2(Gen 2) Type-Cポート ×1 Wi-Fi /Bluetooth Antenna Connectors
USB 3.2(Gen 2) ポート ×1 PS/2 GAMING Device Port
USB 3.2(Gen 1) ポート ×4 Realtek 2.5G LAN
アナログオーディオ入出力 HD Audio Connectors
S/PDIF(Optical)出力 ×1 Flash BIOS Button
LAN(RJ45) ポート ×1 USB 2.0 Ports
USB 3.2 Gen1 Ports
USB 3.2 Gen2 Ports Type A+C
USB 3.2 Gen2 Ports
拡張スロット PCIe 3.0/2.0 x16 (x16, x8/x4+x4) ×1 PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E1, PCI_E3) x2
PCIe 3.0/2.0 x16 (max at x4 mode) ×1 PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E5) x1
PCIe 3.0/2.0 x1 ×3 PCIe 4.0/ 3.0 x1 スロット x2
電源ユニット 定格750W電源 80PLUS GOLD対応 定格850W電源 80PLUS GOLD対応
ケース G-GEAR ミドルタワーケース (69JD) Cooler Master CM694
ファン フロントx1、リアx 1(120mm) フロントx2、リアx 1(120mm)
拡張ベイ 5インチx2, 3.5インチx1, 3.5シャドーx3, 2.5シャドーx4 5.25インチオープンx2, 2.5/3.5インチシャドウ x6, 2.5インチシャドウx8
価格 ¥249,800 ¥264,985

さて、これをどう見るかだが、今回自作したPCはアッパーミドルを狙い、ハイエンド品ではないものの最新規格のパーツをふんだんに使った上に、メモリやディスクのスペックも高いので、G-GEARより約1,5000円程高く付く結果となっている。

一方、ツクモのG-GEAR GA9J-J201/ZTが使用しているパーツは、CPUとグラボ以外に特筆すべき点は一つもない。CPUはインテルの最新ハイエンド、グラボも今回自作したPCよりワンランク上でハイエンドに近いが、ゲーミングPCとして売られている通りゲームの快適性特化であり、所謂ハイエンドパーツは使用されていない。しかし単純にゲーミングPCとして見るなら、非常にコスパに優れていると言える。規格の枯れた比較的安価なパーツを大量調達しているBTOだから出せる価格だろう。

自作派から見ればつまらねぇ構成だが、ゲー専として割り切るなら、こうした組み方もありだ。間違いなく速いと思う。速いゲーミングPCが欲しいけれど、パーツを集めて一から組むなんて面倒くせーという人には買いだろう。
一つ解せないのは、最大搭載メモリが64GBとなっている点か。採用しているマザーボードを見る限り128GBは積めるはずだが、実際そんなに積んだりしないのでどうでもいいとも言える。
というわけで、ゲーミングPCとしての比較だけなら素直に負けを認めざるを得ない。さすが老舗のBTOだ。

さて、今回2020年初頭時点のミドルレンジ最速を目指してみたが、マザーボードに採用したMSI MEG X570 UNIFYは、最新規格対応で電源回路もハイエンド並みである。また、メモリについても3200MHz/CL14製品を3600MHz/CL16で使うのがOCerの定番と思われるが、マザーが4600MHzまで対応しているので、後々のことを考え3600MHz/CL16製品を使った。SSDについてもPCIe4.0対応のM.2 NVMeを選んだ。

したがって、G-GEARのようにCPUとグラボだけで性能を出しているようなPCなら、CPUとグラボを下記に替えれば、CINEBENCHや3DMarkの数値は軽くぶっちぎれるだろう。

CPU: Ryzen 7 3700X ⇒ Ryzen 9 3950X

グラボ: RTX2070 Super AMP Extream ⇒ RTX2080 Ti AMP Extream
しかしながら、2020年3月現在のCPU単体価格差は5万円超、グラボに至っては12万円超の差がある。実際にそれらに換装するとなると、PC電源とCPUクーラーもグレードアップする必要があると思われ、Corsair iCUE などでファン制御もしたくなるだろうから、おそらくパーツ価格にして45~50万円ほどになる。
今回の構成が総額26万円(2019年12月現在)ほどであったので、これのベンチマーク性能を倍にするには価格も倍になるというわけで、ベンチマークの性能がそのまま体感できるPCの性能差とはならないことを考えると、それってどうよって話なわけだ。
26万円でも、一般的に楽天などでポチッとやってPCを買う人々から見れば十分にクレージー、50万円ともなれば「スパコンか」ってな印象だろう。まあ自分としては50万円でも組んじゃう人の気持は分からなくもないが、今回はこれで満足だ。
以上、オワリっ。
【追加投稿#1】
従来機を燃えないゴミにするのは忍びないので、ディープラーニング用に再生させようと思った。
具体的には、Radeon HD6850のCrossfireをやめ、廉価版グラボであるGeforce GTX1660 Superに差し替えた。

結果として、ベンチマークは以下のようになった。今どきのゲーミングノートPC位の性能はありそうだ。
Time Spyのスコアで、GTX1660 SuperはRTX 2070 Super AMP Extremeのざっくり半分といったところかな。
【追加投稿#2】
その後OC設定を詰めてみたところ、安定動作ができたのは下記設定までだった。
CPU 4.3GHz
DDR 3733MHz CL16-16-16-38
LLC mode 3
DRAM 1.400V
AMD RyzenのOCはなかなか難しいね。取り敢えずこの設定で2020年の夏が乗り切れるか試してみることにしたい。

Ryzen7で爆速PCを組む(前編)

1 PCを組み直す決心をした

唐突だが、2020年を迎え、PCを更新することにした。

我が家には現在4台のPCがある。もっと台数が多かった時期もあるが、老朽化に伴い整理統合して組み直し、現在に至っている。

自作1号機

これは確か2009年末か2010年初辺りに組んだような気がする。

Core i7-875K、Radeon HD6800、8GBメインメモリ、GIGABYTEマザー以外はもう覚えてないし記録も残していないので、分解してみないと製品名と型式が分からない。最初はHDDのRaid 0で組んで、その後システムドライブをSSD化し、Raid を解除したんだったか・・・。モニターは以前のPCのものを使い回し、18インチのUXGAデュアル構成。

まだまだ現役でいけてるが、CINEBENTCHでは1005 PTSとローエンドにランクインしてしまう。

自作2号機

これは、2011年に組んだ。1号機同様デュアルモニタだが、22インチのFull HDになった。現在の本体構成は以下の通り。

マザーボード ASRock Z77 Extream 4

CPU Core i5-2500K (常時4.7GHz OC)

CPUクーラー Corsair H80i v2

メモリー Kingston HyperX KHX16C10B1K2/16X (8GB x 2)

グラボ Radeon HD6850 GDDR5 1GB 2枚(CrossFire)

電源 玄人志向KRPW-P850W/85+

SSD OCZ Vertex 3 120GB

HDD WD Caviar Black (1TB x 2)

ケース Antec DF35

当時はこんなものでもそこそこイケた。組み上げてから暫くは常時5.0GHzにOCしていたので、グラボの CrossFire 化も手伝って 比較的重めのRPGでもハイエンド級に迫る性能を示してくれたのだ。4~5年で電源、マザーボード、CPUクーラーの順でお釈迦になったので、この3つのパーツは初期構成と違う。最初はASUSマザーだった。

CPUのクロックを常時 5.0GHz で回すとなると、メモリタイミングなども弄らなければならないし、あちらこちらに電圧を余分に盛らなければいけない。何故なら、CPUだけ早く回そうとすると、

CPU:「う、もうイキそうだ・・・」

メモリ:「待って、まだよ、まだイッちゃいや・・・」

ということになり、一体感のないPCとなってしまい、結果的に幸福感が得られないのだ。CPUとメモリ周りは一緒にハイにしてやらなければならない。当然定格以上で動作する回路には負荷がかかり、パーツの寿命が早まるリスクがある。なので、電源とマザーボードが逝った後、CPUがお釈迦になる前に 4.7GHz 常用に落とした。CPUクーラーのポンプがいかれたのは、多分偶発故障だろう。それから現在までは毎日使って故障知らずだ。

しかしこれもまた、CINEBENTCHのベンチマークでは1281 PTSで、ローエンドの仲間入りだ。同様にSSDのアクセス速度も速いとは言い難い。私のメインマシンである。

自作3号機

私の記憶が確かなら、これは2013年製だと思う。シングルモニターFull HDで、24インチにした。

AMD A10-5800K、MSIマザー、8GBメインメモリ、グラボなしの静音PCである。残念なことにこれももう詳細構成は覚えてないので、製品名、型式共に分解してみないと分からない。ストレージは、SSDのシステムドライブとHDDかな。

これも言わずもがなだが、CINEBENTCHでは467 PTS・・・4桁にすら届かない。でもネットサーフィンとかOffice使うくらいなら十分。

改造ノートPC

2012年製のDELL Inspiron 15R N5110 (Core i5-2450M) をSSDに換装し、メモリを8GBに増設。普段使わないDVDドライブは取り外した後に改造パーツでUSBドライブ化した。

N5110のHDDを取り出すには、モニターを外し、キーボードを外し、更に基盤を外さなければならず、設計した奴を殴ってやりたかった。

元々システムドライブだった750GBのHDDは、空いたDVDドライブのスロットに、やはり改造パーツを使ってデータドライブとして本体に内蔵させた。

何故かこやつが現在うちにあるPCの中で一番起動が速い様に思う。数秒で起動するのだが、CINEBENTCHの結果は当然531 PTSと低い。

通常用途ならまだ十分に使えるけれど・・・

上記の1号機は長男、3号機が次男、改造ノートPCが妻用で、私は2号機を使っているが、何れもまだ現役であり、ネットで調べ物や買い物をしたり、音楽や動画を見たりすると言った用途では何のストレスもなく快適に動く。では何故今また新たに組むという結論に至ったか。

実は、先だって勤め先の会社の後輩から、最近のFPSで遊べるPCのスペックを見繕ってくれないかと相談を受けた。何かと聞けば、彼の息子がゲーミングPCを欲しがっているのだと言う。更に突っ込むと主にPUBGをやりたいのだそうだ。「高校生のガキにゲームをやらせるためにPCを買ってやるのかよオマエは・・・PS4で我慢させとけと思ったが、そこは飲み込んだ。

作るならパーツはこれだ、BTOで買うならこれだ、というアドバイスをしたが、結局BTOで買ったらしい。親子共に組み立てたことはないらしいので、一緒に作るのもよいのではないかと思って提案したのだが、手っ取り早くゲームをするならBTOで買った方が確実という結論に至ったとのこと。まぁ、それはいい。トラブったらトウシロウは苦労するからな。

だが、私の愛機が近頃基準では完全な低スペ機に成り下がっていることに気づいた。それもその筈で既に9年の年代物だ。今やモバイルPCとして使っている会社の支給品(Microsoft Surface Pro – Core i5-8350U 1.9GHz)にすらCPUベンチでは肉薄されている。i5-2500K を4.7GHzでぶん回してもその差は僅か100 PTSだ。

無論、PCのトータル性能はCPUだけでは語れないのだが、FPSとなると最早我が愛機は限界だ。それに加え、億劫なので放っておいた動画の編集もそろそろしなければならない。そうなると話は違ってくる。今のPCで動画を編集してエンコーディングしたりすると、規模によってはエンコ中にウンコして、その上更に昼寝もできるかも知れない。仮想世界でバトルしようなどとすれば、何とか動けば良い方で、運良く動いたとしてもカモにされるのがオチだろう。自分のキャラが瞬殺される姿が目に浮かぶ。恐ろしい・・・。

だから・・・

そうだ、そうなのだ。エンコ中にウンコなどと韻を踏んでる場合じゃない。何より許せないのは、後輩がガキに買い与えたPCに、この私のPCが後塵を拝するなんてことがあって良い筈がない。あってはならないのだ。大事なことだから二度言った。だから新たにPCを組み直すこととした。ここまでの行は、ただこの一言を言いたいがための能書きに過ぎぬ全く不要な文章だった。

2 パーツ選定

という訳で、唐突だが本題に入る。PCパーツに詳しい人なら、年代と上記のスペックを一瞥すればお分かりかと思うが、私が PC を組む際の方針は、できるだけ手頃なパーツを使って速いPCを組むことである。2011年当時の CPU のハイエンドは i7-2700シリーズだったし、当然グラボも一枚で HD6850 二枚分の価格を更に倍にしなければ買えないようなブツも存在していた。

そうしたハイエンドパーツは確かに速いのだが、それで伸びる性能よりもコストの伸びの方が遥かに大きく、その傾向は今でも変わらない。私はそういうのは求めていない。そこを狙うと、今ならCPUだけで10万円超え、グラボだけで10万円超え、ストレージだけで10万円超えとなってしまう。そして、どんなモンスターマシンでも、どうせ数年すれば私の現行機と同じ運命を辿るのだ。よって、所謂最速PCを組むことに関しては、マニア(最近はエンスージアスト即ち狂信者と呼ぶらしい)にお任せすることにし、今回私が狙う目標コストは、現行機と同じ30万円以内、ミドルレンジ最高速機だ。同僚が倅に買ってやったようなオモチャには、断じて負けるわけにはいかない。

目指せミドルレンジ最速

余談が長過ぎて疲れたので、いきなりパーツ選定の結論に入る。選んだのは下記のパーツだ。

CPU Ryzen 7 3700X
CPU Cooler H100i PRO RGB CW-9060033-WW
グリース Thermal Grizzly  Kryonaut (12.5W/mk) 1g
Motherboard MSI MEG X570 UNIFY
Graphic board Zotac RTX2070 SUPER AMP Extream
Memory F4-3600C16D-32GTZN (CL16-16-16-36) 16GB ☓ 2
SSD(System) CSSD-M2B5GPG3VNF 500GB
SSD CSSD-M2B1TPG3VNF 1TB
HDD(Data) WD4005FZBX 4TB
Power Supply LEADEX III GOLD 850W
Case Coolermaster CM694
Monitor Acer VG240YPbmiipx ☓ 2
10年前と価格はあまり変わらず・・・

予算30万円を見込んでいたが、PC本体だけなら2020年1月現在の購入価格で20万円台半ばとなり、目標の30万円以内に収まった。この際だからモニターも買い替えて予算を少し超過したが、まあ良い線だろう。

CPU

実際の選定だが、Ryzen 9はハイエンドのカテゴリに入る。所謂エンスーな人々向けだろう。よってそこまでは不要と判断した。最近のオンゲでも6コア/6スレッドあれば余裕なので8コア/16スレッドのRyzen 7で十分だ。3700 か 3800 か迷ったが、コスパで3700に一票。

GPU

これまではRadeon一筋だったが、今回は2019年度の製品群が圧倒的だったGeForceにすると最初に決めていた。2080以上は高価過ぎる。エンスーだ。よって2070最上位の中からメモリ8GB搭載モデルを選定した。

マザーボード

もしかしたらそのうちCPUをアップグレードしたくなるかも知れない(多分しないが)ので、質実剛健なものを選んだ。マザーボードは好みが分かれるところだと思うが、これまでGIGABYTE、ASUS、ASRockと使ってきたので、今回は次男のPCで経験のあるMSI製の中から純粋にコスパで選んだ。電源もしっかりしているし、現時点の最新規格にはすべて対応しているので、これでよいだろう。

メモリ

メモリーは、2019年末現在で最速の部類と見られたDDR4-4000のOCメモリとしてBallistic Elite BLE2K8G4D40BEEAKを選定したのだが、発注から一ヶ月経って入荷見込みなしの通知がショップから来て注文キャンセルとなってしまった。

AMD Ryzenシリーズは、Intel CoreシリーズよりメモリOCの影響が比較的大きいと聞くので妥協はしたくない。マザボも高速メモリ対応なのでここは頑張りたいところ。

重要なのは動作クロックとCL(キャスレイテンシ)で、前者は数値が高いほど、後者は数値が低いほど高速となる。

F4-4000C17D-16GTRG (CL17-17-17 1.35V XMP2.0) 8GB ☓ 2

とするか

F4-3600C16D-16GTZN (CL16-16-16 1.35V XMP2.0) 8GB ☓ 2

にするか迷ったが、AMD CPUに最適化されているという後者、即ちTrident Z Neoシリーズを選択した。その際つい気の迷いで

F4-3600C16D-32GTZN 16GB ☓ 2

をポチッと・・・してしまった。だ、だってこれだけあれば殆ど何をするにしても足りるし、ゲームだって仮想メモリオフでいけるよ・・・きっと。

SSD

システムドライブは、最早言うまでもなくSSDだが、Intel の Octaneシリーズはコスト的に見合わない。エンスーというか業務用だろう。安定性でSATAにするかどうかも迷ったが、最速で初志貫徹することとし、不安はあるもののPCIe4.0対応でNVMeタイプの高速SSDとした。更にゲームや動画の高速エンコ用に同タイプの大容量SSDを追加した。


CPUクーラー

簡易水冷一択だが、現行機H80iに対し、Ryzen 7 3700Xの発熱量からH150iまでは不要と見てH100iとした。

電源

将来的にグラボをSLI化するかも知れないので、電源には少し余裕を見て850Wとした。今までは80PLUS Bronzしか使ったことないし、それでもOCで問題が置きたことはないが、今回はちょっと贅沢にGoldを選定。これ以上はいらない。

一応これに関しては、もう少し詳しく書いておく。経験的に何台か組めば、選んだパーツ構成に必要な電源容量は大体検討がついてしまうのでエイヤッで決めてしまったが、電源容量の目安をつけるには、下記の様なサイトが便利だ。他にも似たようなサイトがいくつかあるので、利用するとよいと思う。

https://outervision.com/power-supply-calculator

例えば今回選んだパーツを順に入力していく。

◆CPU

1 x AMD Ryzen7 3700X

(オプションでOC周波数とVcoreに盛る電圧を指定)

◆Memory

2 x 16GB DDR4 Module

◆Video

1 x NVIDIA Geforce RTX 2070 SUPER

(オプションでCore clock/Over voltage/Memory clockを指定)

◆Storage (余ってるHDDを積みまくる)

2 x M.2 SSD

3 x SATA 7.2K RPM

1 x SATA 5.4K RPM

◆Keyboard/Mouse

1 x Gaming Keyboard

1 x Gaming Mouse

◆Liquid Cooling Kit

Corsair Hydro H100i

◆Fans

3 x 140mm

◆Monitor

2 x LCD 24 inches

上記を入力してCalculateボタンを押すと、700W~750W Gold or Platinumと出た。今回選んだのは850W Gold電源なので、少々余裕がある。

モニター

予算が少し余ったので、この際モニターも最新鋭機に更新することにした。

液晶の駆動方式の違いによって、巷にはIPS、VA、TNの製品が溢れている。ゲーム専用機ではないので、発色特性や視野角によって変化の少ないIPS液晶のモニターが欲しかった。しかし今回はゲームもするのでリフレッシュレートと応答性も犠牲にできない。

よってIPS液晶で且つ144Hz対応、応答速度1msを目安に検討し、Acer VG240YPbmiipxを選んだ。デュアルモニターにするのは決めていたが、サイズは設置場所の制限により24インチ一択だった。


大型の湾曲タイプに後ろ髪を引かれているのだが、置き場がないので仕方がない。

さて、以上のパーツは既に発注済みだが、本日時点で未だ揃っていないので、組み立てから先は後日後編という形で投稿する。

3 余談

今回はゲーミングPCとしての使用にも耐えられる構成にしたが、ソニーのPS Now、MicrosoftのxCloudだけでなく、GoogleがStadiaを発表した。Amazon辺りもそのうち参入してくるだろう。要すれば、ゲームの世界にもストリーミングの流れが出始めている。

それが本格化すれば、ゲーミングPCはいらなくなるかも知れないから、もしかしたらこんなスペックでPCを組むのはこれが最後になるかも知れない。

だが、これだけのCPUパワーとGPUパワーを必要とするゲームを、ストリーミングで数万人のユーザに配信するなんてことが本当にできるのだろうか。しかも、今時のゲームはミリ秒オーダの遅延が勝敗を分ける。

上記は、我が家の回線速度だが、NURO光に替えてからこのような速度が出るようになった。それでもPingへの応答には3msかかっている。

5Gが始まったら或いはストリーミングゲームも実用域に達するのかも知れないが、暫くはゲームの種類で棲み分けが進むのではないだろうか。

ハードウェアコストを掛けなくて済むようになるのはありがたいことではあるが、そうなってくると最早何でもかんでもGAFAに牛耳られてしまう。それは望ましくないなぁ。