NURO光のONUに接続したASUS RT-AC88UでIPv6を通す

IPv6の話

NURO光のONUに自前のルータであるASUS RT-AC88Uを繋いでどうしたこうしたという記事を書くと、それに関して同じ様なことで悩んでいるので教えて欲しいというご質問を頂くことが多い。

その度に私も色々と調べ直して解決策を見つけることになるのだが、それはそれで楽しいのでご質問を頂くことは歓迎である。

さて、今回はNURO光のONUに繋いだASUSルータでIPv6が通らないので何とかならないかというご質問を頂いた。

IPv6テストサイトで確認してみた

IPv6の接続性を確認できるサイトは沢山あるが、取り敢えず「あなたのIPv6を確認しましょう」で確認してみた。

あれぇぇぇ。駄目じゃん。

過去には確かに通っていたのだが、どういう訳か私の環境でも通らなくなっていた。以前は通っていたので、ネット環境を変えた時に色々弄ったことが原因即ち設定の問題であることは間違いない。

だが待てよ、今使っているPCは最近組み上げたもので、以前確認したときとは違うマシンだ。まさかとは思ったが、一応イーサネットプロパティを確認してみた。

うん、これは問題ないね。ちゃんとTCP/IPv6は入っている。ではWindows10の方はどうか。コマンドプロンプトかPowerShellでコマンドを叩いてみる。

netsh interface ipv6 show prefixpolicies

ふふん、プレフィックスを確認する限り、ちゃんとIPv6がIpv4より上位になっているので、先にIPv6で繋ぎにいっている筈だ。localhostへのpingも通る。

まあ、4~5年前は確かにこの優先順位を逆に設定していた記憶はある。IPv6が使えるようになったからと言って、IPv6で動いているサイトが多いとは言えない状況だったからだ。だが今は状況が違う。もうIPv6優先でもいいだろう。故に、これはこれで問題ない。

となると、後は二段ルータのどちらかの設定であろう。

我が家では、NURO光のHG8045QにRT-AC88Uを繋いでいるので、ご質問を受けた当初は多忙だったこともあり、直感的に二段NATのせいかなどと考えて保留にした。

だが、NURO光のONUであるHG8045Qに対してやったことと言えば、RT-AC88UへのDMZ転送を設定した位で、特におかしなことはしていない。HG8045Qの管理画面で確認しても、WAN側にIPv6のアドレスが振られているのは間違いない。

ならば、RT-AC88U側の設定の何れかに原因がある筈だ。

RT-AC88UのWAN接続タイプ

最初に同ルータのWAN接続タプを開いてみた。

ちょっと見難いが、基本設定のWAN接続タイプは「自動 IP」が設定してある。

NURO光では、PPPoEの設定をする必要はないので自動 IPで問題ない筈だ。固定IPのサービスは2020年6月現在はないので「静的 IP」でもない。実際はあまり頻々に変わっている様子はないので、「静的 IP」でも一定期間なら繋がると思うが、普通はしないだろう。ということでこれは「自動 IP」で問題ない。

ここでASUSルータの仕様であるが、FAQによればIPv6を通す場合には次の設定をする必要があるようだ。

1 WAN接続タイプ:PPPoE ⇒ IPv6接続タイプ:Native
2 WAN接続タイプ:自動 IP ⇒ IPv6接続タイプ:Passthrough
3 WAN接続タイプ:静的 IP アドレス ⇒ IPv6接続タイプ:Static IPv6

RT-AC88UのIPv6接続タイプ

ということであるので、次にIPv6タブから基本設定を開き、「IPv6接続タイプ」を確認してみたところ、あらぁ・・・。

「Native」になっていた。これは、WAN接続タイプがPPPoEである場合の設定だ。

おそらくは、色々設定を試しているうちに弄ってしまっていたのだろう。WAN接続タイプが自動 IPでIPv6接続タイプがNativeでも、IPv4では接続されるので気が付かなかったのだと思われる。

ここを「Passthrhough」に設定し直し、再び「あなたのIPv6を確認しましょう」で確認してみたところ、あっさりIPv6が通るようになった。

因みにここで表示されるIPv6のアドレスは、Windows10の再起動をする度に変わるので、実際のところ特段隠す意味はない。

Windows 10のIPv6アドレスは、OS自体の再起動等のタイミングでアドレスが変更されるからだ。

さて、確認のために更に他のサイトとのIPv6接続もチェックしてみる。

問題ないようだ。というわけで、IPv6が通らないことに二段ルータは関係なく、ASUSルータ側のWAN接続タイプとIPv6接続タイプの設定の組み合わせによるものだった。

ただ、IPv4とIPv6の違いでネットワーク速度の違いが出るかと言うと、そんなことはない。速度は飽くまでプロバイダーのベストエフォートに依存し、同一回線をシェアするユーザ数に影響する。レスポンスも同様である。

実際、同一時間帯のネットワーク速度をそれぞれ数回計測した上での中心値らしきものを掲載すると、レスポンスに差はなく、速度は寧ろIPv4の方が速かった。

IPv6接続

IPv4接続

何のことはない。「NURO光に繋いだASUS RT-AC88UでIPv6を通す」などと大層なタイトルにしたが、単純に「ASUS RT-AC88UでIPv6を通す」でよかった。

RT-AC88UでNURO光を高速ルーティング

◆ブロードバンドの契約をNURO光に替えた

これまでに光回線の契約は3回切り替え、その度にルータも世代交代させてきたのだが、今回はゲーミングルータASUS RT-AC88Uをそのまま使うことにした。そのうちRT-AX88Uあたりに更新するつもりだが、PCやゲーム機は基本有線で繋ぐので、今の処Wifi6は必要としていない。対応端末もないし、5Gにでもなったら考えようと思う。

何故有線で繋ぐかって、それがミリ秒単位の遅れが許されない世界で生き抜く術だからだ。

◆NURO光のONUはブリッジにできない

さて、では本題に入るが、NURO 光に替えて一つ困ったことが発生した。NURO 光でレンタルされるONUはルータ機能が停止できないのだ。事前にググればよかったのだが、自宅に届いたONUのルータ機能の停止方法が分からず、サポートに問い合わせてそれを知ることになった。電話サポートのおねーちゃん曰く「NURO 光のONUはブリッジにはできませんので、お手持ちのルータをAPモードにしてお使いください。」

駄目じゃん・・・。

◆NURO光のONUはZTEかHUAWEI・・・

しかも、あろうことかNURO光でレンタルされる機器は、C国のZTEかHuaweiの二択。我が家にはZTEのF660Aではなく、HuaweiのHG8045Qが来やがった。うん、これは噂のヤバい奴だね。

「お引取りください。」と言いたいところなのだが、NURO 光は日本ではあまり使われていないGPON(ITU-T勧告G.984)という規格の伝送技術を使っており、接続できる市販機器が他にないため、どうしても一旦はこやつらで受けないと接続できない。

くぅっ・・・痛恨のミス。

◆一般的にレンタルルータの性能は低い

巷ではNURO光は速いと言われているが、それは回線速度の話だ。通信では伝送遅延と処理遅延を考慮しなければならず、一般的に安物のレンタルルータはルーティングの処理遅延が大きい。

とどのつまりは、セキュリティがウルトラ怪しい上に性能もスーパーショボそうなHG8045Qなんぞに我が家のルーティング処理は任せられない。

というわけで、二重ルータにはなってしまうが、HG8045Qからの通信をASUS RT-AC88UにDMZ転送することで、ルーティングはすべてRT-AC88Uに任せることにした。具体的には下図のように繋ぐ。HG8045Qの無線LAN機能なんぞは当然OFFだ。

1 HG8045Qを光回線に繋ぐ

旧契約の光回線のONU(ブリッジ)を取っ払い、NURO光の光ケーブルをHG8045QのWANポートに繋ぐと、まずこいつが第一段ルータとなりデフォルトで192.168.1.xのアドレス体系を掻っ攫っていく。

次にHG8045QのLANポートとRT-AC88UのWANポートをイーサネットケーブルで繋ぐと、RT-AC88Uは自動的にこれを検出し、第二段ルータとして自らを192.168.2.Xのアドレス体系にリセットする。

この時点で、LAN側のルータアドレスは、HG8045Qが192.168.1.1、RT-AC88Uが192.168.2.1となる。

この状態でも普通に運用は可能だが、それではHG8045Qが余計な仕事をするので設定を変更する。

2 DMZ設定

(1) RT-AC88UのWAN側MACアドレスを確認

(2) HG8045QからRT-AC88Uに静的ルーティングを設定する

HG8045Qの設定画面で「LAN」⇒「DHCPスタティックIP設定」を選択

MACアドレス欄に(1)で確認したRT-AC88UのMACアドレスを入力

IPアドレス欄に192.168.1.xの未使用アドレスを割り付ける

(3) WAN名を確認

HG8045Qの「ステータス」⇒「WAN情報」からWAN名を確認

(4) DMZの有効化

HG8045Qの「転送ルール」⇒「DMZ設定」から「DMZを有効にする」にチェックを付け、「WAN名」に(3)で確認したWAN名を入力

「ホストアドレス」には(2)で設定したIPアドレスを入力

以上で、第二段ルータRT-AC88Uが行う通信に関して、HG8045Qはスルーする設定となった。

これにより、ルーティングに関してHQ8045Qは何もせず、ゲーミングルータRT-AC88Uの高速ルーティングが機能するので、二重ルータによる速度低下は最小限に抑えられる筈だ。