漸くパーツが揃った。まさかコロナウィルスの影響ではないだろうが、前編でパーツを選定、発注をしてからすべてのパーツが手元に揃うまでに、なんと一ヶ月近くかかった。それほどマイナーなパーツは選んでないと思うのだが、今回は特にメモリとマザーボードの調達にやたらと時間を要した。
早速組み上げていく。まずはPCケースを展開。CM694は、上面とマザーボードの裏側がデュアルチャンバーになっている大型ケースなので、配線は綺麗に隠せそうだ。それに重量級のグラボを支える補助ステーも付いてる親切設計(特に珍しくもないけど)だ。
次にマザーボードを取り出す。普通はこの順番だと思うが、マザーボードを組み付けてからでは、CPUクーラーのラジエータやFANのボルトが留められない場合があるので、仮留めなどして確認した方がよい。MSI MEG X570 UNIFYも例外ではなかった。
さて、本ブログに何度も登場しているTERASAKIのメガビュープロ。細かい作業にはこれがあると便利。というかないとできない。PCケースの中は意外と光が当たらなくて暗いのだ。
マザーボードを組み付けたらCPUだ。今回はRYZEN7 3700X。
ピン位置を合わせて取り付ける。
CPUの次はCPUクーラーだ。サクサクいこう。
Corsair H100i Pro RGBには、最初からクーラー部分に標準グリースが塗布されているので、まずそれをアルコールティッシュで綺麗に拭き取る。
次にPCケースの天板を外して、ラジエータを載せる。
裏側から冷却ファンをビス留め。
高性能グリースをCPUとクーラーにそれぞれ薄く塗布。今回は、Thermal grizzlyのKryonautを使った。
グリグリっと馴染ませて固定し、諸々の配線を繋ぐ。
今回はSSDをM.2-2280サイズのNVMeタイプにしたので、この段階で取り付ける。システム用の500GBとゲームドライブ用の1TBの2基だ。
CFDのCSSD-M2B5GPG3VNFとCSSD-M2B1TPG3VNFは、PCIe4.0対応なのでスペック上はかなり速い。心配なのは安定性だ。
こやつらは高速な分発熱も馬鹿にならないらしいので、マザーボード付属の放熱板を取り付ける。
次は電源。Super Flower LEADEX Ⅲ Gold 850W。
電源コネクタはマザーボードの端にあるので、グラボとかの大物を取り付ける前に信号ケーブル類の配線も含めてこの段階でやっておくのが望ましい。
デュアルチャンバーを活かして裏側から上手く配線を回し、綺麗に接続する。
そしていよいよグラボだ。今回はZotac RTX2070 Super AMP Extream。ミドルレンジ最大級のモンスターカードだから、PCケースも慎重に選んだのだが、でけーよっ。入らねーよ。
まさかのPCケース買い直しか、と一瞬血の気が引いたが、さすがはクーラーマスター。ストレージ棚もモジュール構造になっていて、棚を二つ外すことで無事装着できた。
だがしかし、重量級のビッグなカードを支えるための補助ステーも外さなければグラボを取り付けることができず、期待していた親切設計は見事に余計なお世話と成り果てた・・・かに見えたが、ケース背面の穴を利用して何とか補助ステーを固定し、何とかマザーボードへの負担を軽減することができた。
恐るべしモンスターカード。でもさ、欲しいのはビッグなサイズ、じゃなくてビッグな性能なのだよ。分かっているのかねキミは・・・。まあいい、性能は後で問い詰めることにして先に進もう。
最後はメモリーと、ストレージ関係。
メモリーは、G.SKILL TRIDENT Z Neo シリーズからF4-3600C16D-32GTGZを調達。AMD RYZENに最適化したDDR4-3600 CL16-16-16-36 タイプで、32GBを盛った。
大容量ストレージにはWestern Digital BlackシリーズからWD4005FZBXを新規調達し、現行機からWD Caviar Black 1TBを1基移植した。だってデータ移行が面倒臭かったから・・・。
というわけで完成。無事に起動し、UEFI-BIOSが起動した・・・が、何事もなくとはいかなかった。
1TB SSDのCSSD-M2B1TPG3VNFが認識されず、不良品として交換した。部品が揃うのに日数がかかり、Amazonの返品期限30日を超過してしまっていたが、初期不良なので、その旨電話連絡したところ交換に応じてくれた。
DVDドライブなんて使わないので買ってないし、そこらに転がっているのを繋いでもよいのだが、USBメモリでインストールメディアを作成した方が速い。早速デスクの上にゴロゴロしているのを拾ってWindows10 Proをインストールした。いよいよReady。
取り敢えず、細かい詰めは後でやることにして、試しにGame Boostオンで4.2GHzに簡単OCし、更にA-XMPをオンにしてDDR4 3600MHz 16-16-16-36を選択。
まずは定番のCINEBENCHとCrystalDiskMarkを実行。
このグラフのハイエンドであるXEONプロセッサの半分とは言え5000超と、甘々の詰めでもいきなりRyzen Threadripperの直下にランクイン。Ryzen 9 3950Xを使ったハイエンド構成なら、多分XEON同様この倍位はいくと思われるが、これならミドルレンジ最速領域と言ってもいいだろう。というか今回の構成を考えると、この差は完全にCPUの能力差と考えられるので、まずまずの成果だ。
PCIe4.0 接続のNVMe SSDも速い。ほぼカタログスペック通りの数値が出ている。
ついでに3DMarkもいっとくか・・・。
Time Spyで10300超とRTX2080に迫る勢い。デカイだけの木偶の坊じゃなくて安心した。
さて、整理すると現行機はCore i5-2500K 4.75GHz常用、メモリ16GB(超適当なXMP設定)、Radeon HD6850 2枚のクロスファイアにSATA SSD 1基 & HDD 2基 の構成でやや煩かった。
今回は、Ryzen 7 3700X 4.2GHz仮設定、メモリ32GB(A-XMP 3600MHz/CL16)、Zotac RTX2070 Super AMP Extream 1枚にNVMe SSD 2基 & SATA HDD 4基 の構成でもかなり静か。PCの騒音の最たるものは大概グラボのファンだ。Zotac RTX2070 Super AMP Extreamはデカくて三連ファンなので、通常運転では回転数が低いからだろう。今の処ケースFanは標準の3基だけで、追加ファンは必要なさそうだ。
ではここで、リファレンスとして最新BTOパソコンと比べてみたい。20/5/20にTsukumoから発表されたばかりのゲーミングPCであるG-GEAR GA9J-J201/ZTと、今回組んだPCのスペックを比較してみた。普通は同一スペックで比較すべきだが、そんなものは世の中に存在しないので、敢えてハイエンドっぽいヤツと比べてみた。
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Tsukumo BTO G-GEAR GA9J-J201/ZT |
自作PC |
OS |
Windows 10 Home (64ビット版) |
Windows 10 Pro(64ビット版) |
CPU |
インテル® Core™ i9-10900K |
AMD Ryzen7 3700X |
10コア/20スレッド/3.7GHz、最大5.3GHz/20MB キャッシュ) |
8コア/16スレッド/3.6GHz、最大4.4GHz/36.5MBキャッシュ |
グラフィック機能 |
NVIDIA® GeForce RTX™ 2080 SUPER |
NVIDIA® GeForce RTX™ 2070 SUPER |
ビデオメモリ |
8GB (GDDR6) |
同左 |
マザーボード |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) (ATX) |
MSI MEG X570 Unify |
チップセット |
インテル® Z490 Express |
AMD X570 |
メインメモリ |
16GB DDR4 (PC4-21300、8GBx2) |
32GB DDR4 (PC4-28800 16GBx2) CL16-16-16-36 |
最大 64GB? メモリスロットx4(空き2)288-pin |
最大128GB メモリスロットx4(空き2)288-pin |
サウンド |
インテル® ハイ・デフィニション・オーディオ |
同左 |
ディスクドライブ |
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システム用 |
500GB SSD (NVMe接続) |
500GB SSD (PCI-E Gen4 M.2 NVMe) |
データ用 |
2TB HDD (SATAIII接続 / 6Gbps) |
1TB SSD(PCI-E Gen4 M.2 NVMe) |
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4TB HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm |
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1TB HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm x2 |
バックアップ用 |
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500GB HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 5400rpm |
光学ドライブ |
DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込み対応) |
なし |
ネットワーク |
Ethernet 10/100/1000 LAN |
Ethernet 10/100/1000/2500 LAN |
無線LAN |
Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax |
同左 |
Bluetooth |
Bluetooth v5.1 |
同左 |
インターフェース |
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前面 |
USB3.0 x2 オーディオ入出力(マイク入力x1、ヘッドフォン出力x1) |
USB3.0 x2, USB3.1 TypeC x1, 3.5mmヘッドセット(Audio+Mic) |
グラフィック |
ディスプレイ出力(DisplayPort) x3 ディスプレイ出力(HDMI) x1 |
同左 |
バックパネル |
PS/2(マウス/キーボード)ポート ×1 |
Clear CMOS Button |
USB 3.2(Gen 2) Type-Cポート ×1 |
Wi-Fi /Bluetooth Antenna Connectors |
USB 3.2(Gen 2) ポート ×1 |
PS/2 GAMING Device Port |
USB 3.2(Gen 1) ポート ×4 |
Realtek 2.5G LAN |
アナログオーディオ入出力 |
HD Audio Connectors |
S/PDIF(Optical)出力 ×1 |
Flash BIOS Button |
LAN(RJ45) ポート ×1 |
USB 2.0 Ports |
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USB 3.2 Gen1 Ports |
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USB 3.2 Gen2 Ports Type A+C |
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USB 3.2 Gen2 Ports |
拡張スロット |
PCIe 3.0/2.0 x16 (x16, x8/x4+x4) ×1 |
PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E1, PCI_E3) x2 |
PCIe 3.0/2.0 x16 (max at x4 mode) ×1 |
PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E5) x1 |
PCIe 3.0/2.0 x1 ×3 |
PCIe 4.0/ 3.0 x1 スロット x2 |
電源ユニット |
定格750W電源 80PLUS GOLD対応 |
定格850W電源 80PLUS GOLD対応 |
ケース |
G-GEAR ミドルタワーケース (69JD) |
Cooler Master CM694 |
ファン |
フロントx1、リアx 1(120mm) |
フロントx2、リアx 1(120mm) |
拡張ベイ |
5インチx2, 3.5インチx1, 3.5シャドーx3, 2.5シャドーx4 |
5.25インチオープンx2, 2.5/3.5インチシャドウ x6, 2.5インチシャドウx8 |
価格 |
¥249,800 |
¥264,985 |
さて、これをどう見るかだが、今回自作したPCはアッパーミドルを狙い、ハイエンド品ではないものの最新規格のパーツをふんだんに使った上に、メモリやディスクのスペックも高いので、G-GEARより約1,5000円程高く付く結果となっている。
一方、ツクモのG-GEAR GA9J-J201/ZTが使用しているパーツは、CPUとグラボ以外に特筆すべき点は一つもない。CPUはインテルの最新ハイエンド、グラボも今回自作したPCよりワンランク上でハイエンドに近いが、ゲーミングPCとして売られている通りゲームの快適性特化であり、所謂ハイエンドパーツは使用されていない。しかし単純にゲーミングPCとして見るなら、非常にコスパに優れていると言える。規格の枯れた比較的安価なパーツを大量調達しているBTOだから出せる価格だろう。
自作派から見ればつまらねぇ構成だが、ゲー専として割り切るなら、こうした組み方もありだ。間違いなく速いと思う。速いゲーミングPCが欲しいけれど、パーツを集めて一から組むなんて面倒くせーという人には買いだろう。
一つ解せないのは、最大搭載メモリが64GBとなっている点か。採用しているマザーボードを見る限り128GBは積めるはずだが、実際そんなに積んだりしないのでどうでもいいとも言える。
というわけで、ゲーミングPCとしての比較だけなら素直に負けを認めざるを得ない。さすが老舗のBTOだ。
さて、今回2020年初頭時点のミドルレンジ最速を目指してみたが、マザーボードに採用したMSI MEG X570 UNIFYは、最新規格対応で電源回路もハイエンド並みである。また、メモリについても3200MHz/CL14製品を3600MHz/CL16で使うのがOCerの定番と思われるが、マザーが4600MHzまで対応しているので、後々のことを考え3600MHz/CL16製品を使った。SSDについてもPCIe4.0対応のM.2 NVMeを選んだ。
したがって、G-GEARのようにCPUとグラボだけで性能を出しているようなPCなら、CPUとグラボを下記に替えれば、CINEBENCHや3DMarkの数値は軽くぶっちぎれるだろう。
CPU: Ryzen 7 3700X ⇒ Ryzen 9 3950X
グラボ: RTX2070 Super AMP Extream ⇒ RTX2080 Ti AMP Extream
しかしながら、2020年3月現在のCPU単体価格差は5万円超、グラボに至っては12万円超の差がある。実際にそれらに換装するとなると、PC電源とCPUクーラーもグレードアップする必要があると思われ、Corsair iCUE などでファン制御もしたくなるだろうから、おそらくパーツ価格にして45~50万円ほどになる。
今回の構成が総額26万円(2019年12月現在)ほどであったので、これのベンチマーク性能を倍にするには価格も倍になるというわけで、ベンチマークの性能がそのまま体感できるPCの性能差とはならないことを考えると、それってどうよって話なわけだ。
26万円でも、一般的に楽天などでポチッとやってPCを買う人々から見れば十分にクレージー、50万円ともなれば「スパコンか」ってな印象だろう。まあ自分としては50万円でも組んじゃう人の気持は分からなくもないが、今回はこれで満足だ。
以上、オワリっ。
【追加投稿#1】
従来機を燃えないゴミにするのは忍びないので、ディープラーニング用に再生させようと思った。
具体的には、Radeon HD6850のCrossfireをやめ、廉価版グラボであるGeforce GTX1660 Superに差し替えた。
リンク
結果として、ベンチマークは以下のようになった。今どきのゲーミングノートPC位の性能はありそうだ。
Time Spyのスコアで、GTX1660 SuperはRTX 2070 Super AMP Extremeのざっくり半分といったところかな。
【追加投稿#2】
その後OC設定を詰めてみたところ、安定動作ができたのは下記設定までだった。
CPU 4.3GHz
DDR 3733MHz CL16-16-16-38
LLC mode 3
DRAM 1.400V
AMD RyzenのOCはなかなか難しいね。取り敢えずこの設定で2020年の夏が乗り切れるか試してみることにしたい。