劣化したドアモールを修復する

車のドアモールカバーが剥がれてきた

車も10年物になってくると、外見上あちらこちらと傷んでくる。地下や屋根のある駐車場ならば痛み具合も違ってくるのだろうが、我が家の駐車場は屋外である。しかも南側道路沿いにあるので、太陽がいっぱいだ。

私の車のドアモールには黒いゴム状のカバーがついている。それが上図のように熱による劣化で剥がれてきてしまった。しかも両側前後ドアすべてだ。

なんだかみっともないのでディーラーに見積もりをとったところ、モール交換になるとのこと。因みにいくら掛かるか訊いたところ

前モール交換一本工賃込み13,970円也
後モール交換一本工賃込み7,436円也

つまり、両側やると4万円。即刻却下した。

するとディーラーの担当者もさすがにモールで4万円はないと思ったのか、「カバーは機能的に必要なものではないため、いっそのこと全部剥いて撤去してしまうのもありです。」と言ってきた。

なるほどもそれもありか、と一瞬その案を採用しようと考えた。

しかし・・・

この黒いカバーが付いているのは、前後ドアの開閉できるウィンドウ部分だけであり、後部ドアのはめ殺しの窓部分にはカバーがなく、黒いゴム枠のみがある。よって撤去してしまうと窓枠部分のラインの連続性が失われてしまう。これはスタイルデザイン上如何なものか。多分シルバーの部分が妙に目立つことになる。

なんか変じゃね・・・

よって熟慮の上これも却下。全撤去はどうにもならなくなった場合の最終手段だ。となると何とかして自分で貼るしかない。

真夏の炎天下と真冬の数十度の温度差を、屋外で数年に亘って耐えきる接着剤はちょっと思いつかない。また強力な接着剤で施工に失敗した場合、オーマイガーッと叫ぶ未来が目に浮かぶ。ここはやはりやり直しのきく方法が良い。

ならば強力両面テープに一票

ということで、プロが選んだ確かな品質 Nitto ブロセルフシリーズから「発泡ブチルゴムシート強力両面テープ」を採用した。

強力な両面テープは3Mなどの各社から色々と出ているが、厚みの薄いものを貼り付けることから、両面テープも極力厚みがない方がいい。一方、超強力な両面テープには比較的厚みがあるものが多い。

強力で、比較的厚みが薄く、耐候性があるという条件で、テープ幅の種類が多いものから選んだ結果、上記を選択した。カバーの接着面の幅を計測したところ、10mm幅のテープが丁度良いと思われるが、はみ出したらカッターで切ればよいだけなので、それほど気にしなくてもよいかも知れない。

早速施工してみた。まずは、塗る、貼るの際に基本の脱脂。

続いて両面テープを施工。

実にうまくいったので、すべてのモールカバーを両面テープで補修した。

これで駄目ならもう一度貼り直すか、或いは撤去するかだが、当面はこのままいけるだろう。

 

 

メイクと老眼と凹面鏡の関係(真実の鏡編)

妻はお絵描きが下手だった

彼女はそれを自覚している。しかし、これまでメイクの時に眉墨で眉を描くのが下手という自覚はなかったようだ。ある時それを実の妹に指摘されたらしい。

いや、僕もちょっと変だなぁとは思っていたのだが、それは決して言ってはいけないことだと思い、ずっと黙っていた。しかし、妹に言われたことが余程悔しかったのか、自分はお絵描きが下手だから上手に描けないと悲しそうな顔で言うので、描いてあげようかと言ってみた。

最初は「えー・・・」と不安そうだったが、一度やって見るだけでもいいじゃないかと(実はやってみたかったのだが)描いてあげたら、何やら気に入ったらしく、それ以来彼女の眉を描くのは毎朝僕の仕事になった。

それはいいのだが、泊りがけの出張に行く時になると決まって彼女はこう言う。

「眉毛はどうするの。」

どうするのって、キミ・・・。仕方がないので、髪に見本を描いてあげた。これを参考にして自分で描きなさいと。

老眼がメイクの障害だと知った

「でも見本があっても上手く描けないよ。」

「なんで。」

「よく見えないんだもん。」

私も妻も最近は老眼が進んでいる。

「老眼鏡買い替えたじゃないか。」

「老眼鏡してたらメイクできないよ。」

そりゃそうだな。なるほど、彼女が上手く眉を描けないのは、よく見えないという問題もあるのだなと気づいた。男はメイクなんてしないからそんなこと考えもしなかった。

凹面鏡を買ってあげた

眼鏡をやめてコンタクトレンズにするという選択肢もあったが、コンタクトレンズは何となく抵抗があるというので、それなら凹面鏡がいいのではないかと思い、数ある凹面鏡の中から鏡の質が良さそうなのを選んで購入した。

それがこれ。「株式会社アイキャッチ」が販売している鏡で、その名も真実の口ならぬ「真実の鏡DX」。

既にモデルチェンジされていて、これの同等品は下記になっている。

選ぶ際に気をつけたポイントは次の点だ。
◆小さ過ぎると使い難い
◆歪みがあると見難い
◆大きいと邪魔になる
 👉ドレッサーを使っている人は気にしなくてよいかな
◆倍率が大き過ぎると狭い範囲しか見えない
 👉5倍位がよいと思われる
私が買った時は、モデルチェンジ前の在庫処分品だったのか半額程で手に入ったが、鏡なら何でもよいという訳ではないので、安物の鏡はお勧めしない。妻が毎日使うものだから、おそらく定価でも買ったと思う。綺麗になるためにメイクするのに、歪みのある鏡なんぞでメイクしたら気分が悪いだろうからな。
LEDライトが便利
メイクに使うという観点から、このように鏡の周囲にLEDライトが付いているので便利だ。
但し、ちょっとだけ注意すべき点がある。
凹面鏡の集光特性に注意
凹面鏡は光が当たると集光してしまうので、窓際などに広げたままで置いていて、うっかり太陽光が当たったりすると光が一点に集まって点火しかねないからだ。
であるので、このように折り畳めるという点がなかなかよい。
さて、肝心の見え具合はどうか。
ヤバいくらいによく見える
このようになる。毛穴まで見えて怖い・・・。
という訳で、老眼でメイクの時に困る方は、凹面鏡を使うと良さそうである。
妻は喜んで使っているが、眉毛を描く作業は完全に放棄し、相変わらず毎日眉墨を持って寄ってくる。嵌められた感がなくはないが、まあいいか。

RYZEN7で爆速PCを組む(後編)

漸くパーツが揃った。まさかコロナウィルスの影響ではないだろうが、前編でパーツを選定、発注をしてからすべてのパーツが手元に揃うまでに、なんと一ヶ月近くかかった。それほどマイナーなパーツは選んでないと思うのだが、今回は特にメモリとマザーボードの調達にやたらと時間を要した。

早速組み上げていく。まずはPCケースを展開。CM694は、上面とマザーボードの裏側がデュアルチャンバーになっている大型ケースなので、配線は綺麗に隠せそうだ。それに重量級のグラボを支える補助ステーも付いてる親切設計(特に珍しくもないけど)だ。

次にマザーボードを取り出す。普通はこの順番だと思うが、マザーボードを組み付けてからでは、CPUクーラーのラジエータやFANのボルトが留められない場合があるので、仮留めなどして確認した方がよい。MSI MEG X570 UNIFYも例外ではなかった。

さて、本ブログに何度も登場しているTERASAKIのメガビュープロ。細かい作業にはこれがあると便利。というかないとできない。PCケースの中は意外と光が当たらなくて暗いのだ。

マザーボードを組み付けたらCPUだ。今回はRYZEN7 3700X。

ピン位置を合わせて取り付ける。

CPUの次はCPUクーラーだ。サクサクいこう。

Corsair H100i Pro RGBには、最初からクーラー部分に標準グリースが塗布されているので、まずそれをアルコールティッシュで綺麗に拭き取る。

次にPCケースの天板を外して、ラジエータを載せる。

裏側から冷却ファンをビス留め。

高性能グリースをCPUとクーラーにそれぞれ薄く塗布。今回は、Thermal grizzlyのKryonautを使った。

グリグリっと馴染ませて固定し、諸々の配線を繋ぐ。

今回はSSDをM.2-2280サイズのNVMeタイプにしたので、この段階で取り付ける。システム用の500GBとゲームドライブ用の1TBの2基だ。

CFDのCSSD-M2B5GPG3VNFとCSSD-M2B1TPG3VNFは、PCIe4.0対応なのでスペック上はかなり速い。心配なのは安定性だ。

こやつらは高速な分発熱も馬鹿にならないらしいので、マザーボード付属の放熱板を取り付ける。

次は電源。Super Flower LEADEX Ⅲ Gold 850W。

電源コネクタはマザーボードの端にあるので、グラボとかの大物を取り付ける前に信号ケーブル類の配線も含めてこの段階でやっておくのが望ましい。

デュアルチャンバーを活かして裏側から上手く配線を回し、綺麗に接続する。

そしていよいよグラボだ。今回はZotac RTX2070 Super AMP Extream。ミドルレンジ最大級のモンスターカードだから、PCケースも慎重に選んだのだが、でけーよっ。入らねーよ。

まさかのPCケース買い直しか、と一瞬血の気が引いたが、さすがはクーラーマスター。ストレージ棚もモジュール構造になっていて、棚を二つ外すことで無事装着できた。

だがしかし、重量級のビッグなカードを支えるための補助ステーも外さなければグラボを取り付けることができず、期待していた親切設計は見事に余計なお世話と成り果てた・・・かに見えたが、ケース背面の穴を利用して何とか補助ステーを固定し、何とかマザーボードへの負担を軽減することができた。

恐るべしモンスターカード。でもさ、欲しいのはビッグなサイズ、じゃなくてビッグな性能なのだよ。分かっているのかねキミは・・・。まあいい、性能は後で問い詰めることにして先に進もう。

最後はメモリーと、ストレージ関係。

メモリーは、G.SKILL TRIDENT Z Neo シリーズからF4-3600C16D-32GTGZを調達。AMD RYZENに最適化したDDR4-3600 CL16-16-16-36 タイプで、32GBを盛った。

大容量ストレージにはWestern Digital BlackシリーズからWD4005FZBXを新規調達し、現行機からWD Caviar Black 1TBを1基移植した。だってデータ移行が面倒臭かったから・・・。

というわけで完成。無事に起動し、UEFI-BIOSが起動した・・・が、何事もなくとはいかなかった。

1TB SSDのCSSD-M2B1TPG3VNFが認識されず、不良品として交換した。部品が揃うのに日数がかかり、Amazonの返品期限30日を超過してしまっていたが、初期不良なので、その旨電話連絡したところ交換に応じてくれた。

DVDドライブなんて使わないので買ってないし、そこらに転がっているのを繋いでもよいのだが、USBメモリでインストールメディアを作成した方が速い。早速デスクの上にゴロゴロしているのを拾ってWindows10 Proをインストールした。いよいよReady。

取り敢えず、細かい詰めは後でやることにして、試しにGame Boostオンで4.2GHzに簡単OCし、更にA-XMPをオンにしてDDR4 3600MHz 16-16-16-36を選択。

まずは定番のCINEBENCHとCrystalDiskMarkを実行。

このグラフのハイエンドであるXEONプロセッサの半分とは言え5000超と、甘々の詰めでもいきなりRyzen Threadripperの直下にランクイン。Ryzen 9 3950Xを使ったハイエンド構成なら、多分XEON同様この倍位はいくと思われるが、これならミドルレンジ最速領域と言ってもいいだろう。というか今回の構成を考えると、この差は完全にCPUの能力差と考えられるので、まずまずの成果だ。

PCIe4.0 接続のNVMe  SSDも速い。ほぼカタログスペック通りの数値が出ている。

ついでに3DMarkもいっとくか・・・。

Time Spyで10300超とRTX2080に迫る勢い。デカイだけの木偶の坊じゃなくて安心した。

さて、整理すると現行機はCore i5-2500K 4.75GHz常用、メモリ16GB(超適当なXMP設定)、Radeon HD6850 2枚のクロスファイアにSATA SSD 1基 & HDD 2基 の構成でやや煩かった。

今回は、Ryzen 7 3700X 4.2GHz仮設定、メモリ32GB(A-XMP 3600MHz/CL16)、Zotac RTX2070 Super AMP Extream 1枚にNVMe SSD 2基 & SATA HDD 4基 の構成でもかなり静か。PCの騒音の最たるものは大概グラボのファンだ。Zotac RTX2070 Super AMP Extreamはデカくて三連ファンなので、通常運転では回転数が低いからだろう。今の処ケースFanは標準の3基だけで、追加ファンは必要なさそうだ。

ではここで、リファレンスとして最新BTOパソコンと比べてみたい。20/5/20にTsukumoから発表されたばかりのゲーミングPCであるG-GEAR GA9J-J201/ZTと、今回組んだPCのスペックを比較してみた。普通は同一スペックで比較すべきだが、そんなものは世の中に存在しないので、敢えてハイエンドっぽいヤツと比べてみた。
Tsukumo BTO G-GEAR GA9J-J201/ZT 自作PC
OS Windows 10 Home (64ビット版) Windows 10 Pro(64ビット版)
CPU インテル® Core™ i9-10900K AMD Ryzen7 3700X
10コア/20スレッド/3.7GHz、最大5.3GHz/20MB キャッシュ) 8コア/16スレッド/3.6GHz、最大4.4GHz/36.5MBキャッシュ
グラフィック機能 NVIDIA® GeForce RTX™ 2080 SUPER NVIDIA® GeForce RTX™ 2070 SUPER
ビデオメモリ 8GB (GDDR6) 同左
マザーボード ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) (ATX) MSI MEG X570 Unify
チップセット インテル® Z490 Express AMD X570
メインメモリ 16GB DDR4 (PC4-21300、8GBx2) 32GB DDR4  (PC4-28800 16GBx2)  CL16-16-16-36
最大 64GB? メモリスロットx4(空き2)288-pin 最大128GB メモリスロットx4(空き2)288-pin
サウンド インテル® ハイ・デフィニション・オーディオ 同左
ディスクドライブ
システム用 500GB SSD (NVMe接続) 500GB SSD (PCI-E Gen4 M.2 NVMe)
データ用 2TB HDD (SATAIII接続 / 6Gbps) 1TB SSD(PCI-E Gen4 M.2 NVMe)
4TB  HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm
1TB  HDD(SATAIII接続 / 6Gbps) 7200rpm x2
バックアップ用 500GB HDD(SATAIII接続 / 6Gbps)  5400rpm
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込み対応) なし
ネットワーク Ethernet 10/100/1000 LAN Ethernet 10/100/1000/2500 LAN
無線LAN Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax 同左
Bluetooth Bluetooth v5.1 同左
インターフェース
前面 USB3.0 x2 オーディオ入出力(マイク入力x1、ヘッドフォン出力x1) USB3.0 x2, USB3.1 TypeC x1, 3.5mmヘッドセット(Audio+Mic)
グラフィック ディスプレイ出力(DisplayPort) x3 ディスプレイ出力(HDMI) x1 同左
バックパネル PS/2(マウス/キーボード)ポート ×1 Clear CMOS Button
USB 3.2(Gen 2) Type-Cポート ×1 Wi-Fi /Bluetooth Antenna Connectors
USB 3.2(Gen 2) ポート ×1 PS/2 GAMING Device Port
USB 3.2(Gen 1) ポート ×4 Realtek 2.5G LAN
アナログオーディオ入出力 HD Audio Connectors
S/PDIF(Optical)出力 ×1 Flash BIOS Button
LAN(RJ45) ポート ×1 USB 2.0 Ports
USB 3.2 Gen1 Ports
USB 3.2 Gen2 Ports Type A+C
USB 3.2 Gen2 Ports
拡張スロット PCIe 3.0/2.0 x16 (x16, x8/x4+x4) ×1 PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E1, PCI_E3) x2
PCIe 3.0/2.0 x16 (max at x4 mode) ×1 PCIe 4.0/ 3.0 x16 スロット (PCI_E5) x1
PCIe 3.0/2.0 x1 ×3 PCIe 4.0/ 3.0 x1 スロット x2
電源ユニット 定格750W電源 80PLUS GOLD対応 定格850W電源 80PLUS GOLD対応
ケース G-GEAR ミドルタワーケース (69JD) Cooler Master CM694
ファン フロントx1、リアx 1(120mm) フロントx2、リアx 1(120mm)
拡張ベイ 5インチx2, 3.5インチx1, 3.5シャドーx3, 2.5シャドーx4 5.25インチオープンx2, 2.5/3.5インチシャドウ x6, 2.5インチシャドウx8
価格 ¥249,800 ¥264,985

さて、これをどう見るかだが、今回自作したPCはアッパーミドルを狙い、ハイエンド品ではないものの最新規格のパーツをふんだんに使った上に、メモリやディスクのスペックも高いので、G-GEARより約1,5000円程高く付く結果となっている。

一方、ツクモのG-GEAR GA9J-J201/ZTが使用しているパーツは、CPUとグラボ以外に特筆すべき点は一つもない。CPUはインテルの最新ハイエンド、グラボも今回自作したPCよりワンランク上でハイエンドに近いが、ゲーミングPCとして売られている通りゲームの快適性特化であり、所謂ハイエンドパーツは使用されていない。しかし単純にゲーミングPCとして見るなら、非常にコスパに優れていると言える。規格の枯れた比較的安価なパーツを大量調達しているBTOだから出せる価格だろう。

自作派から見ればつまらねぇ構成だが、ゲー専として割り切るなら、こうした組み方もありだ。間違いなく速いと思う。速いゲーミングPCが欲しいけれど、パーツを集めて一から組むなんて面倒くせーという人には買いだろう。
一つ解せないのは、最大搭載メモリが64GBとなっている点か。採用しているマザーボードを見る限り128GBは積めるはずだが、実際そんなに積んだりしないのでどうでもいいとも言える。
というわけで、ゲーミングPCとしての比較だけなら素直に負けを認めざるを得ない。さすが老舗のBTOだ。

さて、今回2020年初頭時点のミドルレンジ最速を目指してみたが、マザーボードに採用したMSI MEG X570 UNIFYは、最新規格対応で電源回路もハイエンド並みである。また、メモリについても3200MHz/CL14製品を3600MHz/CL16で使うのがOCerの定番と思われるが、マザーが4600MHzまで対応しているので、後々のことを考え3600MHz/CL16製品を使った。SSDについてもPCIe4.0対応のM.2 NVMeを選んだ。

したがって、G-GEARのようにCPUとグラボだけで性能を出しているようなPCなら、CPUとグラボを下記に替えれば、CINEBENCHや3DMarkの数値は軽くぶっちぎれるだろう。

CPU: Ryzen 7 3700X ⇒ Ryzen 9 3950X

グラボ: RTX2070 Super AMP Extream ⇒ RTX2080 Ti AMP Extream
しかしながら、2020年3月現在のCPU単体価格差は5万円超、グラボに至っては12万円超の差がある。実際にそれらに換装するとなると、PC電源とCPUクーラーもグレードアップする必要があると思われ、Corsair iCUE などでファン制御もしたくなるだろうから、おそらくパーツ価格にして45~50万円ほどになる。
今回の構成が総額26万円(2019年12月現在)ほどであったので、これのベンチマーク性能を倍にするには価格も倍になるというわけで、ベンチマークの性能がそのまま体感できるPCの性能差とはならないことを考えると、それってどうよって話なわけだ。
26万円でも、一般的に楽天などでポチッとやってPCを買う人々から見れば十分にクレージー、50万円ともなれば「スパコンか」ってな印象だろう。まあ自分としては50万円でも組んじゃう人の気持は分からなくもないが、今回はこれで満足だ。
以上、オワリっ。
【追加投稿#1】
従来機を燃えないゴミにするのは忍びないので、ディープラーニング用に再生させようと思った。
具体的には、Radeon HD6850のCrossfireをやめ、廉価版グラボであるGeforce GTX1660 Superに差し替えた。

結果として、ベンチマークは以下のようになった。今どきのゲーミングノートPC位の性能はありそうだ。
Time Spyのスコアで、GTX1660 SuperはRTX 2070 Super AMP Extremeのざっくり半分といったところかな。
【追加投稿#2】
その後OC設定を詰めてみたところ、安定動作ができたのは下記設定までだった。
CPU 4.3GHz
DDR 3733MHz CL16-16-16-38
LLC mode 3
DRAM 1.400V
AMD RyzenのOCはなかなか難しいね。取り敢えずこの設定で2020年の夏が乗り切れるか試してみることにしたい。

フランボワーズチョコレートでショコラティエ

チョコレートは好きである。美味しいチョコレート限定で。

妻はチョコレートが嫌いである。板チョコ(塊が嫌いらしい)限定で。

そこで今回は、フランボワーズチョコレートを作ってみた。動機は毎年Vデーに頂く義理チョコのお返しの時期が迫っているから。

義理チョコに小物でお返しすると赤字確定なので、お気遣い無用とお断りしているのだが、未だに義理堅く毎年くれる方がいるので、今年は趣向を変えて、目には目を、歯には歯を、チョコにはチョコをというわけだ。

さて、女性なら市販のチョコレートを砕いて溶かして型に入れ、手作りチョコと称してプレゼントした経験のある人も多いと思うが、実はアレ、貰った方としては特段嬉しくない。ボソ(台無し発言)・・・。

ま、気持ちは嬉しいが、美味しくないのよ、それだと。俺は美味しいチョコ限定で好きなの。

それならテメーで作れよ、と言われるだろう。分かったよ、作ってやろうじゃないの。ザ・フランボワーズ・チョコレートを。

1 材料

まずは材料から。

◆チョコレート

チョコレートは市販のものでいい。高級なものを使えばそれに越したことはないが、安物でもそこそこのものは作れる。コツは甘過ぎないようにすることと、味に複雑さを加えること。要するにブレンドすることだ。

市販のミルクチョコレートは甘過ぎる。かと言ってカカオ70%以上のダークチョコレートだけだと全然甘くないし、それはそれで美味しくない。そこでロッテ・ガーナ・ブラックチョコレートとmeijiミルクチョコレートを二枚ずつ、合計200g用意した。どちらも実売で一枚100円を下回る定番の安物チョコレートだ。

そのままでは食べる気になれない(笑)

◆フランボワールピューレ(ラズベリーピューレ)

これは大抵冷凍品で売っている。フランボワーズとラズベリーは同じものである。使うのは数十グラムなのだが、最低でも250g、多いと1~2Kg単位での販売なので、残りの使い道を考えなければならない。今回は250g用意。ちょっと多かったので、冷凍ラズベリーを買って自分で作ればよかったと思う。

◆転化糖と水飴

これもコツの一つ。転化糖と水飴を添加すると、溶かしたチョコレートを冷やして固めた時に、固くなり過ぎずに口当たりが良くなる。どちらも近くのスーパーなどで300円かそこらのものだ。

◆無塩バターと生クリーム

生チョコ風にしたいので少し用意。

2 手順

(1) チョコレートを湯煎して溶かす

一枚50gの板チョコ4枚、合計200gのチョコレートを刻んで溶かし易くする。

湯煎して溶かす。

(2) フランボワーズソースを作る

チョコレートを湯煎している間に、フランボワーズソースを作る。

フランボワーズピューレ 35g

生クリーム 80g

転化糖 3g

水飴 10g

この配合は、ベルギー王室御用達ショコラティエピエール・マルコリーニさんが日テレZIPで紹介したレシピに從った。

マルコリーニさんによれば、転化糖や水飴がない場合にラズベリージャムを使ってもできるとのことだが、それだと多分相当甘くなると思うので、その場合はカカオ比率の高いダークチョコレートを使った方がいいだろう。

普段の男料理で創作料理を作る場合は、材料や味付け、調味料の類は目分量で適当にやるのだが、お菓子の場合は絶対に適量を守らないとマジで碌なことにならないので、クッキングメーターを使って正確に計量することをお薦めする。転化糖と水飴なんぞを少しでも入れ過ぎた日には、ベトベトで始末に負えないブツが出来上がること請け合いだ。

上記材料を鍋に入れてよく混ぜ、沸々してくるまで加熱する。

(3) チョコレートとソースを混ぜる

湯煎して溶けたチョコレートに、フランボワーズソースを数回に分けて投入し、よく混ぜ合わせる。

最後に無塩バターを加えてよく溶かす。

(4) 乳化させる

出来上がった材料を冷やして固める前に、ブレンダーまたはミキサーで撹拌して乳化させる。これもコツの一つ。但し、泡立てないこと。

(5) 型に流し入れる

出来上がったチョコレートをZIPロックに入れたら、角を鋏で切って穴を開け、100均で買ったアルミホイルの型に絞り出す。やり方は何でもいい。

(6) 冷やして固める

冷凍庫に入れて冷やして固める。ポイントは冷蔵庫ではなく、冷凍庫。急速に冷やすこと。

フランポワーズの酸味が効いたちょっと複雑な味わいのチョコレートの完成だ。舌触りも滑らかで我ながら実に結構なお手前である。

試作品としてはまあまあかな。本番では何かのリキュールかブランデーで香りをつけたアレンジにしてやろう。

待ってろよ、会社の女子共。俺の女子力を思い知るがいい。キモっ。

 

Ryzen7で爆速PCを組む(前編)

1 PCを組み直す決心をした

唐突だが、2020年を迎え、PCを更新することにした。

我が家には現在4台のPCがある。もっと台数が多かった時期もあるが、老朽化に伴い整理統合して組み直し、現在に至っている。

自作1号機

これは確か2009年末か2010年初辺りに組んだような気がする。

Core i7-875K、Radeon HD6800、8GBメインメモリ、GIGABYTEマザー以外はもう覚えてないし記録も残していないので、分解してみないと製品名と型式が分からない。最初はHDDのRaid 0で組んで、その後システムドライブをSSD化し、Raid を解除したんだったか・・・。モニターは以前のPCのものを使い回し、18インチのUXGAデュアル構成。

まだまだ現役でいけてるが、CINEBENTCHでは1005 PTSとローエンドにランクインしてしまう。

自作2号機

これは、2011年に組んだ。1号機同様デュアルモニタだが、22インチのFull HDになった。現在の本体構成は以下の通り。

マザーボード ASRock Z77 Extream 4

CPU Core i5-2500K (常時4.7GHz OC)

CPUクーラー Corsair H80i v2

メモリー Kingston HyperX KHX16C10B1K2/16X (8GB x 2)

グラボ Radeon HD6850 GDDR5 1GB 2枚(CrossFire)

電源 玄人志向KRPW-P850W/85+

SSD OCZ Vertex 3 120GB

HDD WD Caviar Black (1TB x 2)

ケース Antec DF35

当時はこんなものでもそこそこイケた。組み上げてから暫くは常時5.0GHzにOCしていたので、グラボの CrossFire 化も手伝って 比較的重めのRPGでもハイエンド級に迫る性能を示してくれたのだ。4~5年で電源、マザーボード、CPUクーラーの順でお釈迦になったので、この3つのパーツは初期構成と違う。最初はASUSマザーだった。

CPUのクロックを常時 5.0GHz で回すとなると、メモリタイミングなども弄らなければならないし、あちらこちらに電圧を余分に盛らなければいけない。何故なら、CPUだけ早く回そうとすると、

CPU:「う、もうイキそうだ・・・」

メモリ:「待って、まだよ、まだイッちゃいや・・・」

ということになり、一体感のないPCとなってしまい、結果的に幸福感が得られないのだ。CPUとメモリ周りは一緒にハイにしてやらなければならない。当然定格以上で動作する回路には負荷がかかり、パーツの寿命が早まるリスクがある。なので、電源とマザーボードが逝った後、CPUがお釈迦になる前に 4.7GHz 常用に落とした。CPUクーラーのポンプがいかれたのは、多分偶発故障だろう。それから現在までは毎日使って故障知らずだ。

しかしこれもまた、CINEBENTCHのベンチマークでは1281 PTSで、ローエンドの仲間入りだ。同様にSSDのアクセス速度も速いとは言い難い。私のメインマシンである。

自作3号機

私の記憶が確かなら、これは2013年製だと思う。シングルモニターFull HDで、24インチにした。

AMD A10-5800K、MSIマザー、8GBメインメモリ、グラボなしの静音PCである。残念なことにこれももう詳細構成は覚えてないので、製品名、型式共に分解してみないと分からない。ストレージは、SSDのシステムドライブとHDDかな。

これも言わずもがなだが、CINEBENTCHでは467 PTS・・・4桁にすら届かない。でもネットサーフィンとかOffice使うくらいなら十分。

改造ノートPC

2012年製のDELL Inspiron 15R N5110 (Core i5-2450M) をSSDに換装し、メモリを8GBに増設。普段使わないDVDドライブは取り外した後に改造パーツでUSBドライブ化した。

N5110のHDDを取り出すには、モニターを外し、キーボードを外し、更に基盤を外さなければならず、設計した奴を殴ってやりたかった。

元々システムドライブだった750GBのHDDは、空いたDVDドライブのスロットに、やはり改造パーツを使ってデータドライブとして本体に内蔵させた。

何故かこやつが現在うちにあるPCの中で一番起動が速い様に思う。数秒で起動するのだが、CINEBENTCHの結果は当然531 PTSと低い。

通常用途ならまだ十分に使えるけれど・・・

上記の1号機は長男、3号機が次男、改造ノートPCが妻用で、私は2号機を使っているが、何れもまだ現役であり、ネットで調べ物や買い物をしたり、音楽や動画を見たりすると言った用途では何のストレスもなく快適に動く。では何故今また新たに組むという結論に至ったか。

実は、先だって勤め先の会社の後輩から、最近のFPSで遊べるPCのスペックを見繕ってくれないかと相談を受けた。何かと聞けば、彼の息子がゲーミングPCを欲しがっているのだと言う。更に突っ込むと主にPUBGをやりたいのだそうだ。「高校生のガキにゲームをやらせるためにPCを買ってやるのかよオマエは・・・PS4で我慢させとけと思ったが、そこは飲み込んだ。

作るならパーツはこれだ、BTOで買うならこれだ、というアドバイスをしたが、結局BTOで買ったらしい。親子共に組み立てたことはないらしいので、一緒に作るのもよいのではないかと思って提案したのだが、手っ取り早くゲームをするならBTOで買った方が確実という結論に至ったとのこと。まぁ、それはいい。トラブったらトウシロウは苦労するからな。

だが、私の愛機が近頃基準では完全な低スペ機に成り下がっていることに気づいた。それもその筈で既に9年の年代物だ。今やモバイルPCとして使っている会社の支給品(Microsoft Surface Pro – Core i5-8350U 1.9GHz)にすらCPUベンチでは肉薄されている。i5-2500K を4.7GHzでぶん回してもその差は僅か100 PTSだ。

無論、PCのトータル性能はCPUだけでは語れないのだが、FPSとなると最早我が愛機は限界だ。それに加え、億劫なので放っておいた動画の編集もそろそろしなければならない。そうなると話は違ってくる。今のPCで動画を編集してエンコーディングしたりすると、規模によってはエンコ中にウンコして、その上更に昼寝もできるかも知れない。仮想世界でバトルしようなどとすれば、何とか動けば良い方で、運良く動いたとしてもカモにされるのがオチだろう。自分のキャラが瞬殺される姿が目に浮かぶ。恐ろしい・・・。

だから・・・

そうだ、そうなのだ。エンコ中にウンコなどと韻を踏んでる場合じゃない。何より許せないのは、後輩がガキに買い与えたPCに、この私のPCが後塵を拝するなんてことがあって良い筈がない。あってはならないのだ。大事なことだから二度言った。だから新たにPCを組み直すこととした。ここまでの行は、ただこの一言を言いたいがための能書きに過ぎぬ全く不要な文章だった。

2 パーツ選定

という訳で、唐突だが本題に入る。PCパーツに詳しい人なら、年代と上記のスペックを一瞥すればお分かりかと思うが、私が PC を組む際の方針は、できるだけ手頃なパーツを使って速いPCを組むことである。2011年当時の CPU のハイエンドは i7-2700シリーズだったし、当然グラボも一枚で HD6850 二枚分の価格を更に倍にしなければ買えないようなブツも存在していた。

そうしたハイエンドパーツは確かに速いのだが、それで伸びる性能よりもコストの伸びの方が遥かに大きく、その傾向は今でも変わらない。私はそういうのは求めていない。そこを狙うと、今ならCPUだけで10万円超え、グラボだけで10万円超え、ストレージだけで10万円超えとなってしまう。そして、どんなモンスターマシンでも、どうせ数年すれば私の現行機と同じ運命を辿るのだ。よって、所謂最速PCを組むことに関しては、マニア(最近はエンスージアスト即ち狂信者と呼ぶらしい)にお任せすることにし、今回私が狙う目標コストは、現行機と同じ30万円以内、ミドルレンジ最高速機だ。同僚が倅に買ってやったようなオモチャには、断じて負けるわけにはいかない。

目指せミドルレンジ最速

余談が長過ぎて疲れたので、いきなりパーツ選定の結論に入る。選んだのは下記のパーツだ。

CPU Ryzen 7 3700X
CPU Cooler H100i PRO RGB CW-9060033-WW
グリース Thermal Grizzly  Kryonaut (12.5W/mk) 1g
Motherboard MSI MEG X570 UNIFY
Graphic board Zotac RTX2070 SUPER AMP Extream
Memory F4-3600C16D-32GTZN (CL16-16-16-36) 16GB ☓ 2
SSD(System) CSSD-M2B5GPG3VNF 500GB
SSD CSSD-M2B1TPG3VNF 1TB
HDD(Data) WD4005FZBX 4TB
Power Supply LEADEX III GOLD 850W
Case Coolermaster CM694
Monitor Acer VG240YPbmiipx ☓ 2
10年前と価格はあまり変わらず・・・

予算30万円を見込んでいたが、PC本体だけなら2020年1月現在の購入価格で20万円台半ばとなり、目標の30万円以内に収まった。この際だからモニターも買い替えて予算を少し超過したが、まあ良い線だろう。

CPU

実際の選定だが、Ryzen 9はハイエンドのカテゴリに入る。所謂エンスーな人々向けだろう。よってそこまでは不要と判断した。最近のオンゲでも6コア/6スレッドあれば余裕なので8コア/16スレッドのRyzen 7で十分だ。3700 か 3800 か迷ったが、コスパで3700に一票。

GPU

これまではRadeon一筋だったが、今回は2019年度の製品群が圧倒的だったGeForceにすると最初に決めていた。2080以上は高価過ぎる。エンスーだ。よって2070最上位の中からメモリ8GB搭載モデルを選定した。

マザーボード

もしかしたらそのうちCPUをアップグレードしたくなるかも知れない(多分しないが)ので、質実剛健なものを選んだ。マザーボードは好みが分かれるところだと思うが、これまでGIGABYTE、ASUS、ASRockと使ってきたので、今回は次男のPCで経験のあるMSI製の中から純粋にコスパで選んだ。電源もしっかりしているし、現時点の最新規格にはすべて対応しているので、これでよいだろう。

メモリ

メモリーは、2019年末現在で最速の部類と見られたDDR4-4000のOCメモリとしてBallistic Elite BLE2K8G4D40BEEAKを選定したのだが、発注から一ヶ月経って入荷見込みなしの通知がショップから来て注文キャンセルとなってしまった。

AMD Ryzenシリーズは、Intel CoreシリーズよりメモリOCの影響が比較的大きいと聞くので妥協はしたくない。マザボも高速メモリ対応なのでここは頑張りたいところ。

重要なのは動作クロックとCL(キャスレイテンシ)で、前者は数値が高いほど、後者は数値が低いほど高速となる。

F4-4000C17D-16GTRG (CL17-17-17 1.35V XMP2.0) 8GB ☓ 2

とするか

F4-3600C16D-16GTZN (CL16-16-16 1.35V XMP2.0) 8GB ☓ 2

にするか迷ったが、AMD CPUに最適化されているという後者、即ちTrident Z Neoシリーズを選択した。その際つい気の迷いで

F4-3600C16D-32GTZN 16GB ☓ 2

をポチッと・・・してしまった。だ、だってこれだけあれば殆ど何をするにしても足りるし、ゲームだって仮想メモリオフでいけるよ・・・きっと。

SSD

システムドライブは、最早言うまでもなくSSDだが、Intel の Octaneシリーズはコスト的に見合わない。エンスーというか業務用だろう。安定性でSATAにするかどうかも迷ったが、最速で初志貫徹することとし、不安はあるもののPCIe4.0対応でNVMeタイプの高速SSDとした。更にゲームや動画の高速エンコ用に同タイプの大容量SSDを追加した。


CPUクーラー

簡易水冷一択だが、現行機H80iに対し、Ryzen 7 3700Xの発熱量からH150iまでは不要と見てH100iとした。

電源

将来的にグラボをSLI化するかも知れないので、電源には少し余裕を見て850Wとした。今までは80PLUS Bronzしか使ったことないし、それでもOCで問題が置きたことはないが、今回はちょっと贅沢にGoldを選定。これ以上はいらない。

一応これに関しては、もう少し詳しく書いておく。経験的に何台か組めば、選んだパーツ構成に必要な電源容量は大体検討がついてしまうのでエイヤッで決めてしまったが、電源容量の目安をつけるには、下記の様なサイトが便利だ。他にも似たようなサイトがいくつかあるので、利用するとよいと思う。

https://outervision.com/power-supply-calculator

例えば今回選んだパーツを順に入力していく。

◆CPU

1 x AMD Ryzen7 3700X

(オプションでOC周波数とVcoreに盛る電圧を指定)

◆Memory

2 x 16GB DDR4 Module

◆Video

1 x NVIDIA Geforce RTX 2070 SUPER

(オプションでCore clock/Over voltage/Memory clockを指定)

◆Storage (余ってるHDDを積みまくる)

2 x M.2 SSD

3 x SATA 7.2K RPM

1 x SATA 5.4K RPM

◆Keyboard/Mouse

1 x Gaming Keyboard

1 x Gaming Mouse

◆Liquid Cooling Kit

Corsair Hydro H100i

◆Fans

3 x 140mm

◆Monitor

2 x LCD 24 inches

上記を入力してCalculateボタンを押すと、700W~750W Gold or Platinumと出た。今回選んだのは850W Gold電源なので、少々余裕がある。

モニター

予算が少し余ったので、この際モニターも最新鋭機に更新することにした。

液晶の駆動方式の違いによって、巷にはIPS、VA、TNの製品が溢れている。ゲーム専用機ではないので、発色特性や視野角によって変化の少ないIPS液晶のモニターが欲しかった。しかし今回はゲームもするのでリフレッシュレートと応答性も犠牲にできない。

よってIPS液晶で且つ144Hz対応、応答速度1msを目安に検討し、Acer VG240YPbmiipxを選んだ。デュアルモニターにするのは決めていたが、サイズは設置場所の制限により24インチ一択だった。


大型の湾曲タイプに後ろ髪を引かれているのだが、置き場がないので仕方がない。

さて、以上のパーツは既に発注済みだが、本日時点で未だ揃っていないので、組み立てから先は後日後編という形で投稿する。

3 余談

今回はゲーミングPCとしての使用にも耐えられる構成にしたが、ソニーのPS Now、MicrosoftのxCloudだけでなく、GoogleがStadiaを発表した。Amazon辺りもそのうち参入してくるだろう。要すれば、ゲームの世界にもストリーミングの流れが出始めている。

それが本格化すれば、ゲーミングPCはいらなくなるかも知れないから、もしかしたらこんなスペックでPCを組むのはこれが最後になるかも知れない。

だが、これだけのCPUパワーとGPUパワーを必要とするゲームを、ストリーミングで数万人のユーザに配信するなんてことが本当にできるのだろうか。しかも、今時のゲームはミリ秒オーダの遅延が勝敗を分ける。

上記は、我が家の回線速度だが、NURO光に替えてからこのような速度が出るようになった。それでもPingへの応答には3msかかっている。

5Gが始まったら或いはストリーミングゲームも実用域に達するのかも知れないが、暫くはゲームの種類で棲み分けが進むのではないだろうか。

ハードウェアコストを掛けなくて済むようになるのはありがたいことではあるが、そうなってくると最早何でもかんでもGAFAに牛耳られてしまう。それは望ましくないなぁ。

靴の踵修理はShoe Gooで安上がり

革靴の踵が減ってきた。踵の修理を靴屋や街の修理屋に出すと、一足当たり2500円から3000円取られる。あんなもんは知識と道具さえあれば誰でもできる。どう考えてもぼったくりだ。貧乏人としては納得できない。

そういうわけで再びShoe Gooの出番である。再びと言うのは、このブログを始めた初期の頃にShoe Gooでの踵修理を投稿したのだ。しかしその時は、写真が一つもないあまりに手抜きな記事だったので、この際再掲ネタではあるが投稿することにした。

Shoe Gooってのはこれね。

で、踵の減った革靴というのはこれ。

普通に靴屋か修理屋に出すと、彼らは減った踵から釘を抜き、踵をむしり取ってから接着剤を除去し、新しい踵を接着剤で貼り付けて釘をうち、はみ出した部分を削り、最後に補色して完成という工程を踏む。

Shoe Gooの場合は、減った部分にShoe Gooを埋める。それだけ。では始める。まず用意するのは、どこの家にもある鋏、ガムテープ、マスキングテープ、そしてアクリル板だ。いやマスキングテープとアクリル板は普通の家庭にはないかも知れないが、我が家には普通にある。クラフトマンには必要不可欠なものだからね。

まずは、踵にヤスリを当て、表面を均し、Shoe Gooを塗りたくない場所にマスキングする。

次に、アクリル板を適当な大きさに切って、踵周りにShoe Gooを埋める壁を作り、ガムテープで固定する。これで準備完了。

早速Shoe Gooで隙間を埋めていく。

コツは二つだ。一つ目は、空気が入らないようにしっかりと隙間を埋めるようにShoe Gooを押し込むこと。もう一つは、所謂充填剤の基本だが、乾燥すると固くなるものは、必ず乾燥の過程で痩せるということを見越して、少し多めに盛ることだ。

Shoe Gooを盛った後は、氷で表面を均すと滑らかに仕上がる。

後は乾燥して硬化するまで放置。いやー、簡単簡単。

もう片方も同様に作業し、順次踵のすり減った靴を修理していく。

効果時間は説明書きに書いてはあるが、あまり参考にならない。Shoe Gooを充填した箇所の厚みや気温によって乾燥時間はまちまちだ。今は夏場だが、厚みは4mmを超えているので、説明書にある時間の倍に相当する48時間は見ておく。冬場なら更にその倍は見た方がいい。Shoe Gooを使う場合のボトルネックはこの乾燥時間の長さだ。靴をあまり持っていない方には向かないかも知れない。

さて、48時間後、どうなったかアクリル板を取り外してみると・・・。

穴開いてるし・・・。

はみ出しちゃってるし・・・。

羽つき餃子みたいになっちゃってるし・・・。

うん、今回やった四足とも失敗してるね。

「くそがぁぁぁぁーっ。なんじゃこりゃぁぁっ。欠陥商品だろ、ネットで酷評してやる。」

などと騒ぐのは、知識も技術もないのを棚に上げ、てめえの無能さを製品の欠陥と言い張る低能共のすることだ。よくネットの口コミで見るレビューの大半がこれだな。

まあこれは、Shoe Gooの充填時に空気を抜ききれなかったか、内部に僅かに残った空気が硬化の過程でShoe Gooが痩せていくのと同時に膨らんだか、或いはその両方か、何れにせよ「想定の範囲内」である。別に空いた隙間にもう一度Shoe Gooを埋め込んで固めりゃいいだけの話だし。

盛って、埋めて、氷で均して、はい次っ・・・。

慌てず、騒がず、こんな調子で再調整して硬化を待つ。

 

・・・うん、今度は大丈夫そうだ。駄目なら、何度でも充填し直して乾かせばいい。こういうものは失敗からのリカバリこそがノウハウだ。たまたまうまくいった成功例からは何も学べない。

ここまで来たら、はみ出した余分なShoe Gooを削り取る。ここで「どこの家庭にもある」ベルトサンダーでバイィィーンとやればさっくり取れる。「万が一ベルトサンダーがない場合」は、別に紙やすりでもいい。

ここまでやると、大体こんな感じになる。最初の工程で隙間なくShoe Gooを埋められていたら、一発でここまで来る筈だった。

  

この通り磨り減った部分は無事(でもなかったが)に埋めることが出来たのだが、これで終わりにするというわけにはいかない。

何せ俺はセミプロだからな。というわけで、次ははみ出したShoe Gooを削る過程で傷つけてしまった革の部分の補色にかかる。ここで例によってコロンブスのアドカラーの出番である。


まずはマスキングし、アドカラーで軽く色当てしてみる。

明るすぎるので、黒を混ぜて焦げ茶にする。アドカラーは、少し水を足してやると色が混ぜやすくなる。やや明るめに調整するのがコツだ。

今度は良さそうだ。次は色の濃い靴用に更にトーンを落とす。

ついでに、荒れたコバもアドカラーで修復しておこう。

革の部分の補色が終わったら、今度はShoe Gooで埋めた踵の仕上げにかかる。

Shoe Gooで埋めた部分と元の素材との間には微細な隙間があるので、補色前にまずこれを埋める。今度はかかと部分を残してマスキングする。

アドベースを塗って、隙間を埋める。

乾燥したら、紙やすりで均す。

最後にアドカラー黒を塗って完成。

まあこれなら普通に履いている分には、他人には靴屋に修理に出したものと区別はつかないね。

因みに下のチャカブーツは、違いが分かるように(正直に言うと面倒くさくなったから)アドベースによる下地処理をせずにアドカラーだけで仕上げた。あまり変わらないかな(笑)。

さて、かかったコストだが、アクリル板は再利用できるし、アドカラーは指先程度しか使っていないので値段に換算できるほどの使用量ではない。残っているShoe Gooの量から換算するに、一足当たり概ね150円と言ったところか。四足で600円。修理屋に出せば12000円。

コスパは比ぶべくもない。

「私の物は修理するのに、自分の物はすぐ買い換えるのね・・・。」という妻の追求を躱す狙いもあったのだが、ぼーっとしている時間にチョチョイとやって、チコちゃんにも叱られることなく、ゴルフ一回分ほどの費用が浮いた。

「奥さん、自分のも修理して使ってますよぉ~。」

40分ほど歩いた後の状態がこれ。特段減った様子もなし。

合皮とパテントレザーはアドカラーと染めQで新品同様

最近の合成皮革の技術は舐められない。一見しただけでは皮革なのか合成皮革なのか見分けがつかないものも少なくない。

まぁ、本皮か合皮かはどうでもいい。一昔前と違い、最近は明らかに合皮であってもそれがチープな製品とは限らない。

何が問題かというと、合皮の一部やポリエチレンにポリウレタン加工した素材或いはパテントレザー(エナメル革など)は、実は湿気に弱い。

それらの素材の物を箱に入れ、クローゼットなどにしまっとおくと、数年で劣化してしまう。例えばこれ。

見ての通り、バーニーズニューヨーク定番のスタッズミニトートバッグ。ちょっとした外出に便利なので、妻はよく気軽に持ち歩いていたのだが、このようにハンドル部分が劣化し、おそらくポリなんちゃら素材が剥離した。で・・・

「こんなになっちゃったの。」

と言われた。うん、大したものじゃないし、よくここまで使ったねということで新しいのを買ってあげることにした。

なので、駄目になった方は捨てるのかと思いきや、

「スーパーに買物に行く位ならまだ使えるから。」

と一向に捨てようとしない。

「おいこらマテ・・・」

お前がそんなの持ち歩いてたら「まあ・・・あんなになっても買ってもらえないのかしら・・・」と思われるだろうが。

忘れてた。妻は勿体ない派だった。

ということで例によってリペアを開始する。まずは軽くサンドペーパーを当て、劣化したポリなんちゃら素材の膜を剥がす。コツは下地素材を傷めないようにすることと、縫い目部分にペーパーを当てないこと。特に縫い目の糸を荒らしてしまうと、毛羽立って手触りに影響するので注意だ。

次に脱脂。何かを塗る前の基本だ。溶剤を使うとポリなんちゃら素材が溶けてベタつくとまずいので、アルコール除菌のウエットティッシュで拭く。

次に何を塗るかだが、バッグのハンドルに塗る以上、被膜の硬いものは使えない。罅が入ってしまうからだ。そこで今回はこれを使う。コロンブスのアドカラーだ。

しっかり塗り込むには指で擦り付けるのがいい。指に付いたアドカラーは石鹸で洗うと簡単に取れる。そしてすべての塗り作業に共通して言えることは、薄く塗り、何度もそれを繰り返すことで綺麗に仕上げることができる。

但し、アドカラーは性質上被膜が厚くなるので、あまり何度も塗り重ねると固くなるから要注意だ。しっかり着色できて、見かけ上問題ないという程度でやめておく。

まぁ、こんな感じだ。こんなことなら買わなきゃよかったぜ゜・・・。

ついでに、この際だからとクローゼットの中に仕舞われているバッグも一通り手入れをしていたら、ColeHaan のバッグのハンドルがバーニーズのトートバッグと同様の状態になっているのを見つけた。こちらはパテントレザー(エナメル革)とヌバックの編み込みになっているバッグで、ハンドル部分がエナメル仕上げになっているものだ。

エナメル仕上げの革にはアドカラーは使えない。素材感が全く違い、艶が出ないのだ。こういう物の場合は、株式会社「染めQテクノロジー」の染めQを使う。


「染めQ」で塗った後に「染めQ保護艶出し」で仕上げると、艶が出てパテントレザーと同様の素材感になる。スプレータイプなので、着色したくない部分にはしっかりとマスキングすることと、やはり何度も薄く塗り重ねることがコツだ。

くどいので詳細は省くが、劣化したエナメル皮膜を剥がし、脱脂した上で染めQで着色し、保護艶出しスプレーを塗り重ねる。

どうだろうか。今回はハンドルの片方だけ補修してみた。一般にパテントレザーは補修ができないと言われるが、どちらが補修した方か見分けがつくだろうか。

まぁ、これでもう暫く使って貰おう。

キリスキはセーターの毛玉取りの神器だった

セーターに毛玉が出来ると気になるものだ。引っ張って取ると、繊維が引き出されてまたそこが毛玉になるので、以前は鋏で切り取っていたのだが、セーターの上で鋏を使うと取った毛玉がセータの上に落ちて取り難い。それを防ぐために毛玉を取る面を下にして鋏を使うと、うっかりセーターそのものを鋏で傷つけてしまうことがある。だから慎重に作業しなければならないのだが、幾つものセーターに毛玉が出来るとその作業が本当に煩わしく、面倒くせーっと思った瞬間にザックリ・・・なんてことが起きる。

数年前のことだ。そんな毛玉取りを行っていた時、妻が「テレビショッピングで良いものを見つけたわ。」と言って出してきたのがこれだった。

キリスキ。


ネーミングに適当感があるが、それはまあいい。掃除機用のアダプタとして使う道具だ。吸入する空気によって内部の刃が回転し、網刃をニットに押し付けることで、網目に取り込んだ毛玉を回転刃がカットする仕組みだ。吸入する空気を調節することによって回転速度が変えられるようになっている。

一言で言うなら無段階変速機付きの回転式カッターだ。ニットの上を数回往復させるだけで簡単に毛玉が取れる。

これは素晴らしい。妻がテレビショッピングで購入したものの中では一、二を争う逸品と言える。電池も充電も不要というところも加点ポイントだ。

因みに一位は「ムッキーちゃん」だ。今ではそこらの百円ショップで買えるようになったが、最初は違った。あれによって我が家の柑橘系フルーツの皮剥きに革命が起きた。

話を戻そう。今回は我が家の序列二位のキリスキが主役なのだ。下の写真で左が使用前、右が使用後。光の加減でちょっと写真の色合いが違うが、同じセーターである。

説明書きには目盛り3~4で十分に毛玉が取れるとあり、確かにその通りだった。明らかに鋏で切るより毛玉除去の効率がいい。次々セーターの毛玉が取れていく。だが何度もやると当然ながら毛糸は痩せていくので、頻繁にやるのはおすすめできない。

また、あまり早く回転させると、その分網刃から吸い込まれる空気も強くなるので、生地を巻き込み易くなる。厚手のセーターならいいが、薄手のセーターだと巻き込まれてニットを痛めてしまうこともあるので注意が必要だ。

つい調子に乗って妻のニット類もやってあげた。だが、どういうわけか失敗は自分のものではなく人のものをやっている時に起きる。自分のものじゃないから適当にやっているということは決してないのだが、何故だろうな。メンズセーターと違って女性物は複雑な形をしていたり、飾りボタンが付いていたりと、ニットが平坦ではないため、より注意が必要だったと言い訳してみたが、コートの襟とニットワンピースの腰の部分に穴を開けてしまったという事実は隠せない。親切が仇になったとはまさにこのことだ。余計なことをしなければよかったと公開したが、後の祭りだ。

撮影時の光の当たり方がおかしいのか、上の写真の色が妙だが実際のコートの襟は全体が均一のグレーだ。ワンピースの方は上半分が黒なのだが、事故の状態は一目瞭然だ。

仕方がないので、責任をとってニットの補修にもチャレンジすることにした。まずはヘッドルーペを用意する。


TERASAKIのメガビュープロ。これがないと始まらない。今回は細かい作業となるのでレンズを二重にして倍率を上げる。

次に糸と針だ。糸は当然ながらできるだけニットの色に近いものを選ぶ。

対象がニットなので玉結びは作らず、網目に結びつける。本当は裏から作業をしたいのだが、この襟は裏返せないので、結び目は最後に鉤針でニットの裏側に押し込む。

続いて穴の空いた網目の両側を交互に糸で結び合わせていく。ニットの網目を真似て糸を通していくことがコツだ。

まあこんなものか。取り敢えず普通に来ている分には誰も気付くまい。

次はニットのワンピースだが、これは裏から作業できるのでより目立たなく修復できた。

網目が細かいものは難しいが、まあまあかな。

ついでに息子のセーターも直してあげた。こちらは俺が穴を開けてしまったものではなく、本人が着ているときにどこかに引っ掛けてしまったらしい。

アイボリーのセーターなので、修復に使用する糸を妻の使用済みパンストを解した糸にするか、近い色の糸にするか迷った。結局パンストを解すのは面倒だったため糸で修復することにした。これもよく見なければ何処に穴があったか分からなくなった。初めてにしてはまずまずの出来だろう。息子も満足してくれたようなのでよしとする。

樹脂補修はプラリペア以外にあり得ない

バスルームの樹脂が割れた

家を建ててから十数年も経つとあちらこちらに補修が必要になってくる。今回はバスルームの樹脂割れの補修をしてみたのでまとめておく。

最近の☓☓☓樹脂は丈夫である。丈夫なのだが、やはり荷重のかかる部分には経年劣化でひびや樹脂割れが起きてくる。樹脂には大別して熱可逆性樹脂と熱硬化性樹脂があり、日頃目に触れるものだけで20種類近くあって、表記がないと何の樹脂か判別できない。こういう箇所に使われるものは数種類に絞られるのだろうが、プロでもない限り見た目で判断するのは難しく、何だか分からねぇ樹脂という意味で☓☓☓樹脂と表現した。トリプルX樹脂という意味ではない。

鏡周りはこんな具合にひび割れている。

浴槽の下縁、裏に配管のあるシャンプー台、その固定用ステー周辺等も同様だ。

 

ひびならまだしもこれは完全に割れている。これを放置しておくとどうなるかは想像に難くない。鏡なんぞはかなりの重量物で、多分超強力な両面テープで接着されているに違いなく、鏡の重量に耐えられなくなるほどに周囲の樹脂が劣化した場合・・・うん、想像したくないな。浴槽もこのひびが成長したらやばい気がする。入浴中にそれが起きたら、浴室はインフェルノと化してしまうだろう。

住宅メーカは巫山戯たことを抜かしやがった

当時住宅メーカの担当者に相談したら、既に交換部品はなくユニットバスを丸ごと交換するしかないとか抜かしやがった。

「パパは怒るよ。自分でやれば二千円もあれば補修できるものをわざわざ仕事くれてやると言っているのに、どういう理屈で百万円もかけてユニットバスごと交換するって話になるんだよ。この恩知らずがぁっ。」とこいつの首を刎ねておいた。無論俺の精神世界の中での話だ。こいつは既に三回位首を刎ねている筈なんだが、何度でも蘇って俺の前に現れる不死身の男だ。

またしても自分でやるしかない

よし、補修しよう。こういうものは思い立った時にすぐやらないと未来永劫後回しになる。二度とやる気にならない自信が俺にはある。駄目だ、今実行に移さなければインフェルノになる未来しか想像できない。

この手のものを補修する場合、素人は接着剤で何とかしようとする。しかしそれは下策だ。セミプロの俺はそんなものは使わない。使うのはこれ、プラリペアだ。



またこれか、これしか知らないんじゃないのとか言っている奴等の声が聞こえるが、まったく気にならない。え、接着剤って書いてあるだと。何かの間違いだ。印刷ミスか何かだろう。こんなものが接着剤の訳がない。接着剤というのは、物体同士をネバっとした何かとか、トロっとした何かで繋ぎ合わせるものだ。

プラリペアは違う。接着する物体同士の間に敢えて欠損した空間を加工で作り出し、そこに此奴を埋めて固めるのだ。したがって、どちらかと言えばこれは充填剤の類だ。その証拠に此奴は型取りして流し込めば造形することだって出来る。

論より証拠だ。プラリペアは上記の様なひび割れ部分にセメダインの様に塗って接着するなんて真似はできない。まあ出来なくもないが、やっても強度が足りない。しっかりと接着するには下準備が必要だ。まずは彫刻刀を準備する。

年季物の彫刻刀だ。懐かしいな。昔はこれで木版画の四枚或いは五枚刷りで年賀状を作ったものだが、今はパソコンで絵を描くようになったので、彫刻刀の出番は滅多になくなった。だが、今ここに三角刀が再び役に立つ時が来た。ウェルカムバック三角刀。

下処理をする

まず三角刀でひび割れの部分をV字に抉る。VゾーンでもVラインでもない。個人的にはVラインが好きだが、ここで必要なのはVラインではなくV字の溝だ。

この様にしてひび割れた部分にプラリペアを充填出来るだけの隙間を作り込んでいく。

抉る、抉る、兎に角抉りまくる。表からヤッたら裏からもヤリたいと思うのが心情だが、今回は外すことが出来ない箇所なので諦めよう。

こうして傷ついた部分を更に抉るには勇気がいるが、他人の傷を抉る行為と一緒で慣れれば快感だ。いい感じに割れ目ちゃんが出来たら、いよいよプラリペアの登場である。

プラリペアで充填接着する

はじめにアクリル樹脂の粉を作業用のカップに分ける。同様にメチルメチクリレートなる成分の専用リキッドもスポイトで作業用のボトルに分け、ニードルを装着する。

アクリル樹脂の粉の上に、ニードルの先から専用リキッドをポタりと垂らすと、液が粉を吸って玉を形成するので、それをニードルの先で串刺しにし、割れ目ちゃんに埋めていく。疚しい事をしているつもりは毛頭ないが、何故だか無性に本能を掻き立てられる。

この様にして次々盛り盛りにしていく。ポイントは、玉を埋める際にリキッドを程よく注入することだ。多過ぎると液垂れして流れ出し、少な過ぎると重合硬化しない。

数分で硬化する。十分に硬化したら強度的には目的とする補修が出来たことになるのだが、このままでは見栄えが悪いので塗装を行うことにする。

塗装前処理をする

塗装するには、表面が平らになるように下処理をしなければならない。そこで再び彫刻刀の出番だ。今度は平刀を使用して、山盛りになった部分を粗方削り取る。

適当でいいのだが、この後サンドペーパーを当てて平滑処理をするので、削り足りないとサンドペーパーで磨く作業が大変になる。

指で触って凸凹が殆ど感じられないところまでサンドペーパーで磨くと塗装の下準備完了だ。

塗装を完璧にやるなら、この後に一旦エポキシパテを盛って、更にもう一度表面処理をする必要があるが、車等の塗装と違い浴室は普段人に見られることはない。したがって概ね傷が目立たない程度に仕上がればよいため、今回はパテ盛りを省略する。プロの仕事ならこれではお金は頂けないが、俺はセミプロだからな。女房子供を満足させられれば男手としては上出来だ。

マスキングする

塗装に入る前に、まずはマスキングだ。塗装は下処理とマスキングが勝負だ。マスキングテープとポリ袋を使って丁寧にマスキングしていく。

さて、いよいよ塗装だが、焦って事に及んだりしてはいけない。

プライマーで下塗りする

ここでいきなりペイントしようとする奴は、頭の足りない奴か常日頃から前戯をしない奴のどちらかだ。塗料は下塗りをしないと定着しないのだ。



まずはプライマーを塗って乾燥させる。樹脂の種類によっては塗料どころかプライマーすら乗らないものもあり、何だか分からねぇ樹脂に塗るには数種類の樹脂に対応するプライマーを選択する必要がある。これを均一に吹きかけた後に塗装スプレーで上塗りをするのだ。

塗装する

今回の上塗りには、アサヒペンのラッカースプレー「アイボリー色」を使用した。



吹きかけ始めは、塗料が均一に噴霧されないため、塗布面の外で吹きかけ始め、塗布面の外で吹きかけ終えることがコツだ。一度に厚塗りをせず、シューッ、シューッ、シューッと数百回に分けて薄く塗り重ねていく。

塗り終えたら完全に乾燥するのを待つ。二時間ほどで乾燥するので、マスキングを剥がす。乾燥する前にマスキングを剥がすと、マスキングテープに塗膜が一緒についてきて剥がれてしまうことがあるので注意が必要だ。乾燥後も慎重を期すため、カッター等で切れ込みを入れてから剥がすとよい。

概ね綺麗に仕上がったと思う。近くで見れば修復跡が分かるが、これなら普段は気にならないだろう。

最後に、コーキングが怪しくなっている部分もついでに補修する。シリコン系のシーリング剤が手軽で良いと思う。


 

コーキングする

隙間のある部分の両側を軽くマスキングテープで覆い、適当にコーキング剤を塗る。

その後指先で均し、マスキングテープを剥がす。

こんなところで完成だ。取り敢えずこれで当面はインフェルノは回避できる筈だ。

実はこの様に一見普通に見える浴槽のカバーも・・・

裏側から見るとバリバリに割れまくった跡がある。こちらもプラリペアで三年ほど前に補修済(今回のように塗装もした)の箇所だ。これをやったときはまだプログを始めていなかったので記録がない。

こちらのカバーは端が幾つかの破片に別れ、フックも完全に折れてしまっていた。普通の接着剤だと、この様に接着面積が小さく荷重のかかる物は修復困難だが、プラリペアがあればそんなものでも復元できる。素材によっては元より強度が高いかも知れない。

いかれたマウスはコンタクトスプレーで元通り

妻がマウスの調子が悪いと言い始めた。暫くスルーしていたが、数日してまた「何か変なの。」と言ってきた。

彼女が使っているのは、LogitechのAnywhere MXだ。単3乾電池を二個入れるタイプで、程良い重みがあって使い易い。並行輸入品を購入したので詳しくはないが、日本市場ではLogicool製品として出ているM905t辺りが該当製品ではなかろうか。2018.12現在の最新型は多分MX Anywhere 2Sであろうと思われる。

妻はラップトップPC(所謂A4タイプのノートPC)を使っていて、普段は大抵同じ場所に置いてあるのだが、ソファの前にあるガラステーブルの上だったり、ダイニングの白いテーブルの上で使う場合もあり、そういう場所でもパッド無しで使えるAnywhereマウスを買ってあげたのだが、価格は決して安くない。壊れたからと言って使い捨てにできるような代物ではないのだ。

状況を確認してみると、確かにクリックを認識しなかったり、シングルクリックのつもりがダブルクリックになってしまう。なるほど、彼女が言う調子が悪い症状の正体は、マイクロスイッチの接触不良とチャタリングであるらしい。実のところ、自分が使っている同じLogitechのG700sというゲーミングマウスにも同様の症状が出始めている。

どちらもかれこれ5年近く使っているので、そろそろマイクロスイッチの寿命かも知れないと考え、G700sに使用されているマイクロスイッチをネットで購入した。マイクロスイッチは一個200円もしない。半田ごてさえ使えれば簡単に交換できる。

では準備に取り掛かる。まずは道具だ。今回用意したのは、精密ドライバー、半田ごて、半田吸い取り線、スクレーパー。家にあるものだけでやれそうだ。

おっと、ヘッドルーペを忘れてた。これがないとマイクロスイッチの半田付けなんて出来ない。テラサキ株式会社のメガビュープロLEDは、LEDライト付きで1.7倍、2倍、2.5倍、4倍(単眼)のレンズが付属しており、二枚重ねで組み合わせることも可能だ。レンズを跳ね上げることも出来て使い易い。こいつも道具箱から引っ張り出した。



脱線ついでに言っておくと、この手のものは日本製に限る。ドイツ製もいいが、中国製だけはあり得ない。何故ならば中国製だからだ。道具として大事なポイントは三つ。レンズに歪みや色収差がなく視界がクリアなこと、倍率が作業に丁度よい(高過ぎても低過ぎても駄目)こと。そして焦点距離が程良いことだ。倍率ばかりに目が行き易いが、焦点距離が短いと作業がし辛い。

さて、準備が整ったところで、早速マウスの分解から入る。まずは妻のマウスからだ。こういう時は、失敗も想定して人のものからやるのが常道だ。Logitechのマウスを分解するには、裏返してビスを外すのが定番である。ビスは大抵マウスソールの裏に隠されているので、最初にマウスソールを剥がす必要がある。スクレーパーでマウスソールを剥がすとビスが露出する。

このマウスの場合は、電池ボックスの裏側にもビスが隠されていた。

ビスは小さいので、精密ドライバーで外してやるとマウスのカバーと本体を分離することができる。ホイールなどには埃が入り込んでいるのでエアーかピンセットで取り除く。

さてと、マイクロスイッチは・・・。あー、んー、これはG700s用に購入した奴と違うな、駄目じゃん。もっと小せえ奴じゃん。ミスった。てっきり同じものだと思い込んでいたが、マウスのサイズが全然違うんだから、そりゃあパーツも違うよな。

どうするか。ここまでやっておいて作業を中断したら、パーツを入手するまでモチベーションが維持できるだろうか。いや絶対無理だ。ここでやめたら間違いなくこのマウスはゴミ箱行きになる。まずい・・・これ俺のじゃないし。

しかし待てよ、妻がこのマウスをクリクリやった回数は、俺がオンゲでマウスをクリクリやってきた回数に匹敵するとでも言うのか。彼女のルーティーンは、「買い物かごに入れる(クリッ)」、「購入手続きへ(クリッ)」、「注文を確定する(クリッ)」、この三つだ。確かにこれら三つの操作に関して言えば達人の域に達していると言ってもいい。うっとりするほど優雅なマウス操作だ。俺には出来ない。

いやそんなことはどうでもいい。問題なのはクリクリ回数だ。どう考えてもゲーマーである俺よりマウスを酷使している筈がない。こっちは60fpsを超えるフレームレートの中で、ミリ秒を競うマウス操作をしているのだ。PCの前に座る度に、俺のライフがゴリゴリ削られていくのが分かる。生きている世界が違うと言っても過言ではない。もし仮に彼女のルーティーンが、俺と同じだけマウスを酷使しているのだとすれば、我が家はとっくに破産しているに違いない。

加えて、妻は至って大人しい性格だ。ゲーム中の俺と違って「くそがーっ」などと叫んでマウスを投げつけたりはしない。「死に晒せよやぁーっ」と声を張り上げてマウスやキーボードを連打したりもしないのだ。ひたすら静かに、慎重に品物を吟味し、「買い物かごに入れる(クリッ)」、「購入手続きへ(クリッ)」、「注文を確定する(クリッ)」を繰り返すのだ。

だとすれば、ひょっとすると・・・。

接点復活剤。これで直るかも知れない。電気系統の接点は、長く使用しているうちにカーボンや汚れが付着したり、接点部の酸化や摩耗による接触不良や、迷走電流の発生によりチャタリングに似た症状を起こすことがある。これはそうした汚れを除去して接点を復活させてくれるおクスリだ。各社から色々製品が出ているが、今回は町中のホームセンターで普通に買えるKUREのコンタクトスプレーを使う。

使い方は至って簡単であり、マイクロスイッチにプシュッとやって接点をクリクリやるだけ。駄目元で試してみることにする。

まずは、液剤が飛び散らないようにマウスをティッシュで包み、左のマイクロスイッチにプシュッ、右のマイクロスイッチにもプシュッ。

その後、左右のマイクロスイッチをそれぞれ100回ずつ楊枝の頭でクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリ・・・。

結果、直った。直っちゃった。それならと、G700sも同じ様にやってみた。

まずは分解。

そして左の敏感な突起にプシュッ。右の敏感な突起にもプシュッ。

ローション、じゃなくて接点復活剤で濡れた左の突起をクリクリクリクリ・・・。

ここかっ、ここがええのんかぁ・・・。それともこっちかっ、ここなのかっ。

右側もクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリクリ・・・。

あーっ。はぁはぁはぁ・・・。

直った。敏感なスイッチは完全に復活を果たした。二台のマウスは満足したように佇んでいる。これで暫くは機嫌が良い筈だ。購入したマイクロスイッチは完全に無駄になったが、まあいつか本当に壊れた時に役に立つだろう。

結局使ったのはスクレーパー、精密ドライバー、接点復活剤だけだった。




結論。マウスクリックが不調な時は、マイクロスイッチを交換する前に接点復活剤を試せ。

あ、KUREだからって、くれぐれもCRC-556とかシリコンスプレーとかと間違わないように。

以上。