車をスバルWRXに買い替えた際、カーステレオ(以下「カーステ」という)のスピーカーをどうするべきか悩んだ挙げ句、ノーマルがフロントドアにセパレートタイプのスピーカー、ダッシュボード両サイドにツイーター、リアドアに何らかのスピーカーという6スピーカー構成だったため、結局そのまま購入した。
しかし、それは失敗だった。前車レクサスISはノーマルが10スピーカー構成で、スピーカー自体もそこそこの物が付いていたので、WRXもノーマルでそれなりだろうと期待していたのだが、それが間違いだった。
ノーマルでついていたスピーカーがショボかった。結果として音がショボい。ショボ過ぎる。昔のラジカセを彷彿とさせるような音が鳴る。えー。
そりゃWRXは元々うるさい車だし、マフラーも交換しちゃってるから排気音もゴロゴロ言ってるし、そんなにいい音に拘るつもりは毛頭ないよ。ないけど、これはないわぁ。
まず、誤解のないように言っておくが、スピーカーの数の問題ではなく質の問題である。よくスピーカーの数を自慢している輩がいるが、それは本質的な問題じゃない。
我が家にはリビングのテレビと、デスクトップのPC3台にそれぞれ5.1chのスピーカーシステムを付けているが、はっきり言って殆ど意味を成していない。何故なら5.1ch用の音源が殆どないし、対応している映画を観るときにしか役に立たないからだ。DSPがいい塩梅に変換してくれているが、所詮はなんちゃってだ。
同様にカーステで聞く音楽なんぞは、ほぼ100%ステレオ音源である。つまり右と左2種類の音しか存在しない。したがって、原理的にはちゃんとしたスピーカーが2基あれば、ちゃんとした音で聞ける筈なのだ。
信号を高音専用、中音専用、低音専用のスピーカーに分配して、それぞれのスピーカーの一番良い帯域で鳴らすことには意味があるが、同じ音を沢山のスピーカーから出すことで達成されるのは音質ではなく、ライブハウスやコンサートホールの反響音を再現するような臨場感だ。
森の中で小鳥の囀りを聴くような環境音や、クラシックをシンフォニーホールのような音で聴きたいという人にはいいかも知れない。私は車では殆どボーカル曲しか聴かないので、ボーカルの音があちらこちらから聞こえたら、それは違和感でしかない。
話を戻そう。やっぱり最初からスピーカー交換しておくべきだったかと、早速ディーラーオプションカタログで調べてみると、パナソニックスピーカーセット、カロッツェリアスピーカーセット、ケンウッドスピーカーセット、DIATONEスピーカーセット、Sonic Design スピーカーセット・・・あるわあるわ。
しかしだね、価格を見るとマテコラ。
バナのスピーカーはカーショップや音響専門店でも見かけないので、おそらくナビとセットのオプション販売前提なのだろう。前後セットで10万円オーバー。お客様フェアで買っても8万円オーバー。却下。
カロッツェリアとケンウッドのは、これもナビとセット推奨になってはいるが、おそらく市場で3万円クラスの製品と見られる(型名が違うので外観から推定)もので、実売だと倍以上の価格設定。却下。
車が車なだけにDIATONEまでは不要。Sonic Designはよく分からんが、これも前後セットだと軽く10万円オーバーなので、どちらも却下。
スバルはちょっと客をナメてないか。
レクサス車は、巷ではブランド料の上乗せが云々と批評されてはいるが、中身もちゃんとしてるので、トータルではコスパは悪くない。ただ、総合的には非常にバランスの取れた良い車だが、ちょっと面白みに欠けた。だから色々手を入れたが、社外品だろうがなんだろうが親身になって相談に乗ってくれた。
だが、私は同じブランドの車は(車種が違っても似たような感じだから)二度買わない主義であり、今回は「走る」ことを最重点に置いて選択したのがスバル車で、それ以外の点を自分が満足できる状態にするためにどうするかという話なのだが、ディーラーで用意しているのは適正価格とは思えない物ばかり。
その上、某神○川スバル販売は「社外品は一切取り付けません」とか言うし、車は売るけどカスタマイズは他所でやってくれという態度というか姿勢がいただけないね。もうちょっと車好きの人の要望に柔軟に応えて欲しいところだ。
というわけで、結果的に今回もDIYである。
1 デッドニング
レクサス車はデッドニングもノーマルでかなりの水準だった。一方スバル車はペラッペラで自分で相当手を入れる必要がある。元々方向性が全く違う車なので、それが悪いということではないのだが、これに関してWRXはその生い立ち故にないに等しいレベルだ。
ということで、まずはデッドニングだが、これについては多くの人がYouTubeやみんからで紹介してくれているので、ここでは書かない。
ドアやら、トランクルームやら、フロアやらの内張りをとっとと外し、振動しそうな鉄板部分(コンコンとと叩くと低い音がせずにカンカン響く場所)に制振材を貼り、その上から吸音材を貼りまくった。
使った制振材はこれ。
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吸音材はこれ。
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フロアマットの下に使った遮音材はこれ。
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これに関しては、フロアマットの形に型紙を作り、型紙に合わせて遮音材を貼り、それをフロアマットの下に敷いた。こんな感じ。
デッドニングができたところで肝心のスピーカー選びだ。
2 スピーカーを購入
スピーカーは上を見たらきりがない。よってここで方針を決めた。
◆2個セットで3万円前後(売れ筋)のものからできるだけ大きいもの選ぶ
◆原則としてセパレートタイプ(中音と高音が別になっている)を選ぶ
◆ツイーターがダッシュボードに内蔵できる(目障りじゃない)ものを選ぶ
これで選択肢は3つに絞られた。
1 カロッツェリア TS-C1736S
2 ケンウッド KFC-XS174S
3 ALPINE X170S
しかし、こればかりは音を聞かないことには何とも判断し難い。オートバックスに行って現物の音を聞いてみた。3つともあるにはあったが、ALPINEは接続されていなかった。この時点で選択肢は2つに絞られた(笑)。
スペックを確認するとカロッツェリアの方が周波数帯域が広い。しかし、聞いた感じは、カロッツェリアにはシャカシャカ感があり、ケンウッドの方が落ち着いた音を出していた。
だが難しいもので、ケンウッドのKFXC-XS174Sにはリア用のコアキシャルタイプの設定がなく、4スピーカーにするとリアはランクの下がるRSシリーズになってしまう。悩んだ。
3 接続をどうするか考えた
ノーマルのスピーカーは次のように接続されている。パッシブネットワークというのは信号の分配器とフィルターだ。ここではデッキからの信号を分配してハイパスフィルターをかけ、高周波信号をツイーターに送っている。
先ほど述べたように、ステレオ音源の再生には最低2つのスピーカーがあれば事足りる。したがって、リアスピーカーなんぞは殺してしまって下記のようにバイアンプ構成にしてしまうという割り切り方もある。これならケンウッドでもいい。
4 結局適当に決めた
しかしまぁ、折角ナビ(デッキ)本体にタイムアライメント機能のあるDSPを装備しているので、ここは取り敢えず元の構成のまま接続することにした。臨場感なんていらねぇと言っておきながら矛盾するようだが、バイアンプ構成にするならスピーカーのグレードをもう少し上げるべきだろう。
これにより選択肢はカロッツェリア一択となった。
フロントスピーカーには、ツイーターと中低音を再生するセパレート型の17cmスピーカーTS-C1736Sを選択。
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リアスピーカーには。同クラスのコアキシャルタイプ16cmスピーカーTS-C1630Sを選択。
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視聴した際、これだけだと低音が少し足りない気がしたので調べたところ、ナビ(デッキ)本体にサブウーファー出力が出ていることが分かり、それならということでお手軽な入門機カロッツェリアTS-WX130DAを追加接続することにした。
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結果的に、下記の構成となった。
スピーカーの置き換えなんぞは、ドアパネル外してコネクタを外し、ビス止めされているスピーカー本体を置き換えるだけで難しくないので写真は載せない(と言うか取り忘れた)。
常識だが、インナーバッフルは別途必要だ。
外したノーマルスピーカー本体はこれ。左下がフロント。右下がリア。交換したスピーカーとの比較のため、箱だけ並べてみた。リアはコアキシャルじゃなくてただの中音スピーカーだったようだ。
フロントスピーカーのコーンを押してみた。
うーん、硬い。これじゃ鳴りが良くないよね。
因みに、今回フロントスピーカーに採用したTS-Cスピーカーには、1730Sと1736Sがあるが、前者がツイーター外付けタイプ、後者が内蔵タイプだ。
サブウーファーは、助手席シートの下にしようと思ったが、何らかの装置が置いてあってスペースが無かったため、運転席シート下に取り付けた。
5 出力調整
スピーカーセットを交換しただけではろくな音が出ないので、調整が必要だ。測定器があればいいのだが、プロじゃないのでそんな物は持っていない。
ナビ(デッキ)本体を見ると、スピーカー出力、スピーカーディレイ、サブウーファー出力が調整できるようだ。
取り敢えずよく分からんので(笑)、スピーカー出力とスピーカーディレイを弄って、何となく正面から音が聞こえるようにし、音量をちょっとうるさめに上げてみた。サブウーファはズンズン言わせてもしようがないので、足りない低音をちょっと足す位に調整した。暫く聴き込んでみて再調整しようと思う。
サブウーファーに高い周波数域の信号を送っても意味がないので、80~100Hzの間で設定してみた。あとは付属のリモコンで出力と位相を設定する。
その他の微調整は、イコライザでやることとしよう。
肝心の音の変化について文章で表現するのは不可能に近いので一言。かなり変わった。ホント、それしか言いようがない。総額5万円程度でこんなに変わるなら、お薦めだ。
さて、私のWRXにはこれまで色々と手を加え、今回は音響環境を弄ったわけだが、自分の納得のいくレベルまで諸々手を入れた結果、2021年型レクサスIS新車とほぼ同等価格になった。自分としてはそんなもんだろうと思っているのだが、こうなると妻には全く賛同が得られない。
妻曰く、同じ金額払ってる(いゃ、うちの家計からは確かにそれだけ出ていってるけど、そのうち2割はスバルに払ってないから・・・)のに、サービスレベルが全然違うし、ディーラーに集まってくる人種が変な人多い(笑)し、ボンネットに鼻の穴みたいの開いてる(爆)し、音なんてどうでもいいしと、もうケチョンケチョンである。
そんな抵抗勢力にめげることなく、これからも頑張っていきたい。暑くなる季節だから、次は冷却系チューンかな。